- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062183383
感想・レビュー・書評
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人生いろいろ
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この物語は嫌いと答えるひとのが多いと思う。けど、わたしは始めから吸い込まれ、終わった時には好きだなって思った。
なにもかもがスッキリしない物語。曖昧な。肝心な描写を避けていて、で、結局どうなったの? の連鎖的な。5歳のときに駿は母親に連れられ線路を超えた先にある夏の家を度々訪れることになる。駿の母は夏の父に猛烈に恋をしていた。夏の母は他界しており、駿の父は外科医だった。
それから場面は小学生中学年になり、夏はすでに不良と呼ばれ大学生の彼氏がいた。駿はガリ勉的な子。
さらに中学年になり、高校、大学、結婚…と進んで行くのだけど、どうもすべてが釈然としないのだ。それが嫌な感じではなく妙な心地よさがあるからまた厄介で。断言的なことがない。
たとえば夏が小学生のときから付き合っていて、愛し合う行為をしていた相手の大学生との別れまでの詳細とか、処女喪失を捧げ愛しくてしかたなかった千秋に他ならぬ駿とセックスをしたと嘘を吐いてわざと恨まれるような別れ方をしたくせに、偶然、や、必然かもしれない再開時に婚約者を棄てて千秋にアプローチしたところ、そこから場面は一気に飛び結婚までこぎつけたその空白。さらには結婚生活を飛ばして娘がいてさらには千秋には他の女がいること、とか。
その微妙に曖昧で、けど計算しつくされた完璧な曖昧加減が実にわたし好み。
駿と夏の決して愛ではない、むしろ怯むくらいの繋がりが物悲しかったな。 -
駿と夏。
ごめんなさい。・・・誰に?
期待値が大きかったという事もあるのだろうけれど、好きになれず。
ただ、最近、読み終わって表紙を見た時に、
「あゝ、この題名しかないよな。」という感動がある。
この本もそうだった。救いだわ。 -
交わるようで、交わらない。
だけど、ほんのちょっとのかかわりが続いていく。
昔の記憶、それが
「あなたにだけわかること」となって
二人をつないでいく。
それは、わずらわしかったり、奇妙だったり、
心の支えなんかじゃないのに、
細々と繋がっている。
現実的には、人のつながりってこんな程度かもしれない、
華々しいドラマなんてなくて…
淡々とただ過ぎていく昔の記憶なのかも。
速読系ですが、じんわりと響いてくる設定です。