愛の夢とか

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062177993

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな作家の最新作。前半の繊細さには、短編として映えるための濃縮した魅力があまり無いようにも感じられたが、読了すると、「愛の夢とか」というタイトルに納得した。夢のように儚い「愛」であれ「幸福」であれを失う女性たち。特に最後の2話が気に入った。『お花畑自身』では、既刊の長編にも共通する、真逆の立場の女対女の思想あらそいのスリルに戦慄しながらも、女性という性について問いかける「ミエコ節」が堪能できた。『十三月怪談』には泣かされた…妻視点の最後の部分が平仮名になって溶けていくようなところでもう…たまらない…。二つの展開、どちらも素敵だなあ。

  • 最初つまんないと思ったけど、読んでいくとのめり込んでいけた。お花畑自身と十三月怪談が特に。好きな人の良さをうまく言葉にできないということは、誰にも共有されない、わたしだけのものということ。

  • (2013年8月29日読了)
    川上未映子作品2冊目。でも、最初にチェックしていた本。(以降、川上弘美さんと区別するため、未映子さんと呼ぶ事にする)
    少し常軌を逸する人達の、けれども理解出来なくも無い7話収録の短編集。
    全体的に読後に憂鬱さが残る。未映子さんの、超幸せな作品もあるのだろうか?
    未映子作品の感情やモノの例えのニュアンスが好き。文章の建て方はもちろん、使われている漢字ひらがななどの表記の仕方にまで工夫されている。
    『十三月怪談』には、共感する事が多かった。死後の妻の見た夫の生活と、夫の語る生活と、どちらが本当なのだろう。ラストシーンには、妻も存在し、感じている事なのかな?

    『アイスクリーム熱』 アイスクリーム店の店員と客・押し付けの片思い
    『愛の夢とか』 隣家・テリーとビアンカ
    『いちご畑が永遠につづいてゆくのだから』 同棲・喧嘩の後処理
    『日曜日はどこへ』 作家の死去・遠い日の再会の約束
    『三月の毛糸』 出産を控えた夫婦の旅行・不安定な妻
    『お花畑自身』 諦められない家・不自由ない生活からの転落した妻と占い師(作詞家)
    『十三月怪談』 病で亡くなった妻の生前と死後の妄想・忘れられない夫

  • 十三月怪談が良かった

  • 空気を描くのが上手い人だなと思う。
    さらさら流れる感じとかどんよりとした澱んだ感じとか。

    実験的な描き方の作品もあって、あっというまに読み終えた。
    この人の作品のラストは独特の後を引く感
    じがあり、読み終えてすぐにいつもページをもどって読み返してしまう。曖昧さを楽しめるというか、そんな感じ。うまく言えないけど。

  • 短編集。川上さんはエッセイも好きでよく読んでいるけど、小説もいいなぁと再認識。この方は短編の方がおもしらいかも。

  • 十三月怪談よかった

  • 川上未映子さんの魅力と知性が詰まった作品。どれも心にぐっとくる、だけでなく、ある物事に対して新しい視点や切り口を提示してくれる、本物の小説。ま、アバタモエクボ的な見方ではあるけれども。

  • あまり感想はないけど、やはり文体が良いとおもう。

  • 短い中に収められた登場人物は"狭さ"がある。それで身動きがうまくとれないようなので、読んでいて、辛くなってくる。ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人 』を読んだ時の気分の落ち込み方に似たものを感じた短編集だった。

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著者プロフィール

大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。2019年、長編『夏物語』で第73回毎日出版文化賞受賞。他に『すべて真夜中の恋人たち』や村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』など著書多数。その作品は世界40カ国以上で刊行されている。

「2021年 『水瓶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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