- Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061965409
感想・レビュー・書評
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やっと全部読み終わりました!最後は諸葛孔明VS司馬懿仲達の戦いでしたね。最初の頃のような、圧倒的に強い武将の活躍がなくなり、どの地形をつかってどう戦略をたて、どう陣を置くか…という頭脳戦になります。それはそれで面白いものの、やっぱり最初の頃のとにかくコイツは強いんだー!みたいな戦いのが楽しかったかもしれません。
あとは、最後のほうはやたらと原文の引用っぽい表現が増えて、読みにくくなった気も…。それはそれである種の効果があるとは思いますが、もう少し分かりやすく訳してもいいんじゃないか、と思うのは甘えでしょうか。
とはいえ、劉備が黄河のほとりでぼんやりしていたところからここまで、長い歴史を味わい切った達成感は十分。余録に書かれていた「孔明は偉大なる平凡人だった」という著者の言葉が、なんだかぐっと重く感じられる気がします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
長い長い旅をしたようでした。
本日、やっと吉川英治『三国志』全8巻読破しました。
読み終えての感想をテキトーに書きます。
まず第一に、「長かった・・・。」
おもに通勤電車の中で読み進めてきましたが、本当に長かった・・・。
なんせ読み始めたのが11月頭、読み終えたのが2月の半ば。
約4か月弱くらいかかってしまっているわけです。
いくらこの大河小説が抜群におもしろいとはいえ、中だるみはするもので、
他に目移りすること多数、ゆえに中断することしょっちゅう。
忍耐力のいる小説でした!
でも最終巻の半ばくらいから
「え、もう終わってしまうん?あとこんだけ?」と名残惜しくなってしまい、
読破した今となっては寂しい限りです。
でも当分、長編は読む気はない(笑)
第二に、「とても昭和14年の作品とは思えないくらい面白かったです。」
もちろん、言い回しに古い点はありますが、全体的に現代でも十分読める稀代の作品です。
(ただし登場人物がうじゃうじゃいて大変)
時間と忍耐力があればぜひおすすめです。
(ちょうど映画もタイムリーですし)
第三に、これは冒頭でも書きましたが「長い旅をしているようでした」。
100年近くにわたって中国大陸を舞台として繰り広げられる英雄悪党蛮族の戦争計略謀略の数々。
それは長い長い映画を見ているようであり、自分も叙事詩の中に巻き込まれていくようでもありました。読み終わったときには「やっとたどり着いた」という達成感がありました。三国志はさながら長い旅のようでもあります。
時間があったらぜひ読んでください。おもしろかったっす~。 -
孔明がこんなに孤軍奮闘していたなんて知らなかった。
あれだけ類稀なる能力を持ちながら、蜀の衰えを止められなかったんだなあ。
筆者は「歴史のあとを、大きく眺めるときは、いつの時代でも、いかなる場合にも、これを必然なる力と、人力を超えた或るものの力――いわゆる天運、または偶然ととぶようなものとの二つに大別できると思う(P288)」と書き、蜀の状況にも人智を超えた力が働いているかもしれないと述べているが、その通りな気がした。無情だ。
また、筆者の分析がすごい。
司馬 徽に「彼はまさに天下の奇才だ」と言わしめた孔明を「偉大なる平凡人」と讃えていて興味深かったし、三国志を「曹操に始まって孔明に終る二大英傑の成敗争奪の跡を叙したもの(P375)」と述べていたり、曹操を詩人、孔明を文豪に例えているのも面白かった。
中国で古来から親しまれてきた三国志演義を出来るだけ忠実に再現しようとした作家としての姿勢もすごい。
吉川英治氏の小説は初めてだったけれど、読んでいくうちに司馬遼太郎のときと同じくらいの感銘を受けた。
よかった。 -
孔明がこんなに孤軍奮闘していたなんて知らなかった。
あれだけ類稀なる能力を持ちながら、蜀の衰えを止められなかったんだなあ。
筆者は「歴史のあとを、大きく眺めるときは、いつの時代でも、いかなる場合にも、これを必然なる力と、人力を超えた或るものの力――いわゆる天運、または偶然ととぶようなものとの二つに大別できると思う(P288)」と書き、蜀の状況にも人智を超えた力が働いているかもしれないと述べているが、その通りな気がした。無情だ。
また、筆者の分析がすごい。
司馬 徽に「彼はまさに天下の奇才だ」と言わしめた孔明を「偉大なる平凡人」と讃えていて興味深かったし、三国志を「曹操に始まって孔明に終る二大英傑の成敗争奪の跡を叙したもの(P375)」と述べていたり、曹操を詩人、孔明を文豪に例えているのも面白かった。
中国で古来から親しまれてきた三国志演義を出来るだけ忠実に再現しようとした作家としての姿勢もすごい。
吉川英治氏の小説は初めてだったけれど、読んでいくうちに司馬遼太郎のときと同じくらいの感銘を受けた。
よかった。 -
三国志といえば、芳川英治の三国志!必読書ですよ!
