夏のレプリカ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 7224
感想 : 510
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730129

感想・レビュー・書評

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  • 前作の間の別事件の話。

    犀川先生と萌絵の出番は少なかったけどとても楽しめました。

    このシリーズももぅ少しで終わってしまう。でも森先生の本はまだ沢山あるのでまだまだ楽しめそうである。

  • 大人になるってどういうこと?
    __________________
    欲しいものを手に入れるには何か大切なものを捨てる必要がある。大切な人、お気に入りのもの、価値観や記憶、夢。大事なもの好きなものを全部持ち続けることは出来ない。それができるのが大人。
    逆に、自分自身が犠牲になるということも必要ということが今作からは読み取れました。

    __________________
    『好きだろうが嫌いだろうがそんなことは物事の本質とは、何も関係がない。一瞬の幻に過ぎない。どちらでも良いのだ。』
    __________________
    『若者は好きを求めるのと同じ位のエネルギーを使って嫌いなものを一生懸命探す』
    思わず共感してしまいました。嫌い・ダメな理由の方が饒舌に語れる、語ることで自分の意見が言えてると思ってしまっているなと。

    好き嫌いフィルタを通すことで、見えなくなってしまっているものがあるんじゃないか…穴のない仮面をつけたま歩いている自分を客観視できたように思えます。



    杜萌と萌絵のチェスの局面。大人に近づいている杜萌が白、真っ直ぐ純粋まだ子供要素が強めの萌絵が黒。2人の人間性を鑑みると色は逆じゃないか?とも思いましたが、この設定にはどういう意味があるのだろう…。

    チェスのシーンにもいろいろ意味が込められて作られてると思いますが、駒名もルールも、私の頭にはインストールされてないので、読み溶けていません。将棋ならなんとか妄想できたはず泣

    前作『幻惑の死と使途』と同時期に起こった事件という設定で、前作は奇数章のみ、今作は偶数章のみで構成。中盤から萌絵の、両作間を往来している感じが、作品の形として新しくて楽しめました。

  • わぁ〜!どんどんM&Sシリーズに夢中になってしまう!今回は前作と同時に起きた事件について書かれているので、これから読む方は前作「幻惑の死と使途」を読まれてから、こちらの作品を読まれた方が良いです!
    今回も犯人予想ハズレました(^^;

  • まさかの展開にびっくりです。後半は目が離せませんでした。今回は出番の少なかった犀川先生ですが、やはり天才なんだと思わされました。このコンビ…心底いい関係なんだと思います✨シリーズがどう終結するのか楽しみです。
    …感想でもなんでもないなコレ笑

  • 少しだけ、いやかなり救われた。

  • 面白かった!
    萌絵の親友のお話だったので、犀川先生不足に加え、いつもの萌絵らしさが欠けてましたが、それでも楽しめました。
    犀川先生の登場が少なくて、四季のような登場人物もいないので、あとがきにあったように、文章にさらり感がありました。
    と言っても、私は犀川先生のあの難しい話し方や話も好きなので、良し悪しではなく、単なる感想です。
    あっという間に読み終えてしまいそうだったので、あえて休憩を取ったりしました。

    素生のことは、もう少し詳しく知りたかったけど…
    何はともあれ良かった。

  • 刊行順に読み進めてるが、一番面白かった。
    せつない。

  • 結構好き。面白かった。やられた感があった。がしかし怪しむべきやったとも思える。笑
    でもお兄さんの件とか、あともういっこ何やったか、どういうことやったのっていう解決されてないやんっていう部分があるのがちょっと。

  • S&Mシリーズの第7弾です(間に短編もありますが)。
    前作『幻惑の死と使徒』と同時期の事件ということでついになってます。
    前作は奇数の章しかなくて章のタイトルも奇○の~だったんですが、今作は偶数の章しかなくてタイトルも偶○の~で統一されてます。しかも今回は全部韻を踏んでるようです。
    森氏のこういう言葉遊びみたいなことはすごく好きです。
    ちょっと気になったんですが前作と今作との時系列(時間の経過)の関係も1章、2章、3章、4章…と章の順番になってるんでしょうか?
    だとしたらすごいです!

    今回は萌絵ちゃんの親友の杜萌が巻き込まれた誘拐事件の謎です。
    前作の事件も同時に起こってるので残念ながら萌絵ちゃんと犀川先生はあんまり出てきません。
    後半からは出てくるけど事件そのものに関わってないから、やっぱり今までと比べて出番少なめな気がします。
    だからこその客観なんでしょうが。

    真相はすごい衝撃的でした。
    驚きで言ったら今まで読んだこのシリーズのなかで一番かもしれないです。
    そしてすごく切ないです。
    でもなんでそんなことになったのかがよく分からないからちょっと納得できないです。できればそうなるに至った過去の経緯とかも語ってほしかったです。
    最後もちょっと不思議。

  • 悲しい最後だった。ちょこっとだけ光を残して。
    この本はそれまでの他の本と少しだけ違う気がした。

    スカイクロラで見たあのリズムが、ここでもほんの少し見ることができた。

    ------------------------------------------------
    読了後の感覚が残ったまま、ぼーっと考え事をしていたらいろんなことが浮かんで、整いそうでまだ整っていなかったことの整理がついた。
    だから★の数を変えちゃったよ。

