空白を満たしなさい

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062180320

感想・レビュー・書評

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  • 分人という考え方にとても感銘を受けました。受け入れられない自分がいてもいい。さまざまな分人が自分の中にいるんやからと思えるようになりました。

  • 内容に作者の思想のが活かされていて興味深い本だった。「分人」という考え方は印象的で、死生観に大きく影響を与えると思う。誰しも死にたくて自殺する訳ではなく、生きたくて自殺する。変な言い方だが、どんな辛さからの自殺であっても、死後の世界があるとするならその場所で、自殺者は後悔していると思う。だからこそ、自殺する前に分人という思想は一見の価値があると思った。
    他の作品も読んでみたい。

  • この本はなかなか分厚い。
    しかも、表紙は白地に大きくてツヤツヤな赤い字がドーン!!
    ぱっと見、啓発本です。
    でも、それはあながち間違った感覚では無かったと、読後思っています。
    この本では、小説と言う形を借りて、作者が私たちに多くの事を語りかけてきます。
    本の中で、主人公が出会う『分人』と言う考え方がまさにそれだと思います。

    ただただ、ミステリ小説として読むのも悪くないけれど、この本は、それ以上のことを期待しても応えてくれる数少ない本です。

  • 考え出すときっと溢れ出してしまうから考えないように封印してること。この本を読む分人として自分自身の空白を満たしなさいと言われたような、そんな読後感。この夏に読んでよかった。

    読了後に見ましたが、この動画の著者の語りもよかったです。

    「どういうふうに今の時代を生きていることを納得するのか、ということを考えたかった。小説は半分は自分がかかっている病気に効く薬を開発している研究者みたいなもの。」

    |平野啓一郎が最新長篇小説『空白を満たしなさい』を語る。
    http://youtu.be/H8K-nPHardg

  • 自殺する人、とどまる人
    自殺未遂を繰り返す人
    自殺すり気がないのにしてしまった人
    自殺がよぎりながら生きている人
    紙一重なのかなって、・・・・・・
    生きてればいいことあるよ
    生きてるだけで丸儲け

  • 哲学的、心理学的、推理小説的な要素、死者が生き返るSF的要素と非常に斬新な小説でした。
    分人という考え方は著者の考え方なのか心理学的に確立したものなのかは不明ですが自分自身の人間関係において非常に参考になるものでした。
    自殺をテーマに扱っているので気持ちが落ちてしまう所もあるのでブルーな気持ちの時は読まない方がいいかもです。

  • よく分からないんだけど、米澤穂信の『ボトルネック』を思い出しながら読んでいる。何だろうこれ。

  • 死んだ人がよみがえるという話と言ってしまうとありふれたファンタジーに聞こえてしまうが、そこは平野啓一郎先生。
    訳も分からずよみがえった主人公は、実はその死因が自殺だと知り、自分はなぜ自殺したのかを問いながら、そもそも自分とは何者だったのか?どうあるべきなのか?なぜ生き返ったのか?生き返ったことは周りにとっても自分にとっても幸せなことだったのか?なんていう禅問答満載の哲学的テーマに落とし込む。
    何でもかんでも「死」を消費の道具として使ってしまうエンタメ業界へのアンチテーゼ小説でもある気がしますね。

  • 数年前、叔父が自死した。

    叔父家族は一女一男の4人家族だったが、
    長男が不運な事故死を遂げた。まだ高校生だった。

    それ以降、叔父と叔母は鬱状態となり、
    それぞれ弱りながらも何とか支え合って生きていた。
    そんな中での叔父の自死だった。

    遺された叔母は落胆どころではなく、叔父を憎悪した。
    激しく罵った。自分だけ楽になった。私を置いて行ったと。

    本当にそうなのだろうか、と私は思った。
    楽になるために叔父は自死を選んだのだろうかと。

    本書は、3年前、会社の屋上から飛び降りた男が
    ある日、突然生き返るという、かなりエキセントリックな
    場面設定からスタートする。

    自分の「死」はなんだったのか、
    死から復生した主人公自らの燃え盛るような激しい内省描写は、
    趣は異なるが、ドストエフスキーの「罪と罰」を思わせる。

    この物語を通じて、人の「生」や「個」とはなにか、
    哲学的な問いを投げかけてくれる。

    誰にでも平等に訪れる死だが、
    逝く人にも遺される人にも救いや赦しは必要。

    叔父の自死を経験したからこそ、本書の抉る本質に
    強く共感できる。

  • 著者の本は初めて読みました。とても楽しめました。いったいストーリーが、どう展開していくのか読めなくて興味深くて一気に読んでしまいました。死んでしまった人間の苦悩、残された人間の苦悩が胸に迫ってきます。よい作品に出会えました。

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著者プロフィール

作家

「2017年 『現代作家アーカイヴ1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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