三軒茶屋星座館 春のカリスト

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199865

作品紹介・あらすじ

嬉しい時も、泣きたい時も、あなたにはこの場所がある――

路地裏のプラネタリウムに、別れと出会いの季節がやってくる。
店主の和真、弟の創馬に美少女・月子、そして、星座館に集う仲間たち。
”家族”をめぐる物語は、いよいよ月子の秘密に迫っていく。

黄道12星座の牡羊座、牡牛座、ふたご座に、おおぐま座とこぐま座。
春の星座は、別れの哀しみと出会いの喜びの物語。
人生讃歌エンタメ小説、シリーズ最高潮の第3弾!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第3弾。
    冒頭を読んで感じた哀しい予感は当たってしまった。
    完全に脳内映像化され、後半は更に勢いを増し
    そしてラスト…‼️
    次巻が手元にあって良かった。
    [図書館·初読·9月29日読了]

  • 近くの本屋も、職場近くの大型書店にもなくて、結局ネットで注文。
    来てすぐ読みました。

    単行本には前説があるなんて知らなかった!なんて贅沢。ゼウスが!ヘラが!

    今回は切なくて泣けました。
    リリーや、葵の乙女心や恋心に。

  • シリーズ3作目
    多分次で終わりだなー
    割と伏線が張られてるし、ギリシャ神話は面白いしオススメ

  • ★リリーはね、もう僕の家族だ p.56

    【感想】
    ・前巻でせっかくまるくおさまりそうだったのにまたいろいろ起こる・・・
    ・他の人にアドバイスするようには自分をさばけない和真。

    【一行目】
     夜空を見あげた瞬間に、水たまりに足を踏み入れた。

    【内容】
    ・月子が泣いている。近しい誰かになにかあったのだろうか。たかまる不安。
    ・月子の声が出なくなった。
    ・月子のじつの父親を探そうと、らしくなく躍起になっている和真。探さなくても、たぶんあの人物やろ、と思ってるが?

