記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)
- 講談社 (2001年1月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062573153
感想・レビュー・書評
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記憶には努力が必要。
好奇心ややる気が記憶を促進する。
ダラダラした生活を送っていると、記憶力が低下する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
脳はまさに小宇宙と呼ぶにふさわしい稠密空間なのです。
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記憶には得意な年代がある。5歳くらいまで音の記憶をつけると絶対音感と言われるものになる。勉強をする上でも役にたつ記憶について盛りだくさん。
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気鋭の現役脳科学者にして、一流のサイエンス・ライター 池谷裕二の処女出版。記憶法に関する本として読むと凡百のことしか書いておらず、魅力的とは言い難いが、もちろんこの本の魅力はいままでまことしやかに謳われてきたそれらの記憶法に脳科学の裏付けを与えるところにある。
シナプス強化の仕組みが AMPA 受容体と NMDA 受容体の巧みな協働で実現されているという一節を読んだときは、高校の生物の時間に初めてクエン酸回路を習った、あの感動を思い出した。
この素晴しいサイエンス・ライターを発掘した講談社の編集者も偉い! -
「記憶力を強くする」池谷裕二
神経科学読本。ブルーバックス・医薬学
2001年。
会社の人とか友達とか皆、数字やスケジュール、ニュース、会議の内容などなどよく覚えていられるなといつも悔しく思っています。
自分でもとにかく記憶力が弱いことは分かっていて、正直ある程度は諦めている部分もあるんですが、それでもなんとか物覚え良くならないかと思って読みました。
記憶テクニックのハウツー本ではないです。
もっと根本的な記憶のメカニズムを説明することで科学的かつ効率的な記憶のし方を示している一冊。
むしろ脳科学の紹介本として噛み砕いてくれていて分かりやすく面白い!さすがブルーバックス。
科学的に納得のいく点と読者向けの定性的な点があって、若干眉唾に感じてしまうところもありましたが、総じてとても勉強になりました。(4)
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@全体として、[記憶のメカニズム]に関する本
@[記憶を司る海馬の神経組織の特徴]について、[神経生理学の最先端の研究者の立場から]詳しく述べている
@[構成] (導入)脳の簡単な紹介 → 1.海馬について 2.シナプスについて 3.可塑性について 4.LTPについて → 記憶力の増強法 {いろいろな手法, 薬=K90} → 脳科学についての著者の思い、まとめ
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以下メモ
記憶の3箇条 [生理学的観点]
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1.何度も失敗を繰り返して覚えるべし
2.きちんと手順を踏んで覚えるべし
3.まずは大きく捉えるべし
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1→ 外界の変化に柔軟に対応し解決策を導くためため(フレーム問題)、脳は「消去法」で正解を記憶する。従って、試行錯誤するほど間違いは削ぎ落とされて記憶が強固になっていく。
2→ 二つのことを同時に学習するよりも、分解して一つずつ覚えたほうが習得が早い。また、記憶は「事象」そのものだけでなく「理解の仕方」も同時に記憶するので、他の段階にどんどん応用が効くようになる。
3→ 脳は大雑把に捉えていくため、始めは似ているものは区別できない。まずは1と10の違いを覚えれば、次は1と2、1と1.1の違いも判別できるように(=記憶できるように)なる。
⇨ 例えば「今日の日経の3面に載っていた記事の中の表の数字」を覚えるには…?
1. 何度か思い出してその度記事を見返し数字を確認する?同じことを取り上げた別の記事で改めて数字を確認する。
2. 表は何について説明しているのか?この数字は何を意味しているのか?それは大きいのか小さいのか、上がっているのか下がっているのかetc...
3. 「記事の見出しから大雑把な内容」「表のと記事内容との関連」「表のキャプション」「表の数字そのもの」
シナプス可塑性=特定の神経回路の抵抗が低くなることで情報(活動電位からシナプス電位)が流れやすくなる=思い出しやすい記憶になる!
p151.覚えるべきだという強い信号がきたときにのみ、脳はそれを記憶するのです。
http://www.jbsoc.or.jp/old/event/magazine/pdf/83-11-03.pdf
これは覚えていないと危険だ、という情動が少ないと、扁桃体が活発に活動せず、LTPの誘導が起こらない。なので、記憶の形成が相対的に弱くなる。
・海馬がθリズムに乗るとLTPが起こりやすくなる。
→初めての場所や初めての人に会うとき
…[マンネリ勉強法は良くない]
エピソード記憶は徐々に意味記憶に置き換えられてしまい、=「きっかけ」が十分でないと思い出せなくなってしまう。
→そうしないために、ときおり人に説明するなどしてエピソード記憶のままに留める努力が必要。
手続き記憶が事象の理解の連合を生み、その効果は累乗的に上昇する。レベルが高くなるほど、少しの努力での理解の進度が格段に上がる。つまり、忍耐強く習得に励めば励むほど「悟り」を体感できるようになる。 -
6章のみ読了
・最初にいるのは好奇心と探究心
・記憶力とは「法則性をつかみ、理解して覚える」こと
・黙読よりは音読してしっかり想像する
・まず全体をつかみ、それから細かに区別する
・努力は累乗関数。いつか大海が開ける瞬間がある
らへんが心に残った -
6.1,2
丸暗記→論理付けた暗記 -
副題を読むと、何か第二の川島隆太さんかと思ってしまったけれど、著者は薬学の分野で脳」(海馬)を研究している人、とのこと。
記憶のメカニズムを知ることができたのが収穫だった。
どういう化学現象なのかが、まったく素地のない私にも理解できた(気がする)。
シナプス可塑性とか、LTPといった術語も出てくるが、それほど気にならない。
それから、記憶力を高める薬ができるかもしれないという未来の話も、とても興味深かった。
アルツハイマーや、脳の血流障害から起きる痴呆にしても、将来は克服できるかもしれないというのも、明るい気分になる。
薬でではなく、脳の使い方で記憶力を高めるには、という話もある。
これまで言われてきたことが、最新の知見からも裏付けられるということが多かったように思う。
ただ、その中で認識を改めたところは、「思い出せない」という現象は、記憶そのものがなくなってしまうことではないとのこと。
その「記憶の再生」の問題は、心が関与してしまうため、脳科学でも解明が進んでいない領域だというのも、何か考えさせられる。 -
10年前に最先端の研究を踏まえて書かれている。この10年でどれだけ研究が進んだのか。それが気になるところ。第6章「科学的に記憶力を鍛えよう」から気になったことを。海馬は一時的な記憶の保管場所。重要なもの、繰り返し覚えようとしたものは側頭葉へ記憶が移る。海馬では1ヶ月もするとその記憶は消えてしまう。その一月の間に復習をすると、海馬はこの情報は必要と感じて側頭葉へと記憶を移す。つまり忘れなくなる。逆に言うと1回勉強しても、一月以内に復習しなければ記憶に残らない。また、一つのことを勉強して、次にもう一つを学ぶと、それは二つではなく、相乗効果で2×2=4倍学んだことになる。こうして倍々で行くと考えると、最初は努力しても伸びないと思っていても、あるところで急激に伸びたと感じることがある。8が16になるのと、512が1024になるのとは同じ倍でもその差は大きく違うわけ。そんなふうに考えると、がまんしてもう一頑張りができそうです。