図書館の魔女(下)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 913
感想 : 146
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  • Amazon.co.jp ・本 (810ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062182034

感想・レビュー・書評

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  • 架空の世界の架空の国同士の政治的な争いごと、駆け引きに空想でしか成り立たないキャラクターの図書館の魔女とその周りの彩り豊かなメンバー。
    ファンタジーでもあり、SFでもあるのに文献学、政治学、物理学など多岐にわたっての有意義な講義が続く・・・
    難しい~と思いきや、やっぱりクスッとさせられたりじわっと目頭が熱くなったり。まだ中盤。

    ページをめくるごとに終わりに近づいてゆくんだなぁと感慨深く大切に読み終えました。
    あちらこちらに散りばめられた伏線、それをたどるためにもまた読み返さなければ。
    膨大なページ数、確かに費やした日数、でもそれに勝るこの達成感とため息と。
    また凄い本に出会ってしまいました。

  • 800ページというすごいボリューム。キャラも立っているし分厚い割に冗長さはなくとても読みやすいのだが、それでもさすがにこの分量には少々疲れた。
    国際的な発言力をもつ図書館の魔女を黙らせようと策謀を巡らす敵勢力、しかしマツリカは戦乱を未然に防ぐべくことばを武器に立ち向かってゆく。
    どちらかというと静的な上巻に比べて、下巻に入るとマツリカたちは国外へ出て敵に襲われたり、ダンジョンのような怪しい館に踏み入ったりするスリリングな王道ファンタジー展開。しかしそのアクションの合間にも、言葉とは何か、という問いかけがなされているところがまた面白い。
    異世界ファンタジー、冒険活劇、政治謀略、謎解きミステリ、そしてほのかな青春恋愛小説と様々な要素で楽しめる物語。
    まだ続きそうな終わり方なので、続編が出たらぜひ読みたい。

  • 上巻後半の勢いのまま、失速せず下巻も一気。下巻に入り冒険要素が強くなりますますひき込まれました。諦めず読み進めて本当に良かった。
    一応ファンタジーなんだろうけど、タイトルに魔女なんて入っているけれど、けっこう理詰めで物事を考え解決していくのでふわふわしていなくて良い。地に足ついてる。怪物は出てきてもヘンテコな魔法は出てこないし。何より魔女と呼ばれるマツリカが魔法を否定している。しっかり伏線を回収しつつ、いい具合に伏線を残しつつ、余韻をしっかり味わったうえで物語が終わるという、まとめ方がとても良かった。
    また、キャラクターもそれぞれに魅力があって良い。マツリカとキリヒトのやりとり、キリンやハルカゼとの議論、衛兵たちの日常。読み終えてからだいぶ時間が経ったけど、未だに彼らがちゃんと自分の中に残っている。

    これ、絶対続編出るよね。だいぶ先にはなるだろうけど、今から楽しみで仕方ない。今度は先代も活躍してくれないかなー。どんなに分厚くても必ず手にとります。

  • 上巻を読み始めたばかりの時点では緻密なだけで凡庸な物語だと思った。
    どれだけ描写が細かく、緻密であっても、物語は物語であるからにはその大筋の流れの中で読者を魅了しなければならない。
    300ページくらい読み進めなければその流れに乗れないこの本は、気の短い人には向かないと思う。だけど流れに気づき、乗ってしまえば。あとはもう、ページを繰る手が止まらないほど、のめり込んでいく。流れには抗えない。
    面白かった。素直に面白かった!
    描写が緻密であるが故に、映像化してみて欲しい作品でもある。ハリウッドで映画化したら某指輪の物語や某魔法使いの物語を超える大作になるんじゃないかな。
    望むらくは、私はもう少し若い、せめて高校生くらいにこれを読みたかったなぁ。ファンタジーではしゃぐには年を取りすぎた。笑

  • 前巻と打って変わって、説明口調の冗長な文章から、政治の駆け引きあり、冒険、アクションありの大活劇に転身。
    歴史長編を読む面白さがあった。

  • 読み終わって全体を思い返せば、なにも起きていないのである。この本の分量で起きていてもいいようなことはなにひとつ起きていない。
    にもかかわらず、読ませる。人物は想像可能な可能性を全て論じ、飽きてきたところで意外な要素が転がり込み、次の展開へ繋がる。
    構成に、底にある知識に、編み上げる力に、この本が世に出たことに圧倒される。

  • 久しぶりに読み終えるのが惜しまれる作品に出会えた。下巻では三国間交渉、双子座の館などたくさんの読みどころはあるが、全てを終えての帰路の船旅が一番心に残る。ヴァーシャの正体、そして別れを前にしたキリヒトとマツリカの船室での短くも濃密な時間・・・。また終盤はとにかく切ない。特にヴァーシャとキリヒトの名前についてのくだりは涙モノ。マツリカら図書館の人々と、キリヒトがその後どうなったか。再会は叶ったのか、続きを求めるのは無粋だと思うがとても気になるところ。上質な大人のファンタジー。

  • 一気読みできる長編。
    マツリカはキリヒト達を連れたってニザマの本拠地へ。
    開戦阻止はできるのか。
    動かなくなったマツリカの左手はどうなるのか。
    などなど気になってたおかげでぐいぐい読めた。

    ハイファンタジーかと思ってたけどやっぱり言語的にローになっちゃうのは仕方ないかなと。
    言語学的にも図書館学的にも楽しめる素敵な話。

    個人的にアレクサンドリア図書館のイメージがすごい。
    きっと残ってたらこんな感じだったんだろうなと。
    あと高い塔は人々に道を知らせる灯台でもあるんではないかなと。

    7年後の川遊びだっけ? が読めるまで楽しみに待ってる。

  • とんだ才能もあったもんだ。ファンタジーとしては120点満点の緻密な伏線、豊富な語彙から紡がれる豊潤な文章、そこここに見受けられる、書物への、言葉への愛。上巻は少々長ったらしいようにも感じたけれど、気づけば魅力的な登場人物たち、特にマツリカとキリヒトの虜になっている。二度、三度と読んでも美味しいこと請け合いの、素敵な物語にまた出会えた。

  • 私の今年のベストになると思う。
    回収されていない伏線もあるので、気になるので、続編も読むつもり。
    マツリカが別れを告げる場面に涙。
    久しぶりに圧倒的な物語の力を感じ、その中に身を置いた気がする。それだけでなく、ここ最近はたくさん読むことが目的になっていた気がするので、一冊ずつ味わって読むようにしたい。

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著者プロフィール

2013年『図書館の魔女』(第一巻~第四巻)でデビュー。デビュー作が和製ファンタジーの傑作として話題となり、「図書館の魔女シリーズ」は累計32万部を記録。著書に『図書館の魔女 鳥の伝言』(上下)がある。『まほり』は著者初の民俗学ミステリ。

「2022年 『まほり 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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