モダンタイムス (Morning NOVELS)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062150736

感想・レビュー・書評

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  • 今や何かわからないことがあれば人は「検索」をする。特定のワードを検索すると監視され、場合によっては拷問、殺されることもある…というありそうな話で恐ろしい。いつもの伊坂作品のようなユーモラスなところがなく、監視社会の恐怖を風刺したシリアスな内容。個人的には登場人物のそれぞれのキメ台詞「勇気はあるか?」などが心に刺さり、再読することになる作品の一つです。

  • 2016.10.24読了。

    伊坂さんのなかでは長編の部類かと。予備知識なしで読み始めたが、一気に読んでしまった。

    途中、魔王の続編だと判り、また面白くなった。以前の作品と繋がるのは楽しい。

    内容としては、見えない敵に追われつつ、真相を追い求めるのだが、結局は誰が悪いわけでもなく、各々が自分に与えられた仕事を淡々とこなしているだけである。結局は人間なんて大きな国家や社会やシステムの一部なだけでちっぽけなんだと。

    でも、個人にとっては自分が主役の人生。要約すること、まとめることなんて出来ない。全ての時間が積み重なって私の人生なんだと。あまり大きな事にとらわれ過ぎず、目の前の1つ1つの事を大事にしていきたい。

    それにしても奥さんが強すぎた。
    色んな意味で。

  • 「魔王」から何代か下った後の物語。直接的な関係はあまり無いけど、同作でも登場した”能力”が、本作でも重要な鍵を握る。方向性は似ているな~と思っていたら、やっぱり「ゴールデンスランバー」と並行して書かれていたんですね。扱っている内容は結構シリアスだけど、軽妙な文体のおかげで、そんなにドッシリ重く心にのしかかってくる感じには仕上がっていない。どんな題材でも伊坂流に仕立て上げられているのが凄いですね。何度も拷問に合いそうになったり、やばそうな局面に立ちながらも、無傷でやり通したっていう、それをもって特殊能力なのかな、とか思いながら読んでました。腹話術より、そっちの方がよほどすごいことですよね。

  • 伊坂さんの読んでない本が溜ってるな、と思い適当に借りた1冊。
    発売順に読めば良かった、と読み始めて思ったものの、相変わらず楽しかった。

    「そういうシステムになっている」ってセリフから、全然何も解決なく終わるのではとハラハラしたけど、何だか良い感じで終わったのが良かった。
    著者と同じ名前の作家で女好きって設定で出てくるから、初めて著者本人はどうなのかと興味が出た。
    思わず検索してみるが、検索の1ページ目には著者本人についての説明や噂なんてものは何も出なくて、何だか可笑しくなった。

  • 「勇気はあるか?」29歳の会社員となった
    私の前で、見知らぬ男がそう言ってきた。
    「実家に」と言いかけたが、言葉を止めた…。

  • 壮大だった。
    魔王からって考えると、大長編だった。

    数ある伊坂作品の、まだ幾つかしか読んだことがないけれど、この人がヒトラー、アイヒマン、チャップリンの「ライムライト」に言及することが意外に感じられると共に、嬉しかった。

    どの作品にも通じると思われる伊坂の考え方がストレートに表現されている作品だな、と思う。

    大きな目的のためではなく、目の前の小さな目的に向かうことで、世界も少しは変わるっていう。

    途中、井坂好太郎(このキャラクターとても良かった!)や永嶋丈の発言が、「砂漠」の西嶋とダブり過ぎたけど、そうではなくて、ダブるとか被るではなく、どれも著者伊坂自身の根底にある思いを背負った登場人物達なんだって気が付いた。
    この人の思いは、ストレートで直球勝負。
    いつ読んでも、「お前は今のままでいいのか?」「それでいいと思っているのか?」って問い質される気分になる。

    「覚悟はあるか?」「勇気はあるか?」
    覚悟も勇気も、実家に忘れたではなく、大切な人のそれさえも預かってる位の、器の大きい人間になりたい。

    単行本版で読んだけど、文庫版出版にあたり、播磨崎中学校事件の真実やラストに手が加わったとのことなので、そちらも読む予定。魔王の再読の次に。

  • 確かにこういうことは起こり得るかもしれないという部分を感じつつ、出来事や登場人物のセリフなどが結構興味深く、楽しんで一気に読むことができました。

    世界観が私の好きな感じで、みなさんがおっしゃる通り、残る謎は多くありますが、それはそれとして、かなり楽しめた作品でした。

  • 伊坂作品の中ではあんまり勢いがないというか、最後は無理やり結びつけたかんじがする…

  • 人間は知らないことがあると検索する
    うまく捉えてるなあと思った

  • システムによる人間の思考の停止。善悪の判断の鈍磨。国家と作業細分化。テーマはそんなとこかな?とりあえず分量と内容密度に整合性がなくって、多いなー長いなーと感じずにはいられなかった。久しぶりに、一冊読むのに数日間かけた。時折ある拷問がスパイス。播磨中事件の真相が永島により語られるときだけは、ページをめくる手が速くなったが、信じれるものを信じればいいさ、という結論をぼかすような、アフォリズムを狙っているかのような、そんな表現がはなについて興醒めした。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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