ガール (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062762434

感想・レビュー・書評

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  •  30代半ばの働く女性を書いた短編が5編収められている。
     いずれも若くはないが若さを失いつつあることを認めたくない、ちょっと気の強い四大卒女性が、会社の中で葛藤しながら前を向いていく話。
     課長に抜擢され年上の男性部下に手を焼く『ヒロくん』の聖子、身の丈を越えたマンションを購入するかどうか迷う『マンション』のゆかり、年齢に関係なく女性を楽しむことに気づく『ガール』の由紀子、子育てを言い訳にしたくない『ワーキング・マザー』の孝子、イケメンの新人の指導係になった『ひと回り』の容子。

     自分とは世界の違う話かと思ったが、彼女たちが仕事だけでなく、社内の面倒な力関係、結婚、恋愛、家庭などの悩みや焦りが尽きない中、楽しさや自分のやりたいことを追求していく姿には共感しきりだった。
     今はテレワーク中心となってしまったが、会社で仕事をしていた頃が懐かしくなった。

  • 何だかんだこういう話キライじゃない。むしろ好きだよね。お仕事モノだったり、主人公たちがみんな同世代だったり。一つひとつ読み終わるたびに職場や友達、家族のことを考えて自問自答してしまう。自分の立ち振る舞い一つに対しても結構考えさせられる気がする。これが男性の描く女性の物語にすぎないのか、本当に女性も共感できる話なのかは気になるところ。感化されるだけの勘違い君にならないように気を付けなくては。

  • 30代の働く女性、共感必至の短編集。
    「ヒロくん」:昇進して部下ができた聖子が、組織の古い慣習や男尊女卑に立ち向かうお話。
    「マンション」:独身のゆかりがマンションの購入を検討しつつ、秘書課の女子と張り合うお話。
    「ガール」:32歳の由紀子は独身貴族。いつまでも若いつもりでいるけれど、若造りの先輩を見てちょっと引いてる。もうガールはやめた方がよいの?
    「ワーキング・マザー」:シンママの孝子は営業部に復帰してバリバリ働きたい。だけど、息子のことでみんなが遠慮してしまい…。
    「ひと回り」:教育担当についた新人は長身のイケメン、22歳。ひと回り違うのに気になってしまう34歳の容子は…。
    それぞれのお話が共感の嵐。根本的に状況は変わらないのに、どれも肯定的なラストを迎えるのも嬉しい。ありのままの自分でいて、楽しいな、やりがいあるな、って思えるって大事。働く30代の女性は、既婚独身問わず楽しめると思う。オススメ。
    230127読了、図書館本。

  • 全てのガールに共感し、愛おしく感じ、そして自分を肯定してもらえた。
    働く女性みんなにおすすめしたい。

  • さすが、奥田英朗、面白かった!特に2話の【マンション】。青山に住みたい主人公の気持ちが手に取るように分かった!

  • 夏休み-15

    よかった。一編目が特に好きだった。
    結婚とか子育てとか、住むところとか若造りとか、仲間とか。上司とか。あーー、なんかまだ実感はわかないけど人生の少し先にあるいろいろなものがじんわりと感じられて、ちょっと心地悪い気もした。

    〈私は私〉という人はかっこいいけれど、周りのみんながそれを受容するわけではなく、でも自分であることを諦めてはいけないので、三十代女子とはどんな気持ちなのか、好奇心もくすぐられた。

    さて私の職場の三十代女子は、どんなことを考えてるんだろう。私は、自分が自分を愛せる〈ガール〉でいられるのだろうか。そして今のうちに、若さという特権を行使しておかなければ。。
    これ描いたのが男性というのがすごい。ひゃー、小説家ってほんとすごいよな。

    みわちゃん教えてくれてありがとう

  • 広告代理店に務める由紀子は、32歳。仕事柄派手な格好をしているが、そろそろ20代の社員の天真爛漫さは無くなってしまった。そんな中、38歳の独身の先輩お光と、デパートでの企画の仕事が持ち上がる…。

    三十路ガールたちの短編が5篇。同じ会社かな?とうがった読み方をしていたが、全て別の作品だった。

    課長になって年上の部下の男性に嫌味を言われ、子供がいることで自由に振る舞えないなど、割とオーソドックスなお仕事小説である。

    というか、いつもの奥田英朗のつもりで、ひねくれた嫌がらせでも出てくるのだろうと読んでしまうので、みんなあっさりと終わっていくのが不思議に思える。

    本書は女性誌に連載していたのか、かなり女性のファッションの部分に重点が置かれ、よく調べたなあと感心するほど細かく描かれているのが、一つのポイントである。

    その一方で、どうにもバブルのころの雰囲気を漂わせる表現がどの作品にも有るものだから、妙な時代錯誤感を感じてしまうのだ。おそらく書かれたのは2000年頃。もう携帯電話も一応登場している。小泉改革も出てくる。でも、なんとなく、1990年頃に感じてしまう古くささが否めない。

    バーンとやり込める爽快さも、自分が折れるけど前向きにと言うほろ苦さもあり、あまり小説を読まない女性社会人には心地よく受け入れられる短編集であろう。

    ただ、奥田英朗の他のを読んじゃうとね…物足りない。

  • 大企業で勤める女性を描いた短編集で、キャリアウーマンだと結婚や昇進、マンション購入、バツイチなどなど人それぞれ大きな悩みをが抱えながらすごしているんだよなーと分かる場面もあった。
    読んでいてどれもスッキリ終える感じがよかった。

    短編集だったから途中で主人公全員同じ企業で勤めている話なのなとか、みんな何かで共通しているのかなとか思っていたけど私の読力ではわからなかった。

  • 29歳の自分にひたすら合わせて読んでた
    もう自分もガールじゃないのかなぁって

    仕事もこれからだったとは言われるけど
    体力的にもきつくて転職することにした
    本の中でもマンション購入検討だったり、
    いろんなことを考えて変わってくのかな

    生活があるからって我慢する人たちも沢山いる
    そんな中、自分は将来のことも考えてだけど
    転職してお気楽だなぁとか
    それがメリットでもあるんだけど

    私自身も若作りの人たちに対しても
    20前半の頃は25過ぎた人に対しても
    もう若くない、おばさんって思ってたし言ってた
    それが自分が言われる立場になってくるとはね

    一回り上の人が自分たち世代に対して
    恋愛感情を抱くなんて考えてもなかった
    でも34歳。
    分からなくもない。自分もあり得るかも。
    思ってたよりも自分自身は若いつもりなのかも

    社会的には中堅、若くなくても
    自分自身ではそんなことないって思ってしまう
    30代って難しい年齢だなぁ
    ってどの作品にも共感しながら読めた

    主人公たちみたいに30代は20代と違って
    背伸びしすぎずに見栄を張らずに
    自分らしく過ごせていけたらいいなぁって思った

  • 仕事にも恋愛にもエネルギッシュな女性たち。世代の違いか、あまり共感できなかったけど、働く女性って色々大変だなって思った。ハンサムなガールたちの物語。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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