    ▼三軒茶屋星座館についての簡単なメモ

    【藍/あい】山本藍。山本有紀乃の娘。奏太のは小学校での同級生。十八歳。フルートをやっていて演奏家を目指す。
    【相澤/あいざわ】葵のマネージャー。古いタイプの業界人でノリだけで生きているタイプに見える。
    【葵/あおい】宇川葵。新規の常連客。ミネラルウォーターだけ注文して何時間も眠っている。男子高校生のような格好をしている素っぴんの女。じつはロック系のシンガーソングライター志望の、今は心ならずもアイドル。「私には、私しかいないの」第二巻p.56
    【アクアワン】智子が奏太を、ある意味売り飛ばした金貸し。
    【彩美/あやみ】宇川奈都子の部下と思われる。二十八歳。
    【アルカス】カリストの息子。人の姿をしている。のちのこぐま座。
    【アルテミス】月の女神、狩猟の女神、貞操の女神。鉄の掟に縛られたレディースの総長。
    【αルーム】星座館の入っている雑居ビルのなかでいちばん人気のある店。カフェバー。
    【宇川奈都子/うがわ・なつこ】人気女性誌「フルール」の副編集長。三十五歳。葵の従姉妹。
    【疑い】和真いわく「疑いの芽は、いちど芽吹くと絶やすのは難しい」第一巻p.102。過去になにかあったような感じだ。凪子いわく「目に見えるモノのほうが、きっと信じにくいよ」第一巻p.126
    【うる星やつら2 ビューティフルドリーマー】保科の心を打ったアニメ映画。うん、これは傑作やもんね。ぼくのコレクションにもある。
    【FM世田谷】三軒茶屋星座館を紹介してくれた。そのおかげでいっとき盛況に。
    【大坪和真/おおつぼ・かずま】→和真
    【大人】和真いわく「大人の男っていうのはさ、自分の人生でいちばん誰が好きだったのかを、決められた奴のことだから」「いちばん好きだった? なんで過去形なんだよ」「そういうものは、過去形でしか語れないんだ」第一巻p.61
    【おんぼろ雑居ビル】星座館があるビル。リリーいわく《このビル、オカマバーとかマッサージとか怪しいお店しかはいってないのよ?》第一巻p.260
    【和真】大坪和真。主人公。「三軒茶屋星座館」の主。物語開始時に三十三歳。金髪。マイナスイオンの声。楽しくざっくばらんに星の説明をしてくれる。
    【可南子/かなこ】和真と創馬の母。二人を懸命に育て昭和天皇と同じ日に亡くなった。
    【奏太/かなた】高校生。月子の友人。らしい。小さくて分厚い手。ドクターペッパーが好き。母親と同じ年の智子とつきあっている。
    【カリスト】アルテミス率いるレディースの切り込み隊長。ヤンキー系の超絶美女。ゼウスのせいで熊になった。後のおおぐま座。
    【居住スペース】星座館と同じフロアにある部屋。元々居住用ではないので一般的な暮らしをするには向いていないが和真のライフスタイルには向いている。
    【ギリシャ神話】星についての和真の解説は基本的にはギリシャ神話をもとにしていることが多いようだ。ざっくばらんな話し方でおもしろおかしく語ってくれるのでこんなプラネタリウムがあったらぼくも行きつけにしたい。「これってギリシャ神話だよね」と客がよく疑問を呈する。
    【黒木徹/くろき・とおる】サンの大阪での恋人、と霜山は言う。大手広告代理店勤務らしい。
    【ケンちゃん】「αルーム」の店員。歯が発光しているさわやかイケメンで人気No.1。リリーのお気に入り。ヤスの親友。
    【ゴッドダスト】新手のドラッグ。別名「カミクズ」。紙に成分を染み込ませて口に含むことで持ち運びもラクだし手軽に摂取もできる。
    【三枝崇/さえぐさ・たかし】サンの父親。民自党所属国会議員。和真がサンと交際していた当時は警察官僚だった。
    【相模/さがみ】たぶん闇金、の社員。
    【櫻井】宇川奈都子の上司。編集長。上昇指向が強くまわりから疎ましがられているが首尾一貫した考え方など奈都子はけっこう認めている。
    【サン】三枝日向子(さえぐさ・ひなこ)。数字の「3」をモチーフにしたピアス。「なんで助けてくれたのよ」「だってお前、誰も味方いなかったじゃん」第二巻p.280。和真の恋人だった。約六年間つきあい同棲もした。創馬も含め三人で暮らしたこともある。
    【三角州】地元の人間にそう呼ばれている開発から取り残されている、あるいは抗っている半径五十メートルほどの地域。三軒茶屋星座館はその迷路のような街の中にある。《どんなに晴れた日でも、雨の匂いがする。》第二巻p.10
    【三軒茶屋】銭湯の多い街。
