刑事のまなざし (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772990

感想・レビュー・書評

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  • ある事件をきっかけに法務技官から刑事に転職した夏目を取り巻く連作短編集。
    夏目を取り巻くといっても、どの話も彼が主体となって物語が進むわけではなく、
    事件の関係者の目を通して夏目の人物像が浮かび上がってくる形です。
    そして1つ1つが独立した話でありながら、
    大きなところでは1つに繋がり纏まる作品です。

    それぞれの事件が重いテーマを持っているので、
    全体的に息苦しいものになるかと思っていたのですが、
    夏目の人柄がにじみ出ているかのように、穏やかな空気も感じ取れる作品です。
    胸を打つ本でしたので、久しぶりに余韻に浸ることができました。

  • 通り魔によって幼い娘を植物状態にされた刑事、夏目信人の切なくて,思わず泣いてしまう人情ミステリ.7話からなる連作短編.現在,椎名桔平さん主演で連続ドラマやってますね.原作もドラマもどちらも面白い.おススメします.

  • 「踏ん張りましょうよ」…
    同作に収録された『ハートレス』という作品で、目標を失いホームレスとして生きている男性へ、最後に主人公夏目刑事が放った一言だ。

    謎解きや犯人探しも刑事小説の魅力だが、今作では夏目の人間性に大いに魅かれた。植物状態の娘を持ちながらも尚、犯罪者を含め他に優しさを手向くことが出来る寛容さは、筆舌しがたい。

    加害者、被害者、双方の想いが夏目の「目」によって露にされる。

    罪に大小はあるのか…人が罪を作るのか…罪が人を作るのか…本を閉じ、今想いを馳せている。

    罪に至らないまでも、自分に後ろめたい感情を抱く些細な体験は誰しもあるのではないだろうか。
    自分に甘え、誤摩化し、困難から逃れようとする弱い自分を思わずにはいられない。
    夏目はこんな私に喝を入れてくれた。

    「踏ん張りましょうよ」…心に響きました。

  • 一遍一遍は割と短めの連作短編集。でも最後の一遍で・・・という。
    だんだんと「刑事・夏目」の話がちょっとずつ小出しにされて、最後に、というつくりは好きです。短い短編も物足りないというよりはちょうどいい感じでもあるし。
    話としては決して明るいものではないんですが、それほど暗くなりすぎない文体なので気軽に読めるというのもよかった。

    ただ、最後に「結局悪人はたいして裁かれていないのでは?」とか思っちゃいましたけど。そんなことないですかね?

  • 久しぶりに薬丸岳さんの作品。今まで読んだのは、Aではない君と、天使のナイフ、その鏡は嘘をつく だったかな。犯罪小説なんだけども、トリック重視というよりは、人間性や犯人の葛藤を見つめるタイプの作家さんで、今回の短編集もまさにそうだった!ミステリでありつつ、心が温まったり感動したりも。今回もあっという間に読み切りました。

  • 古典的なミステリー小説。面白かったです!

  • 色々な事件の背景にはそれなりの事がある。同情し、それでもいいじゃないかなどど思ってしまいそうにもなるが、やはり殺人は如何なる事があってもダメな事。その時はそれしか方法がないと思ってしまうが、終わった後は時限爆弾を抱えたまま一生を過ごさなければならないという後悔。それぞれの章にいろんな思惑があり、どうにかならなかったのかと思ってしまいます。薬丸さんの憤りが、少し垣間見れるような物語でした。

  • 短編だけどどの話もしっかりまとまっている。どの話も重いけど良かった。ほかの夏目シリーズも読みたい。

  • テンポ良く、短編ながらも本筋のストーリーは繋がっていると言う作品。
    著者の作品を初めて読んだが、変な偏りもなく、万人に受け入れられる作品。
    夏目はシリーズ化されているみたいなので、次も読んでみたい。

  • 刑事 夏目信人の短編小説。一つ一つにどらまがあり、短くても感動があった。ドラマにしたら面白いだろうな。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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