- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062749121
作品紹介・あらすじ
あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている二十一歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。北海道に渡ったらしい"鼠"の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。新しい文学の扉をひらいた村上春樹の代表作長編。
感想・レビュー・書評
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村上春樹さんの小説って何でこんなに読みやすいのだろう。訳わからないのに、まるでマグリットの絵のようなシュールな世界に惹き込まれてしまう。
妻と離婚した“僕”はある日、耳専門のモデルの女の子の“耳”にどうしようもなく惹かれ、その子と付き合い始める。そんな時、“僕”が友達と共同経営していた小さな広告代理店に不思議な男が訪ねてくる。男がいうには、先だって“僕”の会社で作ったある生命保険会社の広告が問題だと。そこに使われている北海道の羊の群れの写真が問題なのだと。「今すぐにその広告の発行を差し止めなければ、我々は君たちの会社など簡単に握り潰してしまうことが出来る。」と言って、その男は日本社会のほとんどのことを牛耳っている右翼団体に属しているいうことを匂わす。
なぜ、そんなに羊の写真が問題なのかと、淡々と尋ねる“僕”に、その不思議な男は虫眼鏡を出して、「良く見てみろ。一頭だけ種類の違う羊がいるだろう。」と。よく見ると何十頭いる羊の中に、一頭だけ背中に変なマークの入った羊が。それが、その男のボス(先生と呼ばれている)にとって、大事な意味のある羊なのだ。だからその広告の発行は差し止めろ、それがどうしても出来ないなら、その羊を探し出してもらう。さもなければ、君たちの会社に未来はない。と脅迫する。
“僕”は脅迫されても「どうせ自分にはこれ以上失うものなんか無い」と思っていたが、どうも“僕”には、その男にも読者にも言っていない、ある友達と羊との関係が気がかりであるらしく、結局、会社を辞めて、件の羊を探しに北海道まで彼女と出かける。ここで上巻は終わり。
中心になる筋は書いたが、“僕”の過去については秘密めいているし、伏線になりそうな友人や彼女が登場したり、くっついたり、離れたり亡くなったり…なんか真ん中が見えない不思議な話。デ・ジャ・ブのような夢のようなシュールな光景の中に、“裏社会を牛耳る右翼”の影だとか、くっきりと具体的な恐怖みたいなのが影を落としたり、タバコの匂いまでがオシャレであった60年代〜70年代の退廃的な若者の姿を描いていたり、惹き込まれる要素満載。
下巻につづく。
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鼠三部作3作目の上巻。
僕が事件に巻き込まれる。
不思議な話。
リアルの中にアンリアルが混ざっている感じ。
こういう展開好きです。
とうとう北海道へ。
運転手好きです。 -
鼠三部作の三作目。
何冊か別の本を間に挟んでしまったのもあり、読了までにものすごく時間がかかってしまったが、後半から一気に動き出してスピードアップしてやっと読み終えた。
いつもながら村上春樹ワールドにいる時間は幸せだ。好きだ。(とか言って読み終わるの遅かったくせに。)
不思議な羊。いよいよ冒険が始まる予感。
この後どうなるんだろう?
下巻が楽しみ♪
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村上春樹氏の青春3部作目。私の春樹氏初読作品。
斬新さに痺れた文体とリズム。
今回の再読は【順番通りに読む】
こんなに繋がりが明確だったとは。もっと3部作とは言いながら、独立性が高かったように記憶違いしてた。
1970年の回想から、1978年に飛び、僕は妻と離婚(翻訳事務所で働いていた女の子だった!)、魅惑的な耳をした新しいガールフレンド、失踪した鼠から届いた手紙。そして、謎の羊を探す冒険がスタートしたところで、下巻へ。 -
「1973年のピンボール」の読後にせっかくだから3部作全部読もうと思い手に取った作品。
前作ではほぼ内容が掴めなかった為、この作品はもう少し理解できるだろうと思ったが結局、鼠との関係性、友人との経営、耳の綺麗な女の子、羊を探しに行くの因果関係や時系列など自分の中で複雑に絡み合ってしまい、この作品が何を訴えかけようとしていたのか理解できなかった。
そもそもこの作品はそれを重視していないのかもしれない。村上春樹の世界観は充分に味わえたと思う。
これからやっと羊を探しにいく為、「下」で少しでもこのモヤモヤが回収されると願っている。 -
この本を読んだのは人生で2度目です。
1度目は高校生の時。面白くて著者の本をよく読むキッカケになった本です。
サスペンスと文学的表現、大衆小説的読みやすさのどれも持っている小説だと思います。
村上春樹に興味ある人にはオススメの小説です! -
鼠三部作の完結編。
羊をめぐる冒険を読むにあたって「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」を読んだ。この作品から村上春樹っぽさが一気に出たような感じがする。
すごく面白かった。早く下巻を読みたい。 -
段々と、村上春樹がクセになってきている、か。三部作最終の前半(訳の分からない位置付け)になって、面白いと思えて来た。続きが見たい!
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妻が去っていった僕。
写真の中の一頭の羊、そして街を出ていった親友を追って札幌から北の奥地に辿り着く。
猫に関する描写が僕という人物を象徴的に描く。
個人的にメンタルを削られずに読了できる本作はエンディングが理由かな。
ファンだが読むには勇気が -
相変わらずの描写。面白い。
数ヶ月前に読んだ2作の続きをやっと読みはじめた、
日々のどうでもいいこと、無駄なこと、失敗や絶望、そんなこともまぁいいなぁと思ってしまう。
“職を失ってしまうと気持ちはすっきりした。僕は少しずつシンプルになりつつある。僕は街を失くし、10代を失くし、友達を失くし、妻を失くし、あと3ヶ月ばかりで20代を失くそうとしていた。60になった時僕は一体どうなっているんだろう、としばらく考えてみた。考えるだけ無駄だった。1ヶ月先のことさえわからないのだ。"
ありがとうございます!同感して頂いて嬉しいです。過去か?夢か?どこか遠くの既視感のある映像と現実とが交わって不思議なイメージを...
ありがとうございます!同感して頂いて嬉しいです。過去か?夢か?どこか遠くの既視感のある映像と現実とが交わって不思議なイメージを作っていくのが、村上文学の魅力かな?と思います。
感想を書かせていただいたのは帰宅途中の電車の中。ご指摘のマグリットの絵をネットで探し当て、「オオッ」と独り言。怪しげ...
感想を書かせていただいたのは帰宅途中の電車の中。ご指摘のマグリットの絵をネットで探し当て、「オオッ」と独り言。怪しげなオジサンになってしまいました。
帰宅してからウィキペディア等でマグリットのことを調べてみると、、、深い!かなり村上ワールドと繋がっているように思います。Macomi55さんのレビューやコメント自体が一つの作品のように感じられてくる。
久しぶりに「打ちのめされた」感覚です。
本当にありがとうございました。
ヒロキンより
こちらこそ!読んで下さってありがとうございました( ◠‿◠ )
こちらこそ!読んで下さってありがとうございました( ◠‿◠ )