    最後のシーンを振り返っていた。3冊目の最後が浮かんでくる。綺麗で余韻が残るものだった。この本はその3冊目の綺麗な余韻とはまた違うけど、残る。だから振り返っていたんだと思う。

    何事においても、すべて今直面している問題に関連があるって思ってしまうのは、自分自身による強烈なバイアスのためだろう。それを示唆してくれている気がした。素生の存在がそれだ。
    事実・可能不可能だけを考える。その範囲内で。そうすれば導かれるものがある。けど、機械じゃないから、それを最初から完全にはできないんだよね。分けて考えるってわかっていてもそれができないことってある。そんな姿を萌絵に見た。
    それは自分も同じ。
    全部関連するってどこかでそう思い込んでいる。今のXXに関連するかもしれないって。
    なんだかこれって自分で勝手に寄せて考えているだけ。それは目の前のものをありのままの姿で見ていないこととイコールなんだろうな。インタビューの教室で痛感したあの痛みを思い出す。
    自分で目にバイアスをかけてしまったら、見えるものも見えなくなっちゃうだろうし、ないものを見ようとしちゃうのかもしれない。

    「旅」を語ると、たいてい「自分探し」というキーワードがついてくる。これは嫌いだった。違和感があった。そんなことしてないし、純粋に旅が楽しかった。自分探しなんてしてたら現地をそのまま、ありのまま受けとめられない。あ、私の違和感はそこに反応していたんだな、ってわかった。

    理系で、マーケティングの仕事をしていて、ものすっごく合うって思った。ドライだったから、感情論を置いておいて状況の整理、人の行動の分析ができた。そこそこの切れ味だったような気がする。
    年月を経て、数々の仕事を通して、感情面への興味も強くなっていった。同時に、いつの間にか整理や分析の切れ味が悪くなっていった感覚があった。いろんなことを知ったからかなって思っていたけど、きっとバランスの取り方が、切り替えの仕方がわかっていなかったんだろうな。
    ドライに分ける。感情を乗せる。一緒に考えないとダメなんて思いそうだけど、ここをあえて別々に考えを走らせる必要がありそうだ。これからは意識してみよう。

    証。キロク。
    こういう考えを書き留めたい。
    それは自分のためでもある。でもそれ以外もある。自分のためだけだったら秘密のノートでいい。あえて公開で書きたくなるのはどうしてだろう?
    それはずっと前からぼんやり考えていた疑問。9月、きょうこちゃんからももらった問い。そしてそのときは答えは生まれなかった。
    それがわかったよ。
    ただ、単に共有して、共感者に出会いたいだけ。そうなんだなってわかった。どんなに確率が低くても、誰かが共感してくれたらそれはすごくうれしいんだろうな。会話してみたくなるんだろうな。知人じゃなくてもいいんだ。むしろその方がわくわくしていいのかもしれない。
    最近、twitterやfacebookに書きづらくなって、やっぱりblogかなーってなんとなく頭に浮かんでいたんだけど、それはこういう感覚からきていたんだろう。私を記号で見ない誰かと会話する楽しさが欲しかったんだろうな。(その点でいうと、西村さんのワークショップでの自己紹介禁止ルールって本当に素晴らしいと思う。)

    パーソナルブランディング、という言葉が嫌いである。有名になりたいって何?って思う。いったい誰の有名に、特別に、なろうとしているのか?それを考えているのだろうか?って思っていた。
    人はそもそも相対でしか評価できない。絶対評価だなんて厳密には無理だ。
    じゃぁ、誰の特別になるの?
    それを考えずに、ブランディングだなんて・・・有名だなんて・・・
    (正直、いわゆる有名人って私にとっては無名人だもんな。興味ないもん)
    おかしくない?って思っていた。でも自分のキロクの公開についての答えが見当たらない。なんとなくそうしたい、の感覚だけ。その感覚の根っこはちょっとした期待だった。
    自分の思考を書いているのは、どこかにいる共感者がいてお話しできたらいいなっていうそんな想いがあったのだった。それらしきことは多々多々語っているけど、ようやくすっきりした。
    だから有名になりたいとかそういうのはないんだよね。名前を知られていなくっていい。そういう記号的なものは外して、ただ純粋に思考や思想を交流させたい。

    さて、これまでの長いメモは、30分くらいのシャワータイムに派生して思いふけっていたこと。順番はこのとおりだったかはわかんない。
    書くのには時間がかかるなぁ。頭のスピードに、文字も手もついていけないや。当たり前だけど。

    今日はとっても清々しい。
    いろんな靄が消えた感じがした。
    こんなにすっきり思考が開けた、というか通ったのは久しぶりかも。


    ♯私はいつくらいから感情の種類が増えたんだろう?ふと疑問に思った。社会人4年目くらいからだいぶ変化はあっただろうけど、大学生のときってどうだったんだろう?記憶が・・・

    ♯さて、私の思考は、ランダムなのか?シーケンシャルなのか?あはは、愚問かな。

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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