- Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062062541
感想・レビュー・書評
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"力"を手に入れると、人はかくも無残になれるものか。"恐怖"と対峙すると、人はかくも無力になりうるか。"欲"を前にすると、人はかくも醜くなれるものか。そんな人々の中にあって、理想を見失わず、信念を貫こうとする人々がいかに気高く力強いものか。 自分が生まれるほんの10年前にこんなことがあったなんて、衝撃でした。
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作者の家族を通して描かれた中国の近代史です。清朝が滅び、軍閥時代の社会はパール・バックの「大地」とだぶり、纏足や妾の話などは小説、満州での日本人による抑圧から終戦後の国民党と共産党の勢力争いまでは歴史の流れという読み方でした。
祖母から父母、自分の時代となり、作者と僕の年齢は近いこともあって、記憶と交差します。共産主義社会とは何なのか、毛沢東とはどういう人物だったのか。国交がなかったせいもあり、情報不足でした。マスコミも興味本位でしたし、誤解というか、間違ったイメージを持ってましたね。唖然、呆然という感じで、恐るべき時代を理解する事が出来ました。
「4千年の歴史」「大陸思想」、それは「アメリカに民主主義を押し付けられた」「島国根性」というコンプレックスを持つ日本からは数段高い世界に思えました。同時代に生きる同じアジア人が、体制の違いでこれほど苦しんでいたんです。
それにしても、個人崇拝は天皇制や今の北朝鮮と、自己批判の批闘大会は連合赤軍と、また登場する考えない人とかも身近と比較できます。ナチスと共産党はどう違うんでしょう?そして、それは戦前の日本ともつながります。
社会主義は平等、資本主義は自由重視という僕の考えは間違っていたようです。権力の問題じゃなく体制の欠陥でしょう。やはり、戦後の日本を守ってきたのは、民主憲法だったと痛感します。 -
社会が共産党支配に落ち着いたころがメイン。お嬢様として育てられた筆者とその転落。共産主義の理想に生き、裏切られた父親の壮絶な死が印象的。対照的な母のしたたかな生き方も読みごたえあります。人がおかしくなるのは、権力よりも集団思い込みかも知れませんね。そんな気にさせる怖い作品です。
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中国何千年の歴史のほんの数十年しか知らない私だが、これからの中国の変動ぶりが計りしれない。
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スゴイ話です。なんて言っていいのかわからないですが、3世代にまたがる中国女性の強さの物語といいましょうか。