- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062140584
感想・レビュー・書評
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旧制ロシア時代の終わりの混乱期に跋扈したやさぐれものたち。
そんな混乱期に生まれた主人公が身を持ち崩し、めちゃくちゃな毎日をすごすようになりついには身を滅ぼすまでのお話。
まず著者が日本人で或る事に驚かされた。知らないで読むとロシア文学の翻訳物かと思うくらい、当時のロシアを生き生きと描き出している。
あまりにも惨く醜い男たちのお話なので、ロシア人は描こうとはしなかったかもしれないが。男性のDNAを少しばかりうたがいたくなる、無意味で乱暴な戦争とも言えない醜い争い日々のお話なので、素晴らしい筆致でいい小説と思うが読んで楽しい小説では残念ながらない。覚悟してから読み始めたほうがよいかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
描写力に圧倒される。
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途中で2日ほど間を開けて読んだら、人名が飛んでしまっていた‥ロシア人の名前は鬼門じゃ。一気に読み終えたら、もっと面白かったんだろうな。
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半分くらい読んだところで面白くなくてやめた……。
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伊坂幸太郎さん推薦本その2。
ロシアを舞台にしたピカレスクロマン。
暴力、襲撃、窃盗の話。
まるでロシア人が書いた小説を日本人が和訳したかのような文体。それくらい世界観がしっかりしてる。
こんなに寒くて暴力と襲撃に満ちた世の中なら、誰もがやけを起こしそうだし、絶望的な気分にもなる。
主人公は割と冷静に自分の人生を客観視している感じだが、結局は他の見下していた連中となんら変わらないのではないか。という僕個人の感想。これは多くの読者の共感を得るんじゃないかと思う。
胸に深く突き刺さる小説。 -
一人称なのでラストどうなるのかと思ったら…!
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冒頭では、割と好きなキャラだったんだけどな。主人公。
ピカレスクものでも「悪童日記」みたいなのは好きなんだけど、
筋が通ってないのでいまいち無理だった。要するに、なんだかんだ言っても
甘やかされて育ったお坊ちゃんだったんだな。
中盤あたりから「駄目だこいつ・・・早くなんとかしないと・・・」状態。
読み応えはあるが、読後感はあまり良くなかった。 -
吉川英治文学新人賞受賞(2008/29回)
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日本人にこんな小説が書けるとはすごい。星の数は好みの問題です。戦争ものは苦手。
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冷静な主人公の語り口がその内容のおどろおどろしさをさらに突きつけてくるような感じを受けました。ミノタウロス、半獣、というより獣そのものよりすごいぞ、と思いました。著者の初期作『バルダサールの~』を読んだ時の衝撃を思い出しました。後味がとても悪いです。
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2011/7/21購入
2012/1/28読了 -
C
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まだ面白さがピンとこない。寝かせておくか。
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血と泥のにおいのする小説。圧倒させられた。何で今の日本に生きてる人がこんな物語をかけるんだろう。
ロシアを舞台にしてミノタウロスというタイトルがついているのに不思議に思ったけど、荒廃した時代に解き放たれる獣性と、捨てきれない人の心を半人半獣にたとえたものだったんだと納得した。濃密に人物を描いているのに、それを読むほどに人の本質というものがどこにあるのか分からなくなっていく奥深さがすごい。この人の小説をさらに読んでいきたい。 -
Twitterでの佐藤氏の率直な発言に興味をもち手にとってみた。
陰惨な物語だけれど、そうは感じなかった。主人公の育ちのいいお坊ちゃまっぽさが、陰惨ではあるが非人間さのぎりぎり手前で踏みとどまってる感を与えるのかも。実際、全然踏みとどまってないけど。
20世紀初頭ロシアという、なじみのない入り込みにくい舞台でありながら、人物描写の鮮やかさによって、ぐんぐん読ませる。
とか言ってたら、佐藤氏に軽蔑されそうだな、と思いつつ。 -
特に前知識もなく読んだので、きっとすごさがよくわかってないのだと思う。日本人が書いたのはすごい。アゴタ・クリストフみたいだった。
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「人間を人間の格好にさせておくものが何か、ぼくは時々考えることがあった。それがなくなれば定かな形もなくなり、器に流し込まれるままに流し込まれた形になり、更にそこから流れ出して別の形になるのを――ごろつきどもからさえ唾を吐き掛けられ、最低の奴だと罵られてもへらへら笑って後を付いて行き、殺せと言われれば老人でも子供でも殺し、やれと言われれば衆人環視の前でも平気でやり、重宝がられせせら笑われ忌み嫌われる存在に
なるのを辛うじて食い止めているのは何か」(269ページ)
この一文が「ミノタウロス」という題名の所以ではないか。
淡々と書かれていく主人公の心情の中で、とても印象に残った文章。