    【三軒茶屋星座館】和真が開くプラネタリウム。三軒茶屋駅裏手の街の築五十年以上十階建て雑居ビルの七階にある。プラネタリウムの客席数は十二。他にバーカウンターもある。常連客はだいたい眠りに来ているか酒を飲んでいる。レンズ式プラネタリウムは常時点灯していて客から求められると、サービスとして操作し説明する。エロいと知られている。エロいのはゼウスのせいであって僕のせいじゃないと和真は思っているだろう。ともあれ、基本呑み屋ってことかな。
    【サンバ】サンバクイーンの格好をしたリリーから始まり奏太、創馬へと伝染し月子と葵を喜ばしている。
    【幸せ】《長くは続かなかった幸福だったが、その時代の記憶は一点に凝縮された陽光のように眩く思い出された。そのような幸福は、その後の人生の温度を決める熱源になる。》カリストp.122
    【幸せの賭け金】リリー「そう。この歳になるとよけいよ。その賭け金はどんどん高くなっていく。そのかけってなんだかわかる? ひとりで生きていく、ていうかひとりで死んでいく覚悟よ。家族を作ることをあきらめる覚悟よ」カリストp.54
    【事実】《いつだって客観的事実は主観的現実の前に歯が立たない。》第一巻p.41
    【霜山】サンの大阪での恋人を知っているという、美術館の元案内係。
    【潤くん】凪子の恋人。二十六歳。カメラマンアシスタント。誰が見てもイケメン。コミュ力が高く誰の心のなかにもあっさり入っていける人タラシ。凪子が「モナリザ」で働いていることは知らない(かもしれない)。《潤は相手を微笑ませる天才だ。》第一巻p.84
    【知る】和真いわく《僕らはいつも知るべきことしか知らないんだよ。》第一巻p.255
    【新宿】和真が働いていた街。荒事に強く頭の回転も速いのでトラブルシューター的な役割を担っていた。
    【信用】ミナミいわく信用できないじんぶつは、カメラマン、美容師、バーテンダー。
    【好き】和真いわく「そうさ。誰かを好きになるたびに、みんな発見するんだよ、こういう『好き』のかたちがあるんだって。ひとつとして、おなじ『好き』はないんだよ」第一巻p.249。「僕はあきらめずに説得する。でも、そのために他のなにかを駆け引きには使わない。たとえ甘いと言われても、僕は彼女を甘やかす」カリストp.77
    【星座】全天には八十八の星座がありそのうちの四十八はプトレマイオスが制定したギリシャ神話ゆかりのもの。天文時を作ったひとでもあり「ガンダム00」の母艦名(通称トレミーはプトレマイオスの愛称でもある)にも使われている。
    【ゼウス】ギリシャ神話界のエロ大王。トラブルメーカー。悲劇を作り出す喜劇的存在。
    【絶望】《絶望と無煙であるということがいかに他人を絶望させるかを和真は身に沁みて知った気がした。》カリストp.70
    【創馬/そうま】和真の弟、月子の父。頭の後ろで束ねた長髪。アメリカ留学して物理学の博士号と格闘家のようなマッチョな体格を取得している。その後大学で教鞭を執っていたようだが、日本の大学のポストが空いたのでそれをアテに帰国した。星そのものについては和真よりも詳しい。重要な論文も発表しており物理学会では著名。
    【谷田/たにだ】プラネタリウムの常連客。不動産屋。麻雀好き。
    【月子/つきこ】創馬の娘。八歳。黒髪ロングの可憐で素直な少女。アメリカからの帰国子女。向こうでは飛び級していた秀才。白がトレードカラー。口数は少ないが和真のことは慕っているようだ。「もうひとりの父親」として。ビル内には「月子ファンクラブ」がある。ピカ爺やリリーも会員。歌はあまり上手くない。《彼女は、甘えることを覚えなかった。》第一巻p.246。関係ないけどぼくの脳内小説の主人公たちの一人と同名やなあ。
    【月子の母】物語全体のキーになっていると思われる。創馬とは名義上の夫婦で、すでに亡くなっている。
    【釣り堀】つぶれた(伝説の?)釣り堀が街のどこかで再開しているというウワサがあり、和真はそれを探すのをライフワークにしていた。が、第一巻で見つけてしまった。会員制でバカ高い会費を払いカモフラージュされたテンキーに、毎回変わる暗証番号を事前に電話連絡して聞き出し入力しないと扉を開くことができない。政治家たちが悪巧みの相談をしているとかいろいろなウワサが飛び交っている。和真は会費をタダにしてもらっている(和真というより月子かもね?)
    【同情】「同情は、気持ちがいいから」p.165
    【智子/ともこ】奏太の恋人。元モデルの三十六歳。バッティングフォームが素晴らしく、ハイヒールなのに完璧な神主打法。高知の野球名門校出身。ホステスクラブ「バビロン」で働いているやうだが奏太には内緒のようだ。
    【ドラマ化するなら】この話は実写ドラマに向いていると思う。配役は、読んでていつの間にか「まほろ駅前」のコンビをイメージしてしまってたので、それで。
    【仲本/なかもと】月子の担任。五十前後の女性。