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いやー「沈まぬ太陽」以来の長編小説、長かったけど、おもしろかったです。
三国志。
三国志自体が登場人物が星の数程いて、それぞれにドラマがあって泥臭いところから煌びやかなところまで幅が広くておもしろいってのもそうなんだけど、俺は読み進めていく中で、このおもしろさは著者である吉川英治の文才によるところも大きいんだろなって思いました。
すごいなー、これだけの大作を書き上げることって、大仕事だ。
でも、この三国志を読んでる3ヶ月間で、いろいろ新しい価値観に触れることができたのがなによりの収穫でした。
個人と組織との考え方の違いを、自分の仕事に照らし合わせながら実感として得られたところ。まぁ答えはこれから仕事をしていく中で得ていかなきゃなって思うけど。
あと、この三国志に限らずだけど、今まで読書の話をしなかった人と話ができて、「あー俺も昔読んだよ」って人と登場人物の話とか場面での話とかして仲良くなれたり、レッドクリフの影響もあって時事ネタでも出てくるようになった追い風も受けて(まさにレッドクリフの話じゃねーか)、相手のことがもっとわかったり少し仲良くなれたり、作品に対しての読んで良かったことと同時にそんな経験もできてとっても楽しい3ヶ月間でした。
1巻完結的な本を読むのもいいけど、こういう長編じゃなきゃ書き表せない、何代にも渡るようなスケールの大きいものの見方を学んだ3ヶ月だったなと思います。
俺も、これを読んでくれてるみんなも、じーちゃんばーちゃんがいて、両親がいて、自分がいて、兄弟がいて、そして俺達からまた次の世代が生まれて、そうやって続いていくんだ。今は家族じゃない人たちとだって、どっかでつながってたかもしれないし、これから先のどこかで俺か俺と縁のある誰かとつながっていくかもしれない。その中で、脈々と受け継がれていく大事な価値観や、教えなくても伝わるものがあったり、家庭の味とかそれぞれの家庭ならではの形もあって、そんな時の連続の中で、そばにいる人たちの幸せをみんなで守りながら暮らしてきた人生の先輩たちがいて、俺もそうやって暮らしていくんだよな、とかしみじみ感じてました。
そんな価値観から言えば、年を取っていくことってそんなに捨てたもんじゃないですね。
年を取っていかなきゃ、自分の先の未来は見えてこない。これから先、5年後、10年後になればじーちゃんばーちゃんが生きてる人も減ってるだろうけど、その人たちに代わる役割を担う人が、そういったところだからこそ見える人生の起伏や人情の機微を後世に伝えていく。それが何も意識せずに当たり前にできてるような循環が本来あるべき姿なのかな、とか思いました。
今の自分は誰かのために何ができるかな。
5年後に、できることは増えてるかな。伝えられることはより深く、大きくなってるかな。
いつまでも変わらないものも大事にしたいけど、周りの人を助けられたりできる自分をもっと大きくできるよう頑張っていきたいなと思いました。
なんか、三国志の感想からちょっと話がずれてるけど、登場人物それぞれ自分なりの思いを持って自分の人生を生きている。それは、今も変わらずに大事なことだし、俺も自分の人生をもっともっと(金銭て意味じゃなく)豊かに生きていければ楽しいなと思いました。
欲しいのは物じゃなく、人物。
仲間がいて、笑いがあって、そんな時の連続を自分の人生として送っていきたいと思います。 -
1巻に同じ
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吉川英治先生の大胆で繊細で美しすぎる文体の輝きが頂点に達する最終刊です。その素晴らしさをどうにも上手く表現できない自分の語彙の貧弱さが悲しいです。
本編(この刊には「篇外余録」と言う番外編が掲載されています)の最後の三行に、この壮大な物語の全てが端的に表されているように思います。
その三行を読んだ時、私の中で全ての時間が止まりました。永遠にその三行を読んでいたいような気になりました。難しくて何度読んでも理解できなかっただけかも知れませんが。 -
1~8巻。
面白かった。
次々と魅力ある人物が消えていくのは寂しかった。
昔、NHKでやっていた人形劇の影響もあって、「劉備は善。曹操は悪」の観念があったけど、これを読んでむしろ曹操が好きになった。劉備は優しいが、やっぱり優柔不断でどこか頼りない。
他には関羽、孔明が好き。 -
やっと全巻読み終わりましたー。初めての、三国志読破です。
孔明様の聡明で忠誠的な生き方に感動しました。
あと仲達って、本当に運がいいのね。でも、相手のすごさを認識することができる、ということ自体が才なのだと気づかされました。
最後に、三国志全体の、吉川先生自身の総括、ということが書かれていて、興味深かったです。劉備の周りに、忠誠が集まり、孔明の周りに、才能が集まらなかったというのは、結局、人間があまりに完璧だと、人を引き寄せない、ということなのかな、と思ったりしました。