天空の蜂 (講談社文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (634ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062639149

感想・レビュー・書評

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  • この作品は東野圭吾の長編クライシス・ミステリー作品で東野圭吾自身が約3年をかけ執筆し、作者本人が「1番思い入れのある作品」と言っているだけに早く読みたかったのですが、なにせ600ページを超える長編ということで、これまで読むタイミングを逸していたのですが、ようやく本腰入れて読みました。
    内容は最新鋭の防衛ヘリコプターが防衛庁関係者へのお披露目の日に何者かに自動操縦で奪われ、それが原子力発電所の上空でホバリングし、犯人から日本国内の原子力発電所を全てストップしないと原子力発電所に墜落させると国に対して要求し、ヘリコプターの開発会社をはじめ、警察、防衛庁、原子力関係者などのいろいろな人間が絡み合い事件解決に向け対処していく内容です。
    とにかく登場人物が多すぎて途中、誰が誰なんだか分からなくなるくらい人間模様が複雑であり、ミステリー作品ではあるのですが、原子力発電所の意義や安全性に関して問題提起している社会的内容でもあり、最後は本当に原子力の必要性と国民の責任に関して考えさせられる重い作品でした。また、子供という存在を作品に絡めているあたりが親として子供たちに対する影響も考え、この問題には1人1人が取り組む必要があるという感じがしました。
    それにしても、ヘリコプターの構造や原子力発電所の仕組みなど本当に技術的にも細かい描写がなされており、本当に東野圭吾の知識の深さには驚かされます。
    いや~、さすがに東野作品は内容的に奥が深いと思うのとメッセージ性が強い作品が多いと感じますね!

  • この作品が88年に書かれたことがすごい。東日本大震災という大きな「蜂」に刺されて、少しは原発のことを知るようになったけど、まだ「沈黙する群衆」は多いのでは?と自分も含めて、いろいろ考えさせられる。
    子どもの救出劇や、関係者の真摯な姿は爽やかで救われる。やっぱりこの頃の東野作品が、本当に好きだなあ。

  • スケールが大きく読みごたえがあった。原発についても考えさせられた。

  • 高速増殖炉の上にリモートコントロールされたヘリコプターが停止した。犯人の要求は日本の全原子力発電所を停止すること。

  • 技術的な部分はちんぷんかんぷん。

  • テーマはテロリストと原子力発電。
    実際に起こりそうな事を臨場感溢れるタッチで描かれています。いつもの事ですが、東野圭吾さんの作品には色々と考えさせられます。

  • 東日本大震災前にこの作品が描かれている。
    その後、現実となる原発の驚異。色々と考えさせられるが、今、この状況でも上手く自分事にならないのが歯痒い。この先も、ほんとに原発は必要なのか?

    本の内容としては、上空で子供を救助するシーンは、手に汗握ります!

  • 東野さんがいままでで一番思い入れが強い作品とのことで読んでみました。

    午前5時間~午後2時30分過ぎまでの僅か9時間半の『ゲーム』

    スケールも大きく
    専門的な内容で苦戦する部分もありましたがここまでの作品を作り上げた東野さんにただ、ただビックリです(笑)

    原発問題を中心に捉えたストーリーですが、その是非を問うことが主題ではなく、日本社会を根幹の部分で支える人たちの行き方を伝えていました。

    最後の犯人からのメッセージは
    なんだか彼の心情を思うと切なくなりました。

    3.11前に読んだ本です。
    3.11で福島原発事故が起き、原発の在り方について問題となっているいま、もう一度読み返してみようと思っています。

  • ☆3.5
    原発を狙ったテロの話。
    この物語が90年代に描かれたとは思えないほどリアル。
    安全神話を信じ切っていた社会の中で、作者だけが現実(福島の事故)を予見していたんじゃないかと思わせるストーリーだった。
    様々な技術的な説明が冗長なところもあり、少し退屈させられたが、全体としては面白かった。
    原発推進派、反原発派、それぞれの考えや言い分、現状が書かれている。
    一つ言えるのは『沈黙の群衆』であってはいけないということ。
    どちらの立場であれ、声を上げるべきだということ。
    声を上げた者に対し、卑劣な手段でその声を封じてはならないということ。

  • 読み終わった時は、ただただ凄いと思った。
    原発を舞台にしたストーリーは、今だからこそ深く重く考えさせられた。
    これを20年近くも前に書かれた東野さんは本当に凄い。
    前半は専門用語の連続に苦労したけど、後半はもう夢中だった。
    それほどに物語としても面白かった。
    他の人にも是非読んでほしい1冊。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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