悪貨 (100周年書き下ろし)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062162487

感想・レビュー・書評

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  • wowow ドラマを見終わり、
    こんな物哀しい終わりだったけ?
    と再度読み返した

    最初読んだ時
    主人公とヒロインの恋愛が ? って
    そして
    本当にこんな風になったらびっくりだよねえ
    と島田さんに作品的には
    現実味ないなあ
    っておもったけど
    (あんまり覚えてなかったです…)
    ドラマで映像化したのをみると
    その部分が払拭され
    ドラマのセリフがほぼ原作にあるんで
    わかりやすかった

    原作を先に読むか後に読むかって悩むことがありますが、この作品は先にドラマってのがいいのかも

  • 大学生時代に夢中だった島田雅彦。
    若々しい青さで好きだった。なんかこう、絶望的な気持ちで好きだった。
    この絶望的で、抜け出せない暗闇を背負ってるのに自由な、感じの島田雅彦の小説に恐ろしくはまっていた時期があった。

    そして、久々に本屋で島田雅彦と対面。
    最近、大人になってしまって、あの絶望的な闘争心みたいなものから目を背けたかったため、全然読んでなかったが、なぜか、今回は行けそうな気がして手に取る。

    で、よんでみると、私のはまってた島田雅彦ではない島田雅彦の本でした。
    ドロドロ感の少ない、訳のわからない哲学感の少ない、エンターテイメント的な本。

    なので、昔の島田雅彦が苦手な人にも読めそう。
    とはいえ、少し物足りなかったりする。

    WOWOWでミッチーが野々宮を演じると知って読んでいたため、映像が、完全にみっちーで作られた。
    他のキャストは誰になるんだろうか。ちょっと気になる。特に、後藤とフクロウ。

    ちょっとだけ、篠田節子の弥勒を思い出した。全然違うけど。

    2014.11.23

  • 初めて読む作家だが、ストーリーだけがやたらと早く進んで行き、登場人物の掘り下げ方が浅く、何だか小説のダイジェスト版を読んでいるようだった。偽札で経済破壊しようとする話だか、たかが四百億ぐらい、今の連銀や日銀がじゃぶじゃぶに出している銀行券に比べれば可愛いものである、作者もまさかこんなに貨幣が溢れる社会になるとは想像もつかなかったのであろう、淡白な小説でもうこれ以上フォローしようとは思えない作家であった。

  • この作家の本は、初めて。
    「金は天下の回り物」が、この本を表しているかも。
    お金は、色々な人を通して流れていく。この流れを乱そうとすればできるけど、結果的にはろくなことにならない。こういったことが、スピード感を持って語られる。

    中だるみがなかったのが、すごいなと思う。

    あ、もう一つ。
    「金の切れ目が縁の切れ目」もこの本の言いたいことかな。

  • 2014/1/10購入
    2016/8/7読了

  • 「悪貨は良貨を駆逐する」
    偽札が流通し始めるとインフレが起きる。経済に与える影響は尋常ではない。しかもテクノロジーは(素人には)本物と見分けがつけられない偽札を作る事を可能としている。
    もはや日本の貨幣にたよっては経済が成り立たない、とばかりに自分で通過を作る団体が現れる。
    (本書には登場しないが)電子マネーが普及しはじめた現代にこれから貨幣のありかたを考えさせられた。

  • 話を作りすぎてる感じがした。
    島田さんは博学で凄い人だけど、金融政策となるとちょっと無理があるかな?

  • うーん。。お金ってよく考えるとホントに不思議。
    ただの紙切れなのにね。
    強大な力に飲みこまれ、翻弄させられ・・・。。
    オチは読めていたけど・・・空しい・・・。
    一矢報いるオチにしてほしかったな・・・。

  • お金って一体何なんだろう。ただの紙切れ、されど、それが価値を持つことにより、巨大な力を持つ。金に、どんな価値をつけるのかは、それぞれだ。心が伴っていて、上手くいく場合もあれば、逆も然り。
    彼岸コミューンの考えは、現代の貨幣制度に対する問題提起か?

