チルドレン (講談社文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757249

感想・レビュー・書評

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  • 陣内がとても魅力的で、こんな友達欲しいなぁと思う。
    独特で個性的な行動や発言をするのだけど、どこか的を得ていて味わい深い。陣内の鷹揚とした人柄に巻き込まれる人達は辛辣な意見を述べつつ、彼が大好きなんじゃないかな。

    『短編集のふりをした長編小説』と、伊坂さんご自身で称したらしいけれどその通りで、とても凝った連作集で構成されていて、背景となる年代や語り手がその都度違っているのだけど、日常の中にある非日常な物語で陣内を取り巻いている。

    個人的には、チルドレンⅡの伏線回収がとても感動的で大好き。 親の情けない姿を見た子供は時に失望して非行に走るかもしれない。けれどこの世界の中には奇跡と呼べる出来事が起こり、それが人の手によって為された人為的な奇跡でも、そこには優しい事実があるんだ。

    小さな謎が解かれた時には、何故か温かい気持ちになるような、素晴らしい傑作です^^

  • 銀行強盗、家庭裁判所、公園、デパートでのお話。短編集だがそれぞれ繋がりがあり、内容もわかりやすい。
    「トイレは迷路になってんのかよ!時間が止まってんのかよ!」
    「産婦人科医になりてえ!」

    特別な存在になりたい陣内、優子。読み進めていると彼らが如何に特別な存在に憧れているのかが伝わる。一方で長瀬は「特別な時間」について考えている。人それぞれ求める特別は異なるんだな、と。

    読み手としては長瀬よりも陣内がよっぽど特別な存在だと思うが、読者と登場人物のミスマッチが心地よい。

  • 一つひとつの物語で生じるひっかかりが、
    5つの物語を通して全てつながっていく様が、とても軽快で鮮やかでした

    陣内、めちゃくちゃだけど、
    陣内の周りになら奇跡が起こるんだなぁと思わせる不思議な男です。
    人間ぽくて好き

    "短編集のふりをした長編小説です"
    という伊坂さんの言葉が、読み終わったあととてもよくわかった!

    私はまた陣内に会いたくなって
    きっとそのうちサブマリンを読むと思います
    陣内と再会できるのがたのしみ

  • あーだこーだ考えないってことも大切なのかなと思った

  • とても良い空気を吸った読後感でした。陣内くんみたいな人、身近にいたら楽しいでしょうね。

  • 普段あまり読まない短編集だけど、つながりもあるし面白かった。でも、中身は軽い感じ。

    陣内と永瀬・武藤の対照的なキャラクターがいい。

    逆ソクラテスはがっかりしたけど、この作品で評価上昇。

  • 伊坂幸太郎の作品によく出てくる、ぶっ飛んでるけど自身の正義を持っている男「陣内」を中心に進む物語。
    これまた伊坂作品ではおなじみのスマートでさわやかなキャラクター「永瀬」もかっこいい。

    周りがどう思おうと自分自身を貫いている人間を見ている(読む)のは気持ちがいいし、憧れるから(本当にめちゃくちゃだけど何故か真理を突いていることもある)、そして永瀬が持ってるような暖かな聡明さを感じるのも心地よく、かといってごく普通に悩んだりする鴨居や武藤のような人がバランスよく登場することで、もしかしたらこんな世界が私のそばにもあるかもな、と思えてしまう。"甘いかな。"



    「俺たちは奇跡をやってみせるってわけだ。ところで、あんたたちの仕事では、奇跡はおこせるのか?」

  • 私はこの物語、大好きです。陣内は、破天荒で言ってることも適当だけと、誰にも媚びない強さと、どんな人間でも平等で対等に向かい合える優しさを持ち合わせている。近くにいたらめんどくさいヤツかもしれないけど、信頼できる人間。こんな物語を書ける伊坂さんも、カッコいいって思う。読んだらスカッとする一冊!

  • 続編が出たというので慌てて再読。
    全く古さを感じさせないテンポに嬉しくなる。
    早く続きを!

  • 伊坂幸太郎には珍しい短編集。
    それぞれの物語の進んでいた時は異なるが、一貫して「陣内」という男が登場する。
    その男は、絶対という言葉を使う奴は信じられないと言いながら、簡単に絶対と言い切り、即座にその言葉を撤回する。こんな自分勝手な変わった人はいないと思う。しかし、彼は彼なりの正義を貫き、他人に流されることなく、常に何かに向き合い、闘っている。その姿は、つまらないことにかっこをつけているよりも、とてもすがすがしくて、見ていて勇気をもらえる。
    目の見えない永瀬という友達に陣内が言い放った言葉が忘れられない。ふとした時に、永瀬は全盲であることから人に哀れみを受けて特別視させることがあった。そのときには、陣内は必ず、「ふざけんじゃねえ。お前だけが特別だと思うなよ!」と怒るのだ。当然周りは、一瞬当惑するが、陣内はお構いないしだ。一見、陣内の性格からすると、後先を考えず配慮に欠けた言葉を言っているようにも感じるし、否定できないだろう。しかし、この陣内の一言から、永瀬は全盲である自分を一人の人として対等に扱っていることに、他の人との違いを感じて、安堵の気持ちを覚える。
    陣内は、一般常識を身にまとわずに、自身の感性に素直に、人と向き合う。
    その姿は、どこか冷めた、都会に暮らす現代人にはない、一つの勇敢な生き方があると感じた。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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