八月は冷たい城 (MYSTERY LAND)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062203456

感想・レビュー・書評

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  • 酒井駒子さんのイラストを見るために単行本へ
    『7月に流れる花』に比べると不気味さが際立つ挿入絵

    巻末にある作者の「わたしがこどもだったころ」
    誰にでもある男の子の部分として謎、秘密、ミステリー、謎解きのわくわく感を挙げている。
    解きたい謎のことを考えることは、“「生きる」ということと同じことなんだな”と。

  • 『七月に流れる花』で残った謎の数々が解き明かされています。みどりおとこ、想像してみるとちょっとどころか結構おどろおどろしい。大人の今読んでよかった。なかなかのトラウマになりそう。でもこの雰囲気が、どうしようもなく好きなんだよなあ。

  • 七月に流れる花のB面。
    同時期の男子のお話。
    七月に登場する佐藤蘇芳の従兄弟が主人公。
    こちらは始めからお城やみどり男の県は明かされています。
    時々蘇芳と光彦は待ち合わせ、互いの近況を報告しあっています。
    七月に比べると不穏な雰囲気が増している。
    挿絵もどきっとするものが多い。
    ファンタジーであり、ミステリー。
    両方読んで納得です。

  • ミステリーランド、ラストの刊行本。ところどころ「??」な本もあったけど良いシリーズだった。
    今読んでも面白い本が多かったけど、やっぱり少年少女の年頃に出会いたかったシリーズ。

    舞台は「七月に流れる花」と同じ夏流城で、林間学校に集められた男の子サイドの話。舞台が同じだけでなく、同時進行のB面らしい。
    蘇芳といい幸正といい、この状況に慣れてる子どもがいることがつらい。そら幸正もああなるよ…

    七月〜に比べるとだいぶサスペンス?色が強くて、緊張しながら読んだところも多かった。ていうか夏の人の真相(蘇芳の予想)、グロすぎないか!?鳥肌立っちゃったよ。
    しかし蘇芳、七月〜でミチルの面倒を見て亜季代の件の対応をもして、八面六臂の大活躍をしながら両親を亡くして、更に光彦の相談にまで乗ってたのかよ〜〜〜超人!?気が紛れるという蘇芳の言葉が本心からのものだと救われる。蘇芳にも気休めがあってほしいので。

    ていうか結局、初日の不気味なひまわりは何のメッセージだったの?

  • 『七月に流れる花』と一対になった物語というか続編のようなもので、『七月〜』を先に読んでおくべき。こちらを先に読んでしまうと、『七月〜』がすべてネタバレしてしまう。
    林間学校に行った男子たちの話で、こちらは林間学校に呼ばれた理由はみんな知っているが、不穏な事件が続き疑心暗鬼になってゆく。
    『七月〜』で疑問だった点が少し解明されたが、みどりおとこの真実はかなり怖い。

  • 7月に流れる花と対になっています。こちらは後で読みました。

  • 7月は・・・と同時に読んだ
    サクサク
    ちょっと物足りない

  • 七月の前置きがあってこそだが、こちらの作品でより不穏さやみどりおとこが喋るなど展開が広がってゾクゾクとして楽しかった。恩田さんはいつも仮説で煽って最終的に実は…ということが多い気がしているので、今回も実際に恐ろしい展開にはならないだろうと思っていながらその怖さを楽しめることができた。

  • ★あそこで過ごすのだ。いたたまれない、ひたすら待つだけの時間を。(p.68)
    ・まず、七月のネタバレ満載なのでこちらを先に読まないほうがよいです。と/二巻とも絵は酒井駒子さん。別の版に入江明日香さんの絵のもあるようです/女子エリアと同時期の男子エリアの話/男子四人/いきなり夏流城の中で何か事件が起こっているらしい/花を食べるカマキリが男子エリアだけにいる/みどりおとこの警告/光彦と佐藤蘇芳/世界中に同じような施設あり/親子の関係/ひまわりの花/鎌を持った誰かがいた/いきなり三回の鐘/該当者なし/光彦がなんとなく感じているのは悪意か/五人目がいる?/緑の手/女子部男子部の鐘の音はそれぞれのエリアでしか聞こえない/共感/水路からアレが/母親の口ぐせ/何かを拒絶する気配/蘇芳の推測/記憶/サスペンスは八月の方が強いです

