獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764476

感想・レビュー・書評

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  • 図らずも、"奏者の技"を体得してしまったエリンは王獣リランと意思疎通ができるようになってしまう。こんなにも賢い王獣が決して人に慣れないとされてきたのはどうしてなのか。
    リランを音無し笛、特滋水を使わずにできるだけ野生に近い環境で育てたことで、エリンは王獣規範で制限されたある秘密に気づいてしまう。

    闘蛇と王獣の関係はリョザ神王国の成り立ち、政治にも紐づいていた。もはや生物を扱う教導師の枠をこえ、国にとって重要な存在になるエリン。

  • 闘蛇編から王獣編とこれほど一心不乱に本を読んだのはいつ以来だろう。
    ファンタジーでありながら人間と自然(獣)の共存に対する強いメッセージを感じた。
    読んでいる時、無我夢中で時間も忘れて読んだ。
    読み終わり、この素晴らしい本とそのメッセージについてとても深い感動がじわじわとこみ上げてきた。
    一生にこの思いを何度感じることができるだろうか。
    いい本に出合えた。

    それでいて、単純に面白い本でした。

    最も心に残る場面は、リランがエリンの手を食いちぎりエリンは、音無し笛を吹く、その後に初めてリランとの対面場面。
    その情景は何度読んでもとても切なく悲しい。

    読み終えて何かすっきりしない感覚が残る。
    エリンという1人の娘は、幸せだったのか。
    リランと過ごした日々はエリンにとってもリランにとっても幸せであったのか。

    いつか続編を読みたいと思う。
    そこには、エリンの満ち足りた幸せがあると切望しています。

    ナウシカを思い出しました。

    大切な人からいただいた本です。
    何十年もずっとずっと大切にしたい本になりました。

    • 9nanokaさん
      私もこんなに夢中で本を読んだのは久しぶりでした(^^)続きが早く読みたいんだけど、じっくり読みたい気持ちもあってじりじりするというか…面白か...
      私もこんなに夢中で本を読んだのは久しぶりでした(^^)続きが早く読みたいんだけど、じっくり読みたい気持ちもあってじりじりするというか…面白かったですね(^o^)
      幸せかどうかで言ったら、不幸だとは思います。多分信念を捨てれば幸せに生きられたんじゃないかと思いますが、できないタイプですよね(^_^;)
      私もリランに噛まれたシーン、とても切なく思いました。絆を失ったかと思いきや、最後は…みたいな展開がまたよかったですね。
      2015/06/22
  • シリーズ2作目。
    あとがきを見ると、著者はこの2作で終わりのつもりで書いたもよう。その後3作目と4作目が出るに至った経緯についても書かれている。確かに、これで終わりだともっともっと続きを知りたくなる。それくらい夢中になれるシリーズ。

    2作目は、王獣と意思疎通するために竪琴が使えるのではとエリンが気付き実行したところから、学舎を卒業し教導師として働きながら「操者ノ技」の使い手としての存在が真王たちに知られ、王宮に呼び寄せられ大公とのいざこざに巻き込まれながらもギリギリのところでリランに助けられて生き延びるところまで。

    まとめようとするとこの一冊ですごく時がたち色々なことが起きていることが分かる。テンポ感が良く話がどんどん進むため、飽きたりする暇もない。一気に読んだ。

    真王の祖先や霧の民の秘密や、なぜ王獣規範が存在しているかの種明かしが最後の方でやっと明らかにされる。そこでパズルのピースがぴたりとはまる感じがして納得感がある。

  • 記録用。

  • 『獣の奏者 Ⅱ 王獣編』読了。
    2ヶ月ぶりに…最後の場面でグッときました…主人公の切実な願いと裏腹に王国の戦争に巻き込まれていってしまう展開でとてもハラハラしました。人は愚かだな。知らないことに加え欲のために行動してる様が愚かだなと思った。ファンタジーだけど、現代でも通じると思う
    2017.5.14(1回目)

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    『獣の奏者 Ⅱ 王獣編』再読。
    ファンタジーだけど現代にも通じるような内容だった。
    政治が絡む運命に翻弄されることになったエリン。最終的に死を覚悟しながらも生きたいと思った矢先に長年連れ添った王獣が助けにくる場面で終わった。
    その後の展開が分からないけど、これが前編の答えなんだろうな。
    運命って生きていく時系列上で出会う人や出来事で決まっちゃうんだろうなって気がしてきた。その時その時の思いや行動であらぬ方向にいかないで済むならどんなにいいことか。
    それがなかなか難しいから人生って面白くなるんだろうね…悲しいことに。
    ファンタジーだけど、これは後世にも読んでほしいな…

    2020.7.11(2回目)

  • 違うところしかない。
    それでも思いやる気持ちが行き交えば、織り成す関係はうつくしく煌めく。

    (以下抜粋)
    ○曲がり角はひとつではなかった。運命によって強引に曲がらされた角もあり、自分で切り開いてしまった道もあったのだと。(P.42)

  • うわうわうわ。鳥肌立ちまくりだった…!
    続きがあることに感謝いたします。動物大好きだから竪琴のシーンは震えながら読んだ。心と心を通わす、なのに裏切られ、さらにまた違う側面に出会い。
    素晴らしすぎて、言葉もないです。

    ずーっと読んでる間スキマスイッチの「雫」が頭の中で流れていました。

    戻れないある一点、か。深いなあ。

  • 全ての生物と人間との関係を、空間と歴史を広げてもう一度再構成して眺めてみると、どのような風景が見えて、人間としてどのような課題が見えてくるのだろう。もしかして上橋菜穂子がしようとしたことは、そういう実験だったのではないだろうか。

  • 1巻を読んでからずいぶん空いてしまったけど、漫画で空白を取り返したから無問題。いとけない少年・少女(今回の場合は少女)が、その純真さゆえ、望まない大きな権力争いに飲み込まれていくという結構は、著者の手にかかるとやっぱり天下一品。ここで一旦閉じた物語が、更に広がっていく事実ももう知っているし、そちらも当然読みたい訳だけど、今はとりあえずの余韻に浸りたい。

  • 2.3日で一気読みしてしまった。人間の過ちは繰り返させると言われるが、そのサイクルを壮大なスケールのストーリーで感じることができた。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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