- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062127363
作品紹介・あらすじ
本当のことなんて、どこにあるんだよ?江戸町民のまっとうな日暮らしを翻弄する、大店の「お家の事情」。ぼんくら同心・井筒平四郎と、超美形少年・弓之助が、「封印された因縁」を、いよいよ解きほぐす。
感想・レビュー・書評
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宮部さんの江戸ものは本当に面白い。人間の恐ろしさ醜さを描いても時代が違うからか安心して読める。
初めは連作の短編集なのかと思っていたが、全部繋がって日暮らしと言う長編になる構成。
特に現代のストーカーとも言える「子取り鬼」に出てくる孫八は恐ろしくて、こんな考え方の人が居るかと思うと震えが止まらない。
日暮らし本編も人間の弱さ恐ろしさをふんだんに盛り込んだ話なのだが、オデコと超美形の弓之助の賢さ、純粋さ、優しさに救われる。
他の登場人物のエピソードもたくさん有るのだが、自分の後ろめたさ故に身を落として誰かを助けたくなってしまう彦一の話が心に残った。
自分が立ち向かうべき問題から逃げたくて別の事に打ち込む。こう言う事って大なり小なり自分もやっていそうでハッとする。
弓之助とオデコがいつまでもその純粋さ、優しさを失わず大人になって行ってもらいたい。
そしてその頃の話も読みたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
上中下巻読み通しての感想。
「ぼんくら」から一年の時を経た物語。
平四郎と弓之助たちに、再び周囲の人々を巻き込む事件が起こる。
すべての事件の根は過去にある。
結局、人は過去の責任や負い目や過ちのつけを、どこかで清算しなくちゃいけないんだなと。
このシリーズの何が一番の魅力なのか。
それは登場人物たちがとても個性的で、生きていくことに懸命で、優しくて、共感したり応援したりしながら読み進められるところだと思う。
心が常に真っ白な人間なんていない。
どこかで迷ったり、疑ったり、自棄になったり、負の感情に押し流されそうになることだってある。
それでも踏みとどまれるのは、人の優しさやあったかさを知っているからじゃないだろうか。
騒動の決着がついたとき、弓之助が平四郎のひと言に怒ったこと。
すごく納得した。佐吉だけは、絶対に本当の真実だけを見せなくちゃならない。語らなくちゃならない。
優しそうにみえる行いも、真に相手のことを思えばけっして優しさなんかじゃないことを教えられた。
それにしても、闇に落ちた人間の怖さははかりしれない。
底なし沼のような闇に取りこまれてしまった人間と、何があってもお天道様の下で懸命に生きようとする人間の対比が、悲しくもありたのもしくも感じた物語だった。 -
2020.11.27.読了
だいぶ前に読んだはずだが、
変なところしか覚えてなくて驚く。
続きも覚えてない…
おまんま
嫌いの虫
子取り鬼
なけなし三昧
日暮らし
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同心 井筒平四郎のいい加減さがちょうどいい
美形の甥 弓之助との会話も絶妙な
江戸時代の町民の暮らしぶりが垣間見えて興味深い
現代とかなり近い暮らしだったことが伺える -
「ぼんくら」の後の話。「ぼんくら」は鉄瓶長屋を中心に回っていた話だが、今回は、もう少し広い江戸の町民の話。
前回より、ほのぼのとした感じ。登場人物に愛着がわいてきていることもあり、さくさく読めた。 -
表題作の本編(?)に続く短編はおでこに始まる。彼が立派な役人になるのを知っている私(読者)にはほほえましい。
元鉄瓶長屋の差配人佐吉が植木屋に戻って幸せな家庭を築いているのかと思いきや!?
続くは殺されたはずが生きていた佐吉の母、葵。子連れで現れたお六の事件で、過去とのけじめがついた気がしたのに!?
そし幸兵衛長屋に移ったお徳さん。その商売敵の女の事件。そのものにはかかわりないが、のちに本編でお徳さんのこれからに、大いにつながっていく。
4つの短編を受けて流れていく「日暮らし」ドキドキである。 下巻へ! -
江戸町民のまっとうな日暮らしを翻弄する、大店の「お家の事情」。ぼんくら同心・井筒平四郎と超美形少年・弓之助が「封印された因縁」を解きほぐす。2000年刊「ぼんくら」に続く下町時代小説。
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感想は下巻にて。
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人情に溢れて展開が面白く、止まらないのでこのまま下巻へ。