ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749046

感想・レビュー・書評

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  • なかなか面白い作品。村上春樹らしいファンタジーが溢れていて、心地よくリズミカルな文章もさえ渡っている。
    この作品の前日譚である「羊をめぐる冒険」や、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」から抜き出してきたようなシーンが多い。面白いが、ある意味真新しい表現ではないかも知れない。
    前作「ノルウェイの森」では全く登場人物に共感できなかったが、この作品は、超現実的なストーリーのであるにもかかわらず人々の思いが丁寧に現実的に描かれていて、共感まではいかなくとも理解できるように思えた。一人一人が魅力的である。
    警察の二人は、世界の終わりとハードボイルドワンダーランドに出てくるヤクザな二人ととても似ている。立場は逆だけれど。この二人は主人公と敵対する悪役だけれど、魅力的に映っている。
    13歳の少女ユキが特に良い味を出していると思う。象徴的にはどうかわからないが、少なくとも常識人である主人公の立場としては性的対象ではないと思うので、やりとりがとても微笑ましく感じる。彼女が出てくるとホッとするくらいだった。
    村上春樹の作品の女性はみんな色気出しすぎだから食傷気味、というのもあるのかも知れない。

  • 高度資本主義社会と雪かき( ´∀`)

  • 巧みな比喩表現と掴みどころのないストーリーやキャラの濃い登場人物になぜか心惹かれていく。

    「要するに自分のことしか考えてないの。私がいるってこと忘れちゃうの。傘と同じ。」でドキッとした。

  • 再々々読くらい

  • 村上ワールドの「あっちとこっち」の概念がようやく繋がった1冊。
    エレベーターを乗り移る表現が秀逸だった。
    そもそも人生はどこにも行けない。
    だからといって影に取り込まれては行けない。
    踊り続ければ、なにか見えてくる。
    しかし、踊る上でたった一つ注意点がある。
    「他人の指示したステップを踏まないこと」
    自分で考えて表現していかなくちゃいけない。
    たとえどんなに下手で、惨めで、悲惨な踊りであっても。

  • 村上春樹を刊行順に読むぞプロジェクトで順番に沿って読んだ。
    この本の主人公は34歳で、今の私とほとんど年齢が変わらない。だからなのかもしれないけど、私は彼の気持ちや、置かれている状況へのモヤモヤした気持ち、そういうものがすごく分かるような気がした。
    村上春樹の本にはもしかしたら、主人公と同じ年齢の時に読むとすごくよく分かるようになる仕掛けでもあるのではないか。だって村上春樹の本ってわかるとか分からないとかそういうもんじゃなくて、わからない何か、神話みたいなものだとずっと感じていたのに、最近の私にとっての村上春樹は、「この気持ちよくわかる」というものに変わりつつあるのだ。そんなふうに村上春樹を読むことになるとは思っていなかった。今では読んでいる時間がすっかり居心地よくて、次に読む本も村上春樹がいいなぁと思っている自分がいる。
    「ダンス・ダンス・ダンス」では、村上春樹的には初めて?殺人事件が登場した。まさか村上春樹の小説の中で殺人に出くわすとは。ビックリ。刑事まで出てきた。とはいっても、全然十津川警部とかアガサ・クリスティー的なやつではなくて、その事件もやんわりと扱われていて、神話的な終わりを迎えていた。きっとこの事件を出す必要が物語として必要だったんだろうなと思いつつ、もしかして殺人事件を描いてみたくなったんじゃないかな、ここへきて。という気がした。
    ここまで居心地よく読んでいても、まだ村上春樹が好き、という感覚にはなっていない。やっぱり私はこの人の性的な描写と女性の描き方だけはなんだかずっと苦手だ。

  • 下まで読了。
    想像以上に面白かった。「僕」のキャラが個人的に好きというのもあるが、登場人物たちの普通の人間とは少しねじれてる感がとても好きだ。
    ネズミシリーズの一応の完結編ということで「僕」をはじめとする物語は終わりを迎えたが、やり残したなにかはあまり思いつかない。
    とにかく読みやすかったように思う、伏線なども頭に残りやすく、それでいて考察しやすかったので、まだまだ本読みの初心者の自分にとってはかなりとっつきやすかった。深い感想や考察は割愛する。札幌に行ったときにでも再読したい。

  • 久しぶりの村上春樹!

    読むのに時間がかかったけど、下巻も楽しみ。

  • 村上春樹作品を読みたくなるタイミングというのがある。

    個人的な読書体験として19歳の時に『ノルウェイの森』を読んだ。それが初めての春樹作品。主人公の渡辺が19歳で同い年だったからすごく共感した。

    そのあと、精神分析の授業とかを大学で取っててその課題図書で『海辺のカフカ』を読んだりしてた。その時は自分の過去と向き合っていた時期でした。

    大学卒業後、ちょっと人生に迷いふらふらしちゃった時に『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読んでいた。

    その後ホテルで働いたりしてていろいろがんばっていたけど転職しようと思っていた頃に『1Q84』を読んだり、その後、書店員になって文庫担当になった1年目で『騎士団長殺し』が文庫化されて読んだり。

    あとはコロナ初期の緊急事態宣言が出たあたりの自粛中に『ねじまき鳥クロニクル』を読んだりしてました。

    なんとなく自分の人生の節目節目で春樹作品になにか救いや自分の精神状態への洞察を求めて少しづつ取り込んできた感があります。

    長くなるのでできるだけ割愛しますが、30歳になる直前で『風の歌を聴け』を読みます。それはなぜかというと、村上春樹さんが29とかの時に書いた作品だからです。同い年の当時の村上春樹がなにを書いたんだろうという感じで読み始めました。

    『ダンス・ダンス・ダンス』は風の〜から始まる羊シリーズの続編で一応完結ということになるのだと思いますが、30歳になったころ読み始めて何度も小休止しつつダンス〜を読み終えるのに1年半くらい時間をかけて読みました。

    ダンス〜を手に取って読み終える過程はそんな感じです。全体の感想は下巻の方に書きます。

  • 村上春樹作品は、前に読み終えなかったので、今回は再度別の作品に挑戦。上巻は、段々面白くなり読み終えた。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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