羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.76
  • (1266)
  • (1519)
  • (2213)
  • (124)
  • (20)
本棚登録 : 14423
感想 : 836
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062749138

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 僕と鼠の青春三部作の締めとなる作品。今作で村上の方向性が定まったと評されるが、日本文学の完成系であり、終着点でもある。優れた作家の著作は、人を混乱させ、形而上下を疑わせ、そして、仕事を辞めさせたくする力がある。沢木耕太郎、池澤夏樹、そして村上春樹である。

  • 不思議な話だった。
    まさしく羊をめぐる冒険だった。もっと最近の村上作品しか読んだことがなかったせいか少し読みづらさも感じたが、独特のストーリーと比喩表現は面白かった。
    鼠3部作というものを知らずに、この本をまず読んでしまった。鼠の登場が唐突に感じたけれど、他の作品に繋がっていると思うと気になってきた。近いうちに読んでみようと思う。

  • 僕が最後泣いたのがとても印象的だった。三部作通して感情的なることなんか一度もなかったよなーと思う。そんくらい鼠は特別な存在だったんだよね。悲しい。

    描写が当たり前だけど上手い。ポツンと立った別荘を想像する。鼠と僕の最後の会話は鮮やかなほど頭に浮かんだ。

  • 初めて村上春樹の本を読んだ。この人は変態なんだろうな、と思った。他の本も読んでみたい。

  • p21
    彼の左手の小指と中指は第二関節から先がなかった。

    p62
    物事には順番というものがある。

    p100
    太った中年の女はスクリャービンのピアノ・ソナタに聴き入っている音楽評論家のような顔つきでじっと空間の一点を睨んでいた。

    p110
    「町が死ぬとどうなるんですか?」

    p228-229
    「君は世界が良くなっていくと信じてるかい?」
    「何が良くて何が悪いなんて、誰にわかるんだ?」

    p256
    「端折ると意味がなくなっちゃうんだ」


    下巻。再読。
    初めて読んだときは間違えて先に下巻から読んだ思い出。それでも違和感のない構成がすごいというかずるいというか。
    十二滝村の歴史描写がすべてな気がしなくもない。完成度の高さにうっとりします。それくらいよく書けていて、もうすでにこの段階で雲の上の人だったのかなと。3部作ですが、ある意味では4冊の長編を書き上げたともとれます。

  • 鼠の家に行ってからの描写がすごい好き

  • 読了後、しばし呆然となった。
    不思議な感覚と一抹の寂しさもあるが、おもしろかった。

    青春の時間を過ぎそれぞれの歩みを進めてきた鼠と僕。既にその時から鼠は生きて再会することはないと感じていたのではないか。

    羊という魔物を道連れにすべてを封印し自分て終わらせる覚悟。一方でヒントを散りばめながら僕なら気づいてくれるとの希望もあったのかも。

    日常のような非日常、非日常のような日常がとても小気味よく楽しかった。

  • 「俺は俺の弱さが好きなんだよ。苦しさやつらさも好きだ。夏の光や風の匂いや蝉の声や、そんなものが好きなんだ。」

    このセリフが好きだ〜。

  • 映画『ドライブ・マイ・カー』を観て、村上春樹の小説が読みたくなり、本棚に眠っていた『羊をめぐる冒険』を30年ぶりに読んでみた。

    そう、この感覚。30年前に二十歳かそこらで読んだ時には、自分も30歳くらいになったら、主人公のように一人でバーで酒飲んだり、友だちや彼女と不思議な冒険のような体験をすんのかなぁと漠然と思っていた。が、実際にはそんなことはなかった。これはやはりファンタジーなのだ。

    村上春樹って、女性を身体でしか見てなくて、理解しようとしていないところが、あんまり好きじゃない。この小説の、彼女との会話もスノビッシュで面白くない。黒服の秘書や運転手との会話のほうがずっといい。

    クライマックスの「鼠」との対話のシーンは情感というか情念が溢れ出ていてなかなか凄い。別荘のある草原に雪が降る描写も幻想的で素晴らしい。十二滝町という架空の地名は、確か映画『ドライブ・マイ・カー』にも似たようなのが出てきたような。北海道に思い入れがあるのだろうか。

  • 世界が自分抜きでも関わらず進んでいて、自分だけその時間に取り残される感覚であったり、”羊”に弱さにつけ込まれ自分が蝕まれていく感覚であったり、今まで日常で味わう(その思考に至る)事がなかったけど、見ない様にしてるだけで心の奥底にはあるんだろうなと感じた。

    記憶の中だけでなく現実世界で自分や街が消えない様に、独自のアイデンティティを感じ取り、ひとつひとつ大事にしていきたいと思った。

全836件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

村上春樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×