骸骨ビルの庭(上) (講談社文庫)

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著者 : 宮本輝
  • 講談社 (2011年12月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770217

骸骨ビルの庭(上) (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 通称「骸骨ビル」戦後の混乱期に住み着いてオーナーの阿部轍正と茂木泰三に育てられた戦争孤児たちを立ち退かせるために担当者として八木沢省三は送り込まれる。
    阿部轍正の汚名をはらすまではでていかない。という茂木と子供たち。
    終戦後、大人一人でも生きていくのが大変な時代に血のつながらない子供、それも一人や二人ではない子たちを育てる決意。
    自分の人生より子供たちを育てることがなぜできたのか。
    阿部と茂木、そして子供たちの絆が読んでいて胸にぐっとくる。

  • 宮本輝はもう60を過ぎてしばらく経つはずだが、いまだにこういう彼の若いころのような小説が書けることがすごいと思う。ドヤっという落ちどころもないのだが、大阪十三や京都三千院などところどころの舞台描写が綿密、且つ食べ物の描写とボリュームが素晴らしい脇の花となっていて忘れがたい。鉄のフライパンが欲しくなった。

  • 戦後の日本に溢れた孤児たちと、その孤児たちの、それぞれ「父親」と「母親」の担ってくれた二人の男の物語を主人公の目を通して辿っていく物語。大人になった孤児たちの個性が強くてすごく面白く、また心温まります。

  • 心に響くお話でした。
    すべての登場人物に奥行があって、引き込まれました。
    戦争によって、孤児とならざるを得なかった子供たち、
    戦地での体験に、心縛られる大人たち、
    誰もが必死で生きねばならなかった終戦直後の暮らし。
    ただ生きるのではなく、人として崇高に生きる事の大切さ。
    魂魄…魂は心だけではなく体にも宿るもの。
    自分を変えようと思ったら、何度も何度も挫折を繰り返しながら、それでもなりたい自分を目指して、続けて行く事。

    色んな事を考えさせられました。

  • 四十七歳でサラリーマンをやめ、第二の人生に向けてある仕事に就いた八木沢省三郎。その仕事は土地開発会社で、大阪に戦前からあるビルに住んでいる人々を荒立てず、穏やかに転居をさせると言うものであった。

    そのビルは、妻のある男が建てその夫婦の死後、男の愛人の子・杉山轍正が相続したものであった。彼がフィリピン群島にて戦争を生き延び、ビルで住み始めた時、そこには戦争により孤児となった姉弟が入り込み、何とかその生を繋ぐように日々を生きていた。彼はパパちゃんと呼ばれながら、長短ありながらも四十人以上もの孤児を、病気で生家からでざるをえなかった茂木と共に育てていった。
    だが、一人の孤児の裏切りにより、世間に批判される中で心筋梗塞で死亡する。パパちゃんにかけられた冤罪をとき、世間に知ってもらうべく、茂木やかつての孤児たちは動き、ビルに居住や仕事場を設けているのだった。彼らに対し、八木沢は…。

    主人公が大学で師事した、中国古典文学の老教授の言葉。
    「優れた師を持たない人生には無為な徒労が待っている。なぜなら、絶えず揺れ動く我儘で横着で臆病で倣慢な我が心を師とするしかないからだ。」
    先生だけじゃなく、先輩とか友達、同僚にも当てはめられるなあと。様々な師によって、良い人生に導かれている。

    骸骨ビルに住むナナちゃん(本名小田勇策、男、でも心は女の美人、43歳)が、おかまバーのママに言われた言葉。
    「自分を磨け、磨くのは、見映えと脳味噌だ、…私たちお化けは頭を磨かなきゃどうにもならない。見映えってのは、目鼻のつき具合とは別の問題だ。」
    私も感じ入る言葉でした。

    パパちゃんが、孤児だった高校生の、人間は何のために生まれてきたのかと言う質問に対して即答・断言した言葉。
    「自分と縁する人たちに歓びや幸福をもたらすために生まれてきたのだ」
    ここに書いた文だけだと、ありふれたものだけど、そこまでの物語で描かれたパパちゃんや孤児を思うと、あらためて考えさせられる。


    心に響く言葉や人物の生きざまが描かれていて、引き込まれる作品。
    まだ、下巻が残っている。最後どうなるのか、楽しみ。

  • 大阪の十三というところに戦前から建っていた堅牢でイワクありげな建物「骸骨ビル」の除却という業務に、ひょんなことから関わった主人公が、様々な人間模様、それも戦前戦後のどさくさで、好むと好まざるに関わらず、悲壮的な宿命を負った戦災孤児の人間模様を絡めながら、話は、読者を引き込んでしまいます。
    人間置かれた環境で、様々な職業につかざるを得ない、インフォーマルな世界を作者独特のタッチで書き進む。
    主要な登場人物がこのビルの歴史的に背負った背景を語っていくというスタイルだ。
    そして、除却を請け負った主人公の心の動くも同時進行で描かれていく。
    そして、下巻へと続いていこのである。

  • 広い意味での戦災孤児と、それを育てた二人の男を巻き込んだ事件を、平成の世にヤギショウの聞き語りで進む物語は、初っ端から怪しい雰囲気を醸し出しながら進んでいく。ヤギショウは標準語、骸骨ビルの住人は大阪弁。彼らの語りを慣れない関西弁のイントネーションで読み進めるのは大変だ(笑)さて、ヤギショウと彼の親族は無事でいられるのか? 下巻へ突入だ!

  • 宮本輝は大好きな作家です。
    この「骸骨ビルの庭」も、じわじわ感動がやってきて、いい作品です。

  • なんだか哲学的な内容やら、ひやひやする内容やらありつつも、魅力的な人達ばっかり出てくる。
    それと美味しそうな食べ物が沢山出てきてお腹空く。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    大阪・十三に戦前からある通称「骸骨ビル」。戦後の混乱期に住み着いて、オーナーの阿部轍正と茂木泰造に育てられた孤児たちを立ち退かせるために三人目の担当者として送り出まれた八木沢省三郎は、一筋縄ではいかなそうに見える彼らの話に耳を傾けるうちに、困難だったであろう日々を思い描くようになる。

    評価は下巻にて

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骸骨ビルの庭(上) (講談社文庫)の作品紹介

大阪・十三に戦前からある通称「骸骨ビル」。戦後の混乱期に住み着いて、オーナーの阿部轍正と茂木泰造に育てられた孤児たちを立ち退かせるために三人目の担当者として送り出まれた八木沢省三郎は、一筋縄ではいかなそうに見える彼らの話に耳を傾けるうちに、困難だったであろう日々を思い描くようになる。

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