殊能将之 未発表短篇集

著者 :
  • 講談社
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199599

作品紹介・あらすじ

デビュー後、編集部の要請で送られていた習作短篇3篇とデビュー当時の様子を友人に書き送った「ハサミ男の秘密の日記」を収録。独特の笑いとセンス、ペーソスを湛えた殊能将之初期作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館より。
    十代の時、追いかけるように読んでいたメフィスト賞受賞作家の一人。作品も何冊か読んだこともあり。
    お亡くなりになっていたと知り、借りてきて読了。

    短編はミステリ?とかではないけど、面白かった。
    特に『犬がこわい』実は主人公の怖い気持ちがよくわかる。獣の牙って無条件で怖い。
    そしてラストの犬の気持ち。主人公の想像だとは思うが、充分納得してしまった。

    『ハサミ男』から、また再読したい気持ちになった。ご冥福を祈りたい。

  • 未発表だったということは、それなりに問題があったということである。内容は異色でもあり特異な才能をもった人だったんだと思う

  • 2013年に49歳の若さで他界した著者の未発表短編3作と、『ハサミ男』がメフィスト賞を受賞し本になるまでのいきさつを書いたエッセイを収録。短編3作は習作ということもあり切れ味はいまいちな気がしますが、著者らしいスマートな筆致とユーモアは顕在です。
    また、【ハサミ男の秘密の日記】はかなり腹を割った内容でとても興味深いです。200頁弱で1944円とお値段は高めてすが、なかなか貴重な一冊だと思います。

  • 読み終わってしまった……。

  • たくらみに満ちた奇妙な味の未発表短編集。すっとぼけた殊能センセーらしく、またどことなく筒井康隆っぽさも感じた。

  • 犬嫌いの男をコミカルにどこか可愛らしく描いたおっさんミーツドッグな「犬がこわい」
    Vシネマ的バイオレンスから奇妙な世界観が広がる「鬼ごっこ」
    霊が一番真人間なホラー風味「精霊もどし」
    殊能将之がデビューする前に書いた三つのユーモア短篇小説。

  •  2004年刊行の『キマイラの新しい城』以降、殊能将之さんの新作は途絶えていた。2009年刊行のアンソロジー『9の扉』に短編が収録されたが、特に語るべきこともなかった。そして2013年2月。殊能さんの訃報が飛び込んできた。享年49歳。

     本作は、未発表短編3編を含む作品集である。感熱紙に印刷され、消えかけていたものもあったというから、間一髪だ。企画作品『樒/榁』を除けば、殊能さんの短編は『9の扉』に収録の「キラキラコウモリ」しかない。殊能ファンとしては、読まねばなるまい。

     「犬がこわい」。幼少時のトラウマから、犬が苦手な男。ところが、近所で大きな犬が放し飼いされていた。意を決して抗議に行ってみると…。ガチ本格ではないが、ミステリーらしい意外性もある。生前の作風を考えると、わかりやすい1編だな。

     「鬼ごっこ」。物騒な男たちが、ついに見つけたターゲットを襲撃…って、何をやっているかと思えば、おい! とばっちりを受けた人たちが浮かばれないだろうがっ! 殊能さんらしいといえばらしい1編だが、日の目を見てよかったのだろうか。

     「精霊もどし」。妻を亡くした友人が、大真面目に妻を復活させようとしている。生前の殊能作品にも、ホラー的要素がないわけではないが、やや戸惑った。最後の一言を、どう解釈すればいいのだろう。もはや真意を確認しようがない。

     『ハサミ男』で第13回メフィスト賞を受賞しデビューした殊能さんだが、連絡がつかないのでメフィスト誌上で名乗り出るよう呼びかけ、デビューに至ったのは有名な話である。その顛末を描いたのが、「ハサミ男の秘密の日記」である。元々は、デビュー直前に友人宛に送ったものだという。色々な意味で、凡人とは違っていたのだな。

     どうしてこの人は大作を書かないのだろうと、ずっと思っていた。本気半分、おふざけ半分の独特の作品群を残し、早逝した天才・殊能将之。殊能さんのtwitterアカウントは、現在もそのままになっている。最後のツイートは「んじゃまた」。もっと読みたかった。

  •  もっと、いろんな話が読みたかったよ。

     正直、「ハサミ男」と「子どもの王様」以外はあまり印象に残っていないんだけど、参考文献がすごい量だってことは覚えてて。
     なくなったことを聞いたときはすげぇショックうけたけどさぁ……。やっぱり、もっといろいろ書いて欲しかったなぁ。紛れもない天才だよ。
     覆面作家で、中のひとはどうやらSFの方面ではとても有名だった方みたいですね。サイトも見てないし、ツイッタも見てなかったから知らなかったけど。解説が大森望、名前はよく見るけど、どういうひとか知らないんだよね、このひとも。普段解説読まないんだけど、これは思わず読んじゃったね。
     完全未発表の短編が三つと、メフィストに載ったらしい私小説っぽい日記みたいなのが一つ。「鬼ごっこ」が好きです。
     帯にも抜き出されてたけど、「それでも小説は残る」んだよねぇ。「ハサミ男」は名作だよ。
     抜粋、「ハサミ男の秘密の日記」より。


    頼まれたら、帯に推薦文を書いてあげてもいい。
    「著者絶賛!」


     やっぱりプロの世界でも自分の書いたものは面白く読めるんだねぇ。

  • 2024/1/31
    私は「ハサミ男」が大好きでなぁ。
    1冊薦めるなら「ハサミ男」にする。
    いい子ぶらないとアカン時は違う本にするけど。
    え?あのトリックとかってすぐ見破れるもんなの?
    犯人の方がってこと?え?え?
    私は記憶を消してもう一度あの感情が裏返る感覚を味わいたいんだけど。
    記憶あっても何回も読んでるけどさ。
    殊能さんのブログも見てたしツイッターも見てた。
    ショックだったなぁ。寂しいなぁ。
    私、もうすぐ殊能さんの享年に追いついちゃいますよ。

  • そこまでびっくりするような展開なわけではないけど、どの話も読ませるものがあって一気に読了。

    もっともっと著者の本を読みたかったけど、もうそれも叶わないんだな…とおもうと読み終えるのが寂しくもあった。

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著者プロフィール

1964年、福井県生まれ。名古屋大学理学部中退。1999年、『ハサミ男』で第13回メフィスト賞を受賞しデビュー。著書に『美濃牛』『黒い仏』『鏡の中は日曜日』『キマイラの新しい城』(いずれも講談社文庫)がある。 2013年2月、逝去。

「2022年 『殊能将之 未発表短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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