黒田如水(吉川英治歴史時代文庫 44)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061965447

作品紹介・あらすじ

大作『新書太閤記』の1大分脈を成すのが本書である。秀吉といえども、独力では天下を取れなかった。前半は竹中半兵衛の智力を恃り、後半は黒田如水を懐刀(ふところがたな)とした。如水は時勢を見ぬく確かな眼をもっており、毛利の勢力下にありながら、織田の天下を主張。また、荒木村重の奸計に陥り、伊丹城地下牢での幽囚生活を余儀なくされながら、見事に耐えぬく。――若き日の如水を格調高く描く佳品。

感想・レビュー・書評

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  • 黒田官兵衛の生涯を見ると、関ヶ原のあたりが割と面白いと感じているので、少し物足りなさを覚えます。
    竹中半兵衛の病弱強キャラ感が好きです。もっと長生きして欲しかった。

  • 軍師とイメージがあり合戦が豊富にあるかと思った。しかし毛利につくか織田につくかの若かりし頃の話。捕まりながらの家臣の救出劇。その後の話が気になる

  • 黒田如水と名乗る前のとこで終わる。
    もう少し軍師として活躍するところも読みたかったかなと思う。

  • 黒田如水とは、黒田官兵衛のこと。長年、知恵袋として秀吉に仕えた。が、彼の頭のよさが災いして、秀吉の晩年には、次の天下を狙う危険人物として秀吉にマークされる。何とか切腹を回避しながら、黒田家を存続させつつ、政権が徳川に移ると見るや否や、秀吉への恩顧など過去の話と割り切り、関が原の戦いでは、東方として九州征伐するなど、その機敏さは目を見張るものがあるものの、人としてはどうなの?といってしまいたくなる。この小説は、そのあたりの如水の心の機微を捉えていて、奥深い。

  • 私本太平記に続いて、吉川英治の戦記物を読了。
    題名は後年の如水となっていますが、内容としては羽柴秀吉の軍師として活躍する途上の黒田官兵衛の伊丹幽閉から美樹城落城までの短編だけに、何を描こうとしていたのか伝わらないままでしたが、これは戦時中の所以なのでしょうか。

  • 黒田官兵衛の青年~中年期が描かれてます。
    戦略、智略がこのようにすごい!
    というよりは黒田官兵衛の人柄、義を重んじ、正しいと思った道を貫き通す性分にクローズアップされているように感じます。

    秀吉との心の交流。竹中重治との邂逅。
    史実に沿ってどのように官兵衛が考え、信念の基に行動していったのか、その心情が描かれてます。

    しかし、負けた城主は一族諸共処刑されたり、
    責任を取って切腹したり、稚児まで手にかけたり、
    時代がそのような時代であったにせよ、読んでいて苦しい気持ちになりました。

    初め、官兵衛は飄々とした軽い男なのかな、と思いきや
    そんなことはなく、話が進むにつれて義に篤く、主君には裏表無く仕える様、そしてそのような人柄だからこそ、家臣を含め周りの人間が官兵衛に何かあったときは損得抜きで助けようとしているのだと思いました。

    正しい道を貫く人に、人はついていく。
    そんなことを思いました。

    官兵衛のその後が気になるので、その後を追った作品も読んでみたくなりました。。

  • 若き日の黒田官兵衛。

  • 何に驚いたかって如水になる前に終わってることだ。えーこれからが本番なのにー。有岡城の幽閉が全体の山場になっていて、官兵衛の生涯に深く関わる出会いと体 験が描かれる。謀略と裏切りが渦巻く中国情勢が楽しい。争え•••もっと争え•••。主君を想う黒田家家臣のいじらしさ、ちび長政の可愛らしさが印象的。

  • (2014.06.20読了)(2013.07.21購入)
    【黒田官兵衛とその周辺】
    御着の家老をしている官兵衛が、毛利方につくか織田方に就くかの評議を抜け出し一眠りしている間に蜂に刺されてしまう場面から始まります。
    織田方に就くことに決して、岐阜に向かい藤吉郎を訪ね、信長に会い、圧切の太刀をもらって帰ります。
    織田方についたことを知った毛利勢に攻めこまれますが、何とかしのぎ、秀吉が支援にやって来ることになりますが、人質として官兵衛の息子の松千代を差し出し、半兵衛があずかります。
    三木城を攻めているうちに、村重の寝返りとそれに伴う御着の毛利方への寝返りの噂が聞こえてきます。御着の殿様は、村重が織田方に戻るよう説得できたら自分も織田方に留まるというので、御着の殿様の文を携えて村重の説得に向かいますが、…。
    御着の殿さまは、自分で官兵衛を殺すことはできないが、村重に官兵衛を殺してくれという文を官兵衛に持たせたのです。村重も官兵衛を殺すことはできなかったけれども、城内の牢獄に幽閉してしまいます。
    信長は、自分に何の断りもなしに村重を訪ねた官兵衛が、村重に加担したものと判断して、人質の松千代を殺して首を差し出すように半兵衛に命じます。半兵衛は、その命令に従い首を差し出します。
    一年余りの籠城の末、村重は城を抜け出し有岡城は陥落し、官兵衛は助け出されます。
    温泉で療養した官兵衛は前線に復帰し、三木城も陥落します。
    本格的な、毛利攻めの前に、姫路城を改築し秀吉の根拠地とします。
    物語は、ここまでで終わっていますので、NHK大河ドラマの6月現在まで放映とほぼ同じところまでで、終わっていることになります。
    NHK大河ドラマとあらすじはかなり似ていますが、細部は結構違っています。
    松千代(松寿丸)は、直接半兵衛に預けられています。ドラマでは、一旦秀吉の妻のオネのところに預けられています。
    信長の命令によって人質を殺す際に、ドラマでは、報告だけですが、この本では、首を差し出すようにという条件が付いています。
    半兵衛の死亡時期については、この本では官兵衛が救い出された後になっています。ドラマでは、官兵衛が幽閉されている間に半兵衛はなくなっています。
    この本では、官兵衛が助け出されたあと滝川一益が、信長に引き合わせています。ドラマでは、秀吉が信長に引き合わせています。
    この本では、人質の松千代を連れて信長と官兵衛の対面の場面にやって来るのは、半兵衛になっていて、信長に自分を処分するように求めています。
    それぞれ、どちらが史実に近いのかわかりませんが、興味深いところです。