    ■簡単なメモ(七月と八月合わせて、ネタバレにならないよう)■

    【亜季代/あきよ】辰巳亜季代。私立のミッション系中学の生徒。最年長。眼鏡で長髪。おっとりしたお嬢さんタイプ。いつも編み物をしている。
    【エネルギー】《緊張しているのも、哀しむのも、喪失感を覚えるのも、結構エネルギーを必要とするものなんだな。》八月p.166
    【お地蔵様】後ろに鐘がありお祈りしている自分たちが見える。鐘が三回鳴ったらお地蔵様に手を合わせにいかなければならない。
    【加奈/かな】斉木加奈。ミチルよりひとつ上。涼しげな雰囲気。五中の生徒。バレー部だが膝を故障中で練習には参加できない。スポーツ万能。気さくであり内向的で神経質。自分の神経質なところは嫌いなようでそんなところを見せてしまうとくどいくらいに謝る。
    【夏流城/かなしろ】夏のお城。古代遺跡みたい。蔦におおわれて緑色の岩山に見える。ミチルはそこで開かれる林間学校への参加を招待というかたちで強制された。親も「仕方ない」と言った。あまり良いものではないようだ。女子エリアのメンバーは六人の少女でミチル、佐藤蘇芳、斉木加奈、稲垣孝子、塚田憲子、辰巳亜季代。男子エリアのメンバーは嘉納光彦、大橋卓也、丹羽幸正、唯野耕介の四人。《あそこで過ごすのだ。いたたまれない、ひたすら待つだけの時間を。》八月p.68。《入るのも出るのも全員で。》八月p.95
    【共感】《ここまで深く共感できる人間は、この先そうそう出会うことはないだろうという気がした。》八月p.161
    【耕介/こうすけ】唯野耕介。大柄。間延びしたような声のせいでのんびりしているように思われているが実はそうでもない。身体能力も高いし頭も切れる。
    【この世】《この世は、見た目通りのものとは限らない。》七月p.10
    【神経質】《神経質。少年にとっては、何より屈辱的な言葉である。》八月p.122
    【蘇芳/すおう】佐藤蘇芳。ミチルと同じクラスの三中の生徒。なにもしてなくても目立つタイプ。学級委員。夏流城は初めてではない感じ。自然とリーダー役になる。《あたしは自分が愚痴るより、人の愚痴を聞いているほうが楽なの。》八月p.139。《あたしは自分のことだけ考えてるより、何かしなきゃいけないことがあるほうが気が紛れる。》八月p.141
    【孝子/たかこ】稲垣孝子。お下げ髪でちっちゃい。五中の生徒で斉木加奈と同学年だがクラスは違う。趣味は将棋。理詰めでものを考えるタイプ。
    【卓也/たくや】光彦の幼馴染み。眼鏡。《巣造りさ。なんとなく、いつもの環境にしとかないと落ち着かなくて。》八月p.98
    【光彦/てるひこ】嘉納光彦。八月の主人公。卓也の幼馴染み。佐藤蘇芳とも以前から気が合っていた。
    【土塀】女子と男子の城を分けているようだ。
    【夏のお城】→夏流城(かなしろ)
    【夏の人】全身緑色づくめの人物。男性か女性かもよくわからない。知らない者にとってはほとんど不審者なのに皆はむしろ良いものとして受け入れているような感じだ。先生も含めクラスのみんなは夏の風物詩扱いしている? 性格は《とらえどころがなく、あっけらかんとして、ちょっと意地悪だ。》八月p.52
    【慣れ】《ずっと怯え続けているのにも飽きてしまった。恐ろしいことも、日常になるとやがては慣れるものなのだ。》七月p.163
    【憲子/のりこ】塚田憲子。一中の生徒。ミチルより一歳上。眼鏡でおかっぱ。磊落な自由人。
    【冬のお城】誰のつくった城だったかは不明。窓がなかったらしい。
    【ミチル】七月の主人公。視点役。大木ミチル。三中の生徒。夏休み直前の中途半端な時期に転校してきたばかり。夏流城(かなしろ)での林間学校に招待された。「どうして」攻撃が特技。
    【みどりおとこ】→夏の人
    【幸正/ゆきまさ】丹羽正幸。身体が弱いが負けん気は強い。
    【理由】《理由。人は皆たずねる。なぜなのか。なぜこんなことをしたのか。どうしてだ。話してみろ。説明しろ。/ 人は皆、行動には理由があると思っている。人は誰でも、考えなし、動機なしに行動などしないのだと。》八月p.10
    【流花観察ノート/りゅうかかんさつのおと】水路を流れてくる花の色と数を報告する。

  • 「七月は~」との連作。
    こちらのほうがミステリーっぽさがあったかな。

    でも七月のほうがおもしろかった。
    夏流城の謎がわかっちゃってるからかな~

著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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