天山の巫女ソニン(5) 大地の翼

著者 :
  • 講談社
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感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062155205

感想・レビュー・書評

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  • 最終巻。一応、一段落ついたものの、これからって感じもする終わり方。特に、ソニン。余計な感情を持たないよう育てられてきた少女が、自分のやりたいことを口にできるようになるまでの成長譚としてはよいのだけど、エピローグでもいいから、も少し先のソニンを見たかったかな。とはいえ、全5巻、楽しませてもらいました。

  • 最終巻。大きく予想外になることもない、綺麗な終わり方。外伝もあるらしいので、読んでみたい。
    2015/11/10

  • ついに戦が……!でも、王子王女の思いは一つ。どうやってこの戦を早く終わらせるかということでした。『敵は戦をする相手の兵士だけではない。戦が起こることを望む人々すべてだ』七割の法則とかもありましたね。人は七割が流されやすい。物語でありながらいつの間にか自分たちの世界に重ねておりました。このお話、ラブ要素が足りないと思っていましたが、戦に向かう前のイウォル王子とソニンのやり取り、ムサの口に腕を突っ込んだソニンを心配するクワン王子などでお腹いっぱいでした。しかし漂う寸止め感。この話がラノベだったらまだ続きそう。

  • ここに至るまで KiKi のこのシリーズへの評価はかなり高かったんだけど、残念ながら最終巻は若干「肩透かしを食らった」ような印象でした。  相変わらず社会に存在する様々な矛盾に対する著者の視座で描かれた物語の大筋は評価できるんだけど、最後がちょっとねぇ・・・・。  何ていうか、イェラ王女の取った最後の行動がソニン及び沙維国に都合が良すぎやしないかなぁ・・・・と。  

    不毛で終わりの見えない戦にピリオドを打つため・・・・という真っ当な理由があるのはわかるし、ここまでの巻で描かれてきた父王とのピリピリした関係からして王の決意を翻させるための劇薬みたいな処方箋なのもわかるけど、敵方に自国の弱点の情報を流すな~んていうのはチト行き過ぎの感が否めません。  普通に考えればこの行為は「売国奴」と言われても仕方のない行為なわけで・・・・。

    ただ、これが児童書の限界なのかもしれないなぁ・・・・・とも思うわけです。  もっと異なる事の治め方というのも実際の社会ではあるはずだけど、何せこの物語では登場する国が三国だけだし、周辺諸国がどうなっているのかはさっぱり??だし、そこへもってきて三国入り乱れての戦乱状態に陥っちゃっているわけだから、その状態をひっくり返すためにはそれこそ「まさか?」というような策しか描き様がなかったとも言えるのかも・・・・・。



    ま、そんな不満な部分はともかくとして、この最終巻でもなかなかに深い「人間観察」の言葉が出てきたと思います。  その最たるものが義兄のイルギが語る「7割の法則」です。  これは「人間のうち7割は、まわりの動きや噂、自分の欲に流されやすい」というもので、齢50を超えた KiKi をして「なるほど、その数字、いい線いってるかも!」と思わせてくれました。

    「人は本当はみんな善人だ」「いや本質はみんな悪だ」と決めつけるより、「七割くらいは流されやすいからな」というほうが当たっている
    は紛れもない事実のような気がするし、それぐらいのスタンスで自分の周りで起こることを眺め、「さて、じゃあ、私はどうする?」と考えてある時は3割の方に、ある時は7割の方に加担するのが人間という生き物なんだろうなぁと思いました。  そもそも私たちが暮らす「民主主義社会」というヤツだって、とりあえずは過半数を超える人が良しとすることをベースに社会を運営していくというシステムなわけだから・・・・・。 

    そしてもう1つ、心に残ったのがソニンがまだ天山にいた頃、教育係のノアとの間で交わされた以下の会話でした。

    「ノア様。  なぜ、暦は冬から始まるんですか?」

    「生き物にとって、一番厳しい季節だからよ。」

    「どうして一番厳しい季節から、一年は始まるのですか?」

    「きっと昔の人は、人の一生を、何もない辛いところから、だんだん暖かく、だんだん豊かに、だんだん幸福になってゆくものだと考えていたのね。  だからそれを毎年思い直すために、新しい暦は、一番寒い季節から始まるのよ。」

    正直な所、KiKi はどうして暦が1月から(というより冬から)始まるのか?な~んていうことを疑問に思ったことはありませんでした。  ある意味で「そういうものだ」と、「そう決まっているから」と思っていたように思うんですよね。  でもそれって紛れもなく「思考停止」な状態なわけで、ソニンのこの疑問の発し方にちょっとした驚きを感じたのと同時に、ノアの答えにもある種の哲学的な解が垣間見え、「なるほどね~」と感心してしまった次第。

  • 児童書なのに各国の争いを中心に物語が進んでいく
    決定的な大団円ではないし
    お決まりのハッピーエンドにならないところに
    作者の強い意思が見える

  • シリーズ完結
    三国の王子王女たち、元・巫女ソニン
    うまくまとまったな、と

  • 【図書館本】完結巻。正直物足りない。それは多分、次代を担うイウォル・クワン・イェラが仲良く手を取り合うところを想っていたからだろう。その一歩手前で止まっているので寂しさはある。
    ソニンが夢見でではなく、リアルに飛び回ることになるとは……。多くのことを見聞し、自分のものにした時のソニンは頼もしいだろう。最強の仲間もいることだし、国が一つになるんだろうな。
    ソニンの一生懸命さが胸を打つスリーズだった。

  • 【心に響いた言葉】
    運命に選ばれるのではなく、自分で選び取った運命を生きていく人間なのだから

  • 児童書だけど大人でも十分読める。各国の王子・王女達がすごく魅力的。そんな人たちに囲まれた元巫女ソニンの成長の物語。

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著者プロフィール

1969年、福島県南相馬市生まれ。2002年、「橋の上の少年」で第36回北日本文学賞受賞。2005年、「ソニンと燕になった王子」で第46回講談社児童文学新人賞を受賞し、改題・加筆した『天山の巫女ソニン1 黄金の燕』でデビュー。同作品で第40回日本児童文学者協会新人賞を受賞した。「天山の巫女ソニン」シリーズ以外の著書に、『チポロ』3部作(講談社)、『羽州ものがたり』(角川書店)、『女王さまがおまちかね』(ポプラ社)、『アトリと五人の王』(中央公論新社)、『星天の兄弟』(東京創元社)がある。ペンネームは、子どものころ好きだった、雪を呼ぶといわれる初冬に飛ぶ虫の名からつけた。


「2023年 『YA!ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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