この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771153

感想・レビュー・書評

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  • 下巻にて

  • 白石一文さんの本を読むと世の中のいろんな問題について考えさせられます。

  • タイトルだけを見て購入
    読み始めて、あれ?官能小説?
    いやぁ~まいったなぁと思いながら読み進んで行くうちに
    ・・・・・

    そう言えばこの方以前一冊読んでいたことを思い出した。
    「永遠のとなり」
    確か癌を患っている人が出てきた。

    こちらも主人公が末期癌
    かといって医療小説でもない。

    亡くなった息子の声が聴こえる?
    心霊小説?でもない・・

    主人公は癌を患っている編集長。
    昔から芸能界の裏側の話は聞くけど、この編集長とグラビアの女性との絡みはなるほどありなんだ~なんて妙に納得したり(笑)
    でも、彼女とのシーンで亡くなった息子の声が聞こえ、彼はその声を無視して・・
    あぁ~男ってしょうもないって思ってみたり。
    彼の考えに反発してみたり。

    そうかと思えば引用も多くて、小難しいことはなかなか私の頭では理解し難いけれど、想像できるものであったりとなかなか面白くなってきた。

    ジャンルは何かわからなくて検索してみたら「文芸」とあった。
    そうなの・・・

    最初はちょっとなぁって思いながら読んでいくうちに先を急ぎたくなった。

    この方お父上も双子の弟さんも作家さんで、ともに直木賞を受賞されているんですね。
    ちょっと他にも興味がいきました・・・

  • なんなんだこの小説は。
    とまどいながら読み進め、気持ちのあちこちを揺さぶられ、
    生きることの意味を
    あるべき世の中の姿を
    来し方と行く末を
    反省と後悔と希望と絶望を
    全身で考え受け止めることを強いる
    大傑作であります。
    これからの方は心して読んでいただきたい。
    片山恭一氏の解説も秀逸。

  • ハードカバーのを買おうかと迷っていたタイミングで発売されたので即購入。
    下巻まで読み終わって、「やっぱりハードカバーの方も買っておきたいな」と思った。

  • 第22回山本周五郎賞受賞作
    死んだ息子の声が聞こえる、胃がんの雑誌編集者が主人公
    政治家のスキャンダルを追いながら、死、生きることの意味、家族、金融経済、政治などについて思索を重ねる。
    白石一文さんの本を読むのはこれが初めて。
    父親は海洋時代小説の第一人者 白石一郎で、『海狼伝』で直木賞を受賞。

  • 白石一文さんの作品は、いままでなんとなく遠ざけてきたけれど、書店でタイトル、帯を見て購入。正月用のまとめ買いのせいだったのかもしれませんが、これは面白かった。白石一文さん、次もう1冊読むからね。

    主人公の年齢が近いせいか。商売柄、雑誌編集者に親近感があるせいか。舞台が「文藝春秋社」に思えてしまうせいか。前が広い駐車場で、入って左に受付で、一階に広いラウンジがあって…。
    途中挿入される、さまざまな情報もペダンチックになることなく、興味深く受け取れました。運が良い人は他人にやさしくしなくちゃね。

  • とにかく引用が多い。あらゆる知識が要所要所に出てくる。主人公カワバタは、がんを患いながらも、編集者として社会や政界を果敢にすっぱ抜いていく。その中に潜むいろいろな問題に対する引用なのだが、個人的にはあまり要らないかな?とか思いながらの上巻読了。この引用がいわゆる伏せんなのか否か。カワバタ自身の思考が深すぎて、、というより、死を覚悟したものは、こんな風に考えるものなのか、変わるものなのかという奥深さに、ちょっとついていけないというか、理解しがたいという感想。その合間に交わされる女性との絡みが、下巻ににどう繋がっていくのかに期待。はたしてカワバタは堕ちるのか、生きるのか。

  • 2012.1.15読了。

    面白いではないか!
    白石一文氏はもう読まない作家さんと決めていたので(読んだ何冊かがどうしても苦手だった)、迷ったんだけど、タイトルが何か好きで、これでやっぱり苦手なら本当に最後だって(こうやってなんだかんだ読むのだ)読み始めたら……面白い!一気に下巻へ!

  • 「あなたは頭もいいし、判断力にも優れている。でも、絶望しているし、すべてを諦め過ぎている」

    不倫小説?
    闘病小説?
    社会格差小説?
    上巻だけでも読み応え抜群。

    この小説のいくつかのキーポイントの中に、「死」がある。
    「死」を前にすると、ひとは自分だけは絶対に生き残れると信じこんでしまう。
    映画「死ぬまでにしたい10のこと」のように、「死」を目前にしたひとの「強さ」を描くものもあるが、これはどちらかといえば、「弱さ」「卑しさ」ひとに見せたくない部分、しかし、より「真実」を描いている。
    きれいなものより、きたないもののほうが、共感できることもある。

    ほかにも、警察官の無能さをたたくエピソードや
    おなじ病気の知人の死や
    黒を黒で塗りつぶす社会の仕組みなど
    読んでいて、これはどこまで実体験なのだろう?とドキドキしてしまう。
    きっと、白石さんの生き様も盛り込まれているはず。

    登場人物の名前がすべてカタカナ表記なことが気になったが、個人的な解釈としては実在の書籍やインタビューを使用しているから、架空と実在の区分けをしたかったのかな?なんて勝手に考えた。真実はしりません。
    おもしろい。
    下巻もたのしみだ。

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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