しずかな日々 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 348
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062766777

感想・レビュー・書評

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  • えだいちくんに会いたい^ ^決して器用に人と距離を保てるキャラクターではないのに、友達と出会って変わっていく過程に共感できた。
    しずかに流れる時の中にたくさんの宝物のような言葉が見つかる本。あっと言う間に読み終わった。

  • THE昭和って感じで、例えば東京から田舎に引っ越して来た少年が、、、と、よくある感じのテーマではある。母と住んでいた引っ込み思案の男の子が祖父の家に預けられるほんの少し前から話が始まります。全体的に懐かしさが漂う感じでのんびり読めますが、そういや子供って実は大人以上に色々考えてるもんだったなぁと、という側面からも童心に帰ることが出来た。面白い。

  • なんてことはない日々の連続が今の自分に続いている。

    幸せ。何も大きな事件は起きないのに(小学生にとっては大事件かもしれないけど)、最後まで引きつけて離さない話。主人公は小学5年生の枝田光輝。父親は不在。彼の一人称で小学5年生の夏休みを中心とした「あの頃」の話。小学5年生になり、新しい友人・押野と出会う。そこから少しずつ変わっていく「えだいち」。新しい仕事を始める(何やら新興宗教?)母親と離れ、祖父と二人で暮らし始めた日々。

    主人公の成長が愛おしい。何かをきっかけに、少年は目を見張るほどに成長していく。ひねた「大人」になるのではなく、「子ども」を脱していく。それは、新たな世界を得たことも、自分の気持ちを言えるようになるということも、母との距離も、祖父の家で与えられた役割も、すべてが関わっている。この話は大人になった主人公が、過去を振り返っているが、このように「あれが自分の大人の一歩だった」と振り返る時期が誰にでもあると思う。それが、このような愛おしい記憶であるならば、幸せだろう。

    かつて子どもだった人にも、これから大人になろうという人にも、優しい話。

  • 夏休みって大人になった今でもウキウキする。
    それって、小学校時代の記憶だったり思いでだったりするわけで、懐かしい思い出なんだけど鮮明に記憶されてるのは小学校の夏休み。
    ラジオ体操やカブトムシや花火、度胸だめし。
    この本の中でも一番気に入っているのは、押野が泊まりにきて二人で夜語りあい、夜空を見上げる。昼間言えなかったことも、夜の闇にまぎれてしまうと許されるような気がする。とえだいちが感じる一瞬。
    野間児童文学賞、坪田譲治文学賞のダブル受賞の感動作に納得。

    • 9nanokaさん
      夏休み、遥か遠い記憶です笑。
      でも楽しかったですよね。ラジオ体操なんかは、本当にイヤイヤ行っていましたが笑。
      大人も夏休みほしいですね(...
      夏休み、遥か遠い記憶です笑。
      でも楽しかったですよね。ラジオ体操なんかは、本当にイヤイヤ行っていましたが笑。
      大人も夏休みほしいですね(^^)
      2014/11/22
  • 友達もいなくて勉強も運動もからっきし、小学五年生の男の子である主人公の夏の記憶。
    ターニングポイントとなる友人との出会い、母親と離れての祖父との暮らし。
    「夏の庭」を思い出した。
    繊細でみずみずしくてすこやかで泣きたくなるほどやさしい。
    なつやすみ、ってなんてすてきなんでしょう。って思い出せる小説でした。

  • ☆4.5

    とても良かったです。しずかな日々の名の通り、穏やかで平和なのに、暇とかつまらないとかそんな事は全くないキラキラとした毎日。
    土に染み込む水の匂いとか、漬物の歯ごたえとか、縁側の涼しげな感じとか本当にえだいちの5年生の夏に飛び込める。
    最後は全てがまとまっていて社会人のえだいちの言葉がまた、良かった。

    今の自分というのは、これまでの過去を全部ひっくるめた自分なのだ。

    これにはすごく共感した。
    別の方法をとっていたら、とか、
    あの時こうだったら、とか、
    色々考えたりするけれど
    結局「もし」なんてものは無くて
    自分は自分である他の可能性なんて0なんだと、そう私も考えたりするからだ。

    この田舎の世界観が好きでした。
    自然の匂いとか夏の日差しとか2人で行く自転車 のちょっとした冒険とか…。
    またいつか、えだいちの夏に飛び込もうと思う。

  • 宝物みたいな、あの夏の日々。

    地味で内向的な小学五年生の「ぼく」。明るくクラスの人気者の押野と出会い、彼に引っ張られるようにして、「ぼく」の世界は少しずつ変わっていく。
    縁側でスイカを食べたり、空き地で野球をしたり、自転車で小さな冒険をしたり。そこにあるのは本当に何てことない日常なのだけど、それがとても活き活きと伸びやかに描かれているのが、すごく良い。
    小学生の夏休みは、こんなにもキラキラしてるんだなぁ。

    押野がとにかく気持ちの良い奴で、どんな物事も明るく笑いに変えてしまえる彼の前向きさはすごい。彼以外の登場人物一人一人にも隙がなくて、口数は少ないけど優しいおじいさんも、どこか茶目っ気がある押野のお姉さんも、皆いい味出してて好感が持てる。

    人生は劇的ではない。でも、だからこそ素晴らしい。

  • 大人の児童文学
    という紹介を受けて読んでみた。

    母との孤立した生活から
    突如として生まれた祖父と友だちとの関係。
    内面で様々な感情を抱えながら
    表面上はタイトル通りしずかな日々を送っています。

    学教教材として扱われることも多いとのこと。
    子供たちに触れて欲しいとは思うけど、
    決して押しつけて欲しくはない作品。

    好きなときに読み、
    好きなように感じるからこそ
    読書は楽しいのだ。

  • 久々に星を5つ。
    美しい文章で、特別なことが起きるわけでもない「しずかな日々」を描いている。
    ここに描かれている小さなエピソードたちは、その本人にとっては特別なことであり、読者にも何かしらあるであろうそういう小さな思い出を呼び起こさせるような作品。
    読み終わるのが惜しい気持ちになった。

    いま5年生である娘がもう少し大きくなったならこの作品をぜひ紹介したい。

  • カンタベリ物語の下巻を読もうかと思ったが、何となく現代のものが読みたくなったのでこれを手に取った。
    いつも通りタイトルだけで買った作品。
    私が思春期を振り返る時、一番鮮やかに浮かぶのは夏の記憶だ。時代が小学校でも中学校でもそれは変わらない。多分、夏という季節の印象がそのまま、実際以上にきらめいて見える過去の印象に重なるからだろう。
    この本の内容をひと言でまとめるなら、少年のある年の夏の思い出。ただそんな概要だけではこの作品の魅力は言い表せない。
    ラジオ体操、スイカ、自転車での遠出、プール。
    何でもない、しかし思い出すと眩く映る夏の風景を、細やかな筆致で丁寧に描きだしている。
    そんな内容なのに、文章が懐古的でないのがよかった。子供の視点で描いているから、分からないものは分からないままになっているのも好きだったな。
    また同著者の別作品も読んでみようと思う。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2002年、第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』でデビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で第3回神奈川県本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で第69回小学館児童出版文化賞を受賞。『明日の食卓』は21年映画化。その他の著書に『消えてなくなっても』『純喫茶パオーン』『ぼくたちの答え』『さしすせその女たち』などがある。

「2021年 『つながりの蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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