    【目次】
    蜂の巣
    岸なく泳ぐ者
    沐浴

    信念一路
    丘の一族
    玲珠膏
    先駆の一帆
    鍛治屋町
    深夜叩門
    初対面

    与君一夕話
    死を枕とし
    鉄壁
    設計二図
    質子
    待望の日
    名馬書写山
    友の情け
    将座の辛さ
    捨児の城
    平井山の秋
    道は一すじ
    紙つぶて

    封の中
    猜疑
    虱と藤の花
    老いざる隠居
    惨心驢に騎せて
    菩提山の子
    かくれ家
    昆陽寺夜話
    室殿
    蛍の声
    藤の枝
    違和
    男の慟哭
    戸板
    稲の穂波
    陣門快晴
    髪を地に置く
    心契
    美人臨死可儀容
    城なき又坊
    草履片方・下駄片方
    註解
    吉川英治寸感  山本健吉
    黒田如水の旅  澤田ふじ子

    ●信長(192頁)
    「きゃつ、筑前をあざむいて、伊丹へ入城いたしたにちがいない。村重の帷幕に加わって、その智謀を加えよと、小寺からもいわれ、村重からも誘われて、うまうまと、潜りいったものとみゆる。―さもなくて何ぞ、村重がただ城内に生かして置こうや。出先の秀吉の軍状にも詳しく、わが織田家の内情にも通じておるために、村重に買われたものだ。策士たる彼奴としては、ありそうなことよ。……」

    ☆関連図書(既読)
    「軍師官兵衛(一)」前川洋一作・青木邦子著、NHK出版、2013.11.30
    「軍師官兵衛(二)」前川洋一作・青木邦子著、NHK出版、2014.03.20
    「軍師の境遇」松本清張著、角川文庫、1987.07.25
    「集中講義 織田信長」小和田哲男著、新潮文庫、2006.06.01
    「信長の棺」加藤廣著、日本経済新聞社、2005.05.24
    ☆吉川英治さんの本(既読)
    「宮本武蔵(一)」吉川英治著、講談社文庫、1971.07.01
    「宮本武蔵(二)」吉川英治著、講談社文庫、1971.07.01
    「宮本武蔵(三)」吉川英治著、講談社文庫、1971.07.30
    「宮本武蔵(四)」吉川英治著、講談社文庫、1971.07.30
    「宮本武蔵(五)」吉川英治著、講談社文庫、1972.07.30
    「宮本武蔵(六)」吉川英治著、講談社文庫、1971.07.30
    「私本 太平記(一)」吉川英治著、講談社、1990.02.11
    「私本 太平記(二)」吉川英治著、講談社、1990.02.11
    「私本 太平記(三)」吉川英治著、講談社、1990.03.11
    「私本 太平記(四)」吉川英治著、講談社、1990.03.11
    「私本 太平記(五)」吉川英治著、講談社、1990.04.11
    「私本 太平記(六)」吉川英治著、講談社、1990.04.11
    「私本 太平記(七)」吉川英治著、講談社、1990.04.11
    「私本 太平記(八)」吉川英治著、講談社、1990.05.11
    「随筆私本太平記・随筆宮本武蔵」吉川英治著、講談社文庫、1990.10.11
    「上杉謙信」吉川英治著、講談社文庫、1989.10.11
    (2014年6月22日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    大作「新書太閤記」の一大分脈を成すのが本書である。秀吉といえども、独力では天下を取れなかった。前半は竹中半兵衛の智力を恃り、後半は黒田如水を懐刀とした。如水は時勢を見ぬく確かな眼をもっており、毛利の勢力下にありながら、織田の天下を主張。また、荒木村重の奸計に陥り、伊丹城地下牢での幽囚生活を余儀なくされながら、見事に耐えぬく。―若き日の如水を格調高く描く佳品。

  • これを歯切れがいいと言われれば私にはとっても不本意なのですけれど。

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著者プロフィール

1892年、神奈川県生まれ。1921年、東京毎夕新聞に入社。その後、関東大震災を機に本格的な作家活動に入る。1960年、文化勲章受章。62年、永逝。著書に『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』など多数。

「2017年 『江戸城心中 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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