    な〜んて、真面目に書いてみたが、極上のエンタメ小説である。
    頁を読む手が止まらなく、読み進めてしまった。登場人物が交差していく見事な配置。金に振り回される人々、振り回す人々、それを追う人々。様々な視点で描かれる世界。

    その中の、野々宮という男。島田雅彦は、こういう人を書くのが上手い。完璧なんだけれども、どこか抜けていて。情があるところが、読んでいて惚れてしまう。女刑事も、これまた、彼の作品に出てくるタイプ。この2人のラブストーリーは、終わりが見えているけれど、どちらも希望を信じている、それが辛い。が、私はこういう終わり方は好みだ。野々宮と恩師の下りも切なく、「一言の重み」を知らされる。

    全体を通して、文体も他の作品と違い読みやすく、島田氏が面白がって描いている…そんな気もした一冊。

  • 美男子作家


    この言葉であがる名前はいくつかある。
    芥川、太宰は定番で吉行、五木寛之、島崎藤村なんかもよく聞く。
    私はダントツでカミュなのだが、現存する人で賛否があまり分かれない定番のイケメンといえばこの人、島田雅彦である。
    改めてさっきググってみたのだが、うーんやはりハンサム。特に年取ってからの方が私は味があってよいと思う。


    近頃最近の作家に興味が向いてきたので試しに読んでみた。
    おすすめでも上位だったので選んだ『悪貨』。文庫になっていないので図書館で単行本を借りた。
    一気に読めたな、文章に癖もなく、難しい表現も用いないからだろう。
    で、感想なのだが目から鱗。驚いた、おもわず出てしまった”陳腐”のその一言。



    私が知っている数少ない予備知識では、確かどっかの大学の教授で芥川賞だかの選考委員、大学は露西亜文学専攻、そしてイケメンのはず。
    最後はともかくとして、この人は現代純文学の何かであったと記憶している。
    それがどう間違ってこんな作品を書いたのか。思わず読み終わってから頭を抱えてしまった。そして、もしかしたら島田違いの他の作家の作品を読んでしまったのではないかと考え、思わずググる。間違いはなし。となるとさらに困惑だ。
    何がどうなってこんなことになったのだ?書き下ろしだからか?いいや、そんなこと全く関係ないだろう。あったほうが大問題。ゴーストライター疑惑濃厚だ。
    やはり、動揺。くわえてがっかりした。



    ここまでさんざんくさしたが、あとになって少し調べて見たところによれば、エンターテインメント的な作品として書かれたらしい。
    なるほど、遊び心は確かに作家にはもってもらいたいものだ。
    そうして純文学用の斜に構えの眼鏡を外して改めて眺めて見る。
    先ほども書いたが、文章はすこぶる読みやすい。そして展開はスピーディーでぽんぽん進んでゆく。しかし、だ。その展開の早さに固執してなのか、すべてに関して掘り下げや設定がおざなり。加えてまるでテレビドラマ、いや昼ドラ並に登場人物がみんな陳腐で退屈な動きしかしない。
    いや、最初はまだよかった。軽いなとは思ったが現代作家って重々しすぎる方がなにいってんだか判らないことの方が多い。そういった煙に巻く感じのお陰で苦手とする作家は多々いる。だから悪くないって、逆に面白いなとすら思っていたのだが、野々宮とエリカがラブストーリー的な雰囲気を出し始めたあたりから雲行きの怪しさを感じ始めた。だってあまりにも美しさがないのだもの、加えて情熱もだ。こういうところで多少なりとも片鱗的なモノを見せて欲しいって私は思ってしまう。
    そんなこともあり、ふいに我に返りそこまでの物語を振り返り、あれっと思う。しかし、まさかこのまま終わらないだろうと考えた。いや、信じたのだが、予想のさらに下を行く形で物語は収束した。
    なんでこうなるかな。
    少し前に『麒麟の翼』をこき下ろしたが、いま思えばあちらの方が格段に上手だった。
    構成もストーリーもキャラクターの役割も十分に涙を誘うような演出があったと思う。
    確かにこの物語にはそういったお涙場面はあわないだろうが、ニヒリズム的に描くにしても結末のお粗末さはいただけない。
    ここまで来るとわざとやる気なく書いたようにすら思えてしまった。
    いやいや、言い過ぎかな。
    大体、私は書評とかのですら、この人の文章に触れたことがない。作風すらもはっきりしていない。
    もしかしたらものすごくパンキッシュなニヒリストで、裏をかいたような意味がこの作品にも隠されているのかもしれない。
    ”悪貨は良貨を駆逐する”
    警鐘ってこと?いやさ、でもそれを語るストーリーがやはり……なんだかな。
    ともかく作家としての判断は保留にしておこうかと思う。
    さんざんくさしたうえに偉そうなこといっているが、私も少なからずショック受けているんだ。
    この人が三島由紀夫文学賞の選考委員をやっていたなんて信じられない。
    ……いや、だって。
    あぁもうやめよう。埒があかない。他の作品を読んでから、ちゃんと考えよう。
    誰にだって得手不得手はある、きっとそういう話だ。
    うむ、

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著者プロフィール

作家

「2018年 『現代作家アーカイヴ3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島田雅彦の作品

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