- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062735988
作品紹介・あらすじ
なつかしい人の絵手紙。下戸の好きな酒の肴。道端でよく会う老トラ猫。名文家・青木玉は、なによりも生活の巧者である。日々をていねいに暮らすなかで見出される、小さいけれどもかけがえのないことごとを、祖父・幸田露伴、母・幸田文と過ごした小石川の家の三代の思い出とともに、みずみずしく綴るエッセイ。
感想・レビュー・書評
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青木玉 著「手持ちの時間」1999.11刊行、2002.11文庫化です。感性豊かな青木玉さんのエッセイが沢山収録されています。「手持ちの時間」とは、(加藤一二三さんの「あと何分」、残ってないのに「あと何分」と記録係に聞くのがが有名ですがw)、将棋の差し手に残っている持ち時間をいうそうです。さて、将棋指しの残り時間ではなく、一寸先も見通せない(惰性の如く生きてはいますがw)私たちの手持ちの時間はどれほどか、ちょっと聞いてみたい気もしますね(^-^)
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前から読んでみたかった青木玉さんの本を「一箱古本市」というイベントで入手。
なんというか・・・何気ない日常を、なんてうまく切り取るんだろう、美しいものの見方をするんだろう、と感じた。江戸から昭和初期の日本がもっていた粋な文化が感じられて、読んでいると背筋が伸びる気がする。そして、なんと家族の紐帯の深いことか。その親子の情愛の深さに驚く。大げさな言葉は一切ないのに、ちょっとした仕草、風景描写でそれが伝わってくる。久々に美しい文章を読んだ気がした。「美しい」というのは「見栄えがいい」とか「美辞麗句」ということではなくて、自分の中のダメなところも引き受けてあがいている、その懸命さみたいなところ=「潔さ」なのかも知れない。