V.T.R. (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774789

作品紹介・あらすじ

辻村深月の長編ミステリーから物語が飛び出した。「スロウハイツ」の住人を受け止め、支えたあの作家。物語に生きる彼らと同じ視線で、チヨダ・コーキのデビュー作を味わおう。『スロウハイツの神様』の世界へようこそ。

感想・レビュー・書評

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  • スロウハイツの住人たちが10代の頃から憧れたとゆうチヨダ・コーキのデビュー作とゆう設定の作品。
    図書館に、単行本と文庫本の2冊並べて置いてあり、単行本の方を借りたのですが、かなさんのレビューをみたら文庫本の方には、脚本家赤羽環の解説も載ってるってことでどんな仕掛けがあるのか楽しみに翌日文庫本の方も借りてきました。
    内容的には、自分語り大好きな中2病真っ只中のダークヒーローもので3年前に別れた恋人の行方を追って友人宅を訪ね歩く感じでダラダラ話が続くんですけど最後の展開は意外でうっぷん晴れました。これを当時17歳のチヨダ・コーキが書いたって設定の方で感動しながら読んでました。

    そして、チヨダ・コーキ愛で熱狂的な環さんの解説が凄すぎる。

    そうそう、元カノのアールからの着メロがトロイメライなