- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062761420
作品紹介・あらすじ
会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の男に近づいていった。五年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。
感想・レビュー・書評
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腹話術の能力を持った兄と、後に賭け事の能力を持った弟。二人には強い絆があって、能力以外での強さを持っている。ゆっくりと話は進んでいるのに心の中ではモヤモヤし、どうなるのかという期待感が強いまま読了。政治だけでなく世の中の様々な出来事に対して流されず、自分の考えを持とうと思わされた小説。
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2019/11/09
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2019/11/10
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兄の能力は、面白いと思った。
マスターの能力は、恐ろしいと思った。
弟の能力は、心の底から欲しいと思った。
ストーリー展開は流石だなと思った。 -
魔王 伊坂幸太郎さん
1.購読動機
2020年。山にもいけず本を読む時間が増えました。
伊坂幸太郎さんは、アイネクライネナハトムジークが最初の出会いでした。
サブマリン、チルドレン、グラスホッパー、そしてガソリン生活など10冊弱購読してきました。
どの書籍も世界観が違いました。だから、読むたびに新しい風を感じることができたのが心地よかったです。
読みつづけたい作家さんのお一人です。
2.作品 魔王
主人公は、幼くして両親を事故でなくした兄弟。
兄は、ある日自身の特殊能力に気づきます。
自身が念じたことを、相手に発言させることができる能力です。
国内の政治は混迷を極め、野党による政権交代の機運が高まります。
その野党党首のメッセージに、違和感を覚えた兄は、能力を使い、失脚への道への画策を始めます。
タイトルの魔王。
シューベルト作曲です。
その物語と、この作品がどのようにリンクするのか?
ページを開いてお楽しみください。
3.読み終えて
『人間の進化の最大の武器。
それは好奇心である。』
主人公兄弟からのメッセージです。
言い方かえれば伊坂幸太郎さんからのプレゼントです。
外的環境は、自己がコントロールできないことだらけです。
しかし、そこで無関心、放置ではなくて、一隅、そう自身の手の届く範囲にのみ行動を起こしてみること。
私は、一読者としてこの内容を気づきとして贈られました。
魔王。
見えない、忍び寄る世界は、怖がるのでなく、まずは目を向けること。
#読書好きな人と繋がりたい
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「魔王」と「呼吸」の2部構成。
著者、お得意の特殊能力系ではあるが、他作品と少し毛色が違い、ややメッセージ性に比重を置いているように思える。
結末はモヤっとしたが、続編があるようなので楽しみ。 -
考えろ考えろマクガイバー...
生きていれば、こういうこともありますね。
でたらめでもいいから、自分の考えを信じて対決していけば、そうすりゃ、世界が変わる。
いろいろ考えるきっかけを貰ったお話でした。
消灯ですよ! -
世の中の流れに立ち向かおうとした兄弟の物語。
伊坂さんがあとがきで「ファシズムや憲法、国民投票などが出てきますが、それらはテーマではなく、そういったことに関する特定のメッセージも含んでいません。」と書いている。
ならば、この作品のテーマなんだろう?
「とにかく時代は変りつつある」『時代は変る』ボブ・ディラン
「時代は少しも変わらないと思う。一種の、あほらしい感じである」『苦悩の年鑑』太宰治
巻頭にあったこのふたつの文がとても心に残った。
これがこの小説のテーマのひとつかもしれない。
この先時代は変わるのか、変わらないのか…
この作品から感じた不穏な流れ、世の中の怖さ、その雰囲気は嫌いじゃなかった。
流されるな、「考えろ」とずっと投げかけてくれた。大事な事だと思う。
「政治家が賢いのと馬鹿なのでは、どっちが怖いんだろう」
この質問は凄い。考えろ、考えろ!
ただ、お兄さんのしたかった事、潤也くんがしようとしている事、犬養という人、そして、帯に書かれている「魔王とは何者なのか?」、どれもはっきりしなかったなぁ。
モヤッとした終わり…
何より、ファシズムとは何か、ファシズムの何がいけないのか、統一とは悪い事なのかがメインなので私にはちょっとハマれなかった。
この作品に私の大好きなあの人が!何を調査しにきたの? -
熱狂の渦に飲み込まれず、立ち尽くす一本の木になるのは至難だと感じました。
考え貫くのは難しいです。
「ずるずると、磁石に引っ張られるみたいに、物騒な方向に向かっていくんだ。」