    【凪子/なぎこ】プラネタリウムの常連客。大学生。伊達メガネ。メガネを外すと地味な顔だち。水着ガールズバー「モナリザ」で働いている。恋人の潤くんには内緒。
    【猫とラッパ】慢ちゃんが経営していた女装パブ。慢ちゃんが長女で蘭ちゃんが末っ子の「浅丘三姉妹」が売りだった。ただし次女は消息不明の設定。
    【典生/のりお】保科のアニメ友だち。保科がヤクザまがいの男だとわかってからも離れていかなかった。気が弱くて保科を頼りにしているフシがある。
    【万里/ばんり】整形外科医。万里の長城のように話が長いが腕はよい。
    【ピカ爺】プラネタリウムの常連客。いつもホットウーロン茶を注文する。ギョロリとした大きな目ねいつもニット帽。和真は「ピカ次郎」とも呼ぶ。ビルのオーナーのようだ。まともに話したことはない。じつはとある店のオーナー。
    【ピコラノータ】高級イタリア料理屋。山本有紀乃がやっている。奏太の父親の建設会社が施工した。
    【英雄/ひでお】宇川奈都子の部下だったようだが今度男性誌「カエサル」の副編集長になる。仕事はできるが和真まわりの人たちの評判はあまりよくない。
    【不幸】《あるいは、不幸になるのは人より簡単だったかもしれない。でも、それだけだ。そして僕は不幸になることを選ばなかった。》カリストp.165
    【プレゼン】星座館維持のため営業用のプレゼン資料をつくる和真。といっても実際につくったのは創馬と葵だったが。それにしてもパワーポイントでつくられたプレゼン資料って例外なく面白味ないよなあ・・・
    【ヘラ】ゼウスの妻。ギリシャ神話界最恐の存在。多くのヒーロー、ヒロインたちがひどい目にあわされている。それにも負けず浮気にせいを出すゼウスもまたハンパではない。
    【保科/ほしな】たぶん闇金、の部長。相模なんかに較べればやっぱり大物ではある。《自分が扱う金には粘着力がある。》第二巻p.179。じつはアニメ好き、というよりすでにオタク。
    【正樹】リリーの新しい恋人。ゲイバーでバーテンをしていた。
    【マッシブ】葵の所属するマネジメント事務所。元々は読者モデル事務所だったが相澤の手腕でアイドル事務所になっていった。社長は頼りなさそうだがじつはかなりの遣り手。
    【慢ちゃん/まんちゃん】新宿で女装パブ「猫とラッパ」を経営していたオカマ。あたりの地主でもあり顔役でもあった面倒見のいい人物。和真がかつて世話になった恩人。
    【ミナミ】水着ガールズバー「モナリザ」で凪子の同僚。大学も同じらしい。
    【御代の湯】近くの銭湯。
    【村上】新宿で金融機関を営んでいた。一般的な闇金とは異なり債権者を護るような形を取っていた。味方も敵も多かった。慢ちゃんの紹介で和真が部下となった。
    【モナリザ】水着ガールズバー。凪子が働いている。谷田推薦。青い海と白い砂浜の写真パネルが壁一面に貼られており観葉植物など南国ムード満載。女たちは皆、豊満なバスト。
    【役立つ】慢ちゃんいわく「役立つ場所があるなら、疑問なんか持つ必要ないのよ」第一巻p.209
    【ヤス】キャバクラ黒服の店員? 二十代のお調子者で、濃密に、黒蜜みたいに日焼けしている。サングラスを外すとつぶらな二重。鼻の下にちょびひげ。ケンの親友。
    【山本有紀乃/やまもと・ゆきの】近所の高級イタリアン経営者。圧が強い。デリバリーで出前してくれるらしい。藍という十八歳の娘がいるようには見えない。その娘の話になると延々と自慢が続く。
    【ヤミ金】《そんな人間をきちんと破滅させる仕事がヤミ金だ。》第二巻p.180
    【幸雄/ゆきお】和真と創馬の叔父。可南子の弟。
    【妖怪鳥人間】星座館に出ると噂され客足が遠のいた。じつはサンバクイーンの格好をしたリリーさんだった。実際のところそんなウワサあったら客は増えるんではなかろうか?
    【義昌/よしまさ】和真と創馬の祖父。可南子の父。和真は一目見てこの人は信用できないと思ったが引き取られることになった。しつけのためにはすぐ殴るタイプの人。
    【蘭】「猫とラッパ」で働いていた。トロいけどみんなに愛されていた。
    【リリー】オカマバー「リリーの世界」で働いている。創馬のことを気に入っている。星座館の開店祝いに自分専用の特大ショットグラスを持ってきた。肝臓の強さは酒場の多いビル内でも一番。「めでたけりゃなんでもいいのよ」第二巻p.156。「いいわよ、どうせ私はいつも間違ってるんだから」カリストp.56。《いつも自分が楽しむことを考えていて、そのためにまず周囲の人間から楽しませようとする》カリストp.260
    【リリーとゆかいな獣たち】サンバチーム。ビルの連中がみんな参加している。月子もピカ爺も。後に「チーム・サンバ星座館」となる?

