- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062749138
感想・レビュー・書評
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僕と鼠の青春三部作の締めとなる作品。今作で村上の方向性が定まったと評されるが、日本文学の完成系であり、終着点でもある。優れた作家の著作は、人を混乱させ、形而上下を疑わせ、そして、仕事を辞めさせたくする力がある。沢木耕太郎、池澤夏樹、そして村上春樹である。
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不思議な話だった。
まさしく羊をめぐる冒険だった。もっと最近の村上作品しか読んだことがなかったせいか少し読みづらさも感じたが、独特のストーリーと比喩表現は面白かった。
鼠3部作というものを知らずに、この本をまず読んでしまった。鼠の登場が唐突に感じたけれど、他の作品に繋がっていると思うと気になってきた。近いうちに読んでみようと思う。 -
初めて村上春樹の本を読んだ。この人は変態なんだろうな、と思った。他の本も読んでみたい。
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鼠の家に行ってからの描写がすごい好き
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読了後、しばし呆然となった。
不思議な感覚と一抹の寂しさもあるが、おもしろかった。
青春の時間を過ぎそれぞれの歩みを進めてきた鼠と僕。既にその時から鼠は生きて再会することはないと感じていたのではないか。
羊という魔物を道連れにすべてを封印し自分て終わらせる覚悟。一方でヒントを散りばめながら僕なら気づいてくれるとの希望もあったのかも。
日常のような非日常、非日常のような日常がとても小気味よく楽しかった。 -
映画『ドライブ・マイ・カー』を観て、村上春樹の小説が読みたくなり、本棚に眠っていた『羊をめぐる冒険』を30年ぶりに読んでみた。
そう、この感覚。30年前に二十歳かそこらで読んだ時には、自分も30歳くらいになったら、主人公のように一人でバーで酒飲んだり、友だちや彼女と不思議な冒険のような体験をすんのかなぁと漠然と思っていた。が、実際にはそんなことはなかった。これはやはりファンタジーなのだ。
村上春樹って、女性を身体でしか見てなくて、理解しようとしていないところが、あんまり好きじゃない。この小説の、彼女との会話もスノビッシュで面白くない。黒服の秘書や運転手との会話のほうがずっといい。
クライマックスの「鼠」との対話のシーンは情感というか情念が溢れ出ていてなかなか凄い。別荘のある草原に雪が降る描写も幻想的で素晴らしい。十二滝町という架空の地名は、確か映画『ドライブ・マイ・カー』にも似たようなのが出てきたような。北海道に思い入れがあるのだろうか。 -
世界が自分抜きでも関わらず進んでいて、自分だけその時間に取り残される感覚であったり、”羊”に弱さにつけ込まれ自分が蝕まれていく感覚であったり、今まで日常で味わう(その思考に至る)事がなかったけど、見ない様にしてるだけで心の奥底にはあるんだろうなと感じた。
記憶の中だけでなく現実世界で自分や街が消えない様に、独自のアイデンティティを感じ取り、ひとつひとつ大事にしていきたいと思った。