  • 「二人のパパ」と娘による「三軒茶屋星座館」に、大きな出来事がふりかかります。それぞれがそれぞれの方法で苦しんでいるのに、理解しあえないのは、くるしい……。にしても、大きなものをなくしたなあ……。

  • 第三弾。文庫がでるのを待つことができなくて図書館で借りてしまった。「自己満足のための仕返しは結局、自分をすり減らすことはあっても、求めていた満足を得ることはないんだ」「同情は、気持ちがいいから」和真の言葉がひとつひとつ響いてくる牡羊座の話が好きだ。もともとギリシャ神話が好きな上に登場人物に肩入れしてしまうほどはまった。「じゅうじつしてま~す」せつない。。

  • リリーが、死んだ。

    人はいつか死ぬ。
    物語の中とて、それは珍しいことではない。
    しかし、こんな、突然の別れがあるなんて思いもしなかった。

    リリーには恋人がいた。
    怪しすぎる男だった。
    彼女は彼から殴られていた。
    それでも彼女は愛している、大丈夫と言い張り、和馬はそれを止めなかった。

    登場人物たちはリリーを責め、和真を責めた。
    人は自分の心の容量が溢れそうになると、自分を守るために他人を責め立てるものだ。
    そしてある日気づくのだ。
    それが相手をどれだけ深く傷つけていたかを。
    自分が一番傷ついている、そうして悲劇の登場人物を気取っていても、本当は自分はただの観客に過ぎなかったことに。

    本書で語られる神話はどれも悲しい別れの物語ばかり。
    その悲しみの中から絞り出される言葉に心を動かされる。
    「愛情なんて、注いでる本人は気がつかないものよ」(32頁)
    「自分の幸福を誰かが祈ってるなんて、なかなか気がつかないもんだな」(257頁)

    そう、私たちは気がつかない。そばにいる人の心の中も、その人がどれだけ大切なのかも。
    その大切な人は熊に変えられたカリストかもしれない。
    熊になってもなお、子供を想う母かもしれない。
    振り切った手は永遠の別れになるかもしれない。
    そんな悲しみをさせたくないと、古の人々は語り継いだ。
    そばにいる人をいつくしめ、と。
    愛は失ってから気づいたのでは遅すぎる、と。

  • とうとう3巻目。
    衝撃的なことが起こりすぎて、
    まるで星座館の常連の一人のような気持ちで
    ページを繰っていた私は
    やっぱりボロボロと泣いてしまったのだった。
    「家族」って血の繋がりだけじゃないんだよね、
    そんなことを噛み締めながら。
    私の生まれた月の星座、牡牛座の牛は
    なんとゼウス様と知ってしまい
    待ってました!と言うような、
    あぁ貴方でしたか…というような、笑
    ラストの展開は、予想はしていたものの
    やっぱりそう来てしまったかという感じではあり、
    ラスト4巻目が楽しみだけど読むのがもったいないような気もしている。
    まだ図書館から届いたという連絡がこないので、
    楽しみに気長に待ちたい。
    ギリシャ神話も読みたいな。
    文庫版が出たということなので、
    将来的に揃えたいと思う。
    いつだって星座館に通えるように。

  • 物騒なことがいろいろ。今後ますます物騒で混乱する展開になりそう。葵と和真はいい感じ。星座の話はゼウスのキャラがひどすぎてあきれる。

  • 読後のザワザワする気持ちと、読中の淋しさ。今回は大人な星座館でした。ままならないな。

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著者プロフィール

作家。1976年東京都生まれ。慶応義塾大学経済学部卒。東京三菱銀行退行後、バーテンダー、香水プランナーなどを経て、小説「シャンペイン・キャデラック」で三田文學新人賞を受賞しデビュー。主な著書に「オワ婚」(2012年/幻冬舎)、「三軒茶屋星座館」シリーズ(講談社)など。映画やドラマの脚本も多数手掛ける。

「2021年 『恋侍 ー中目黒世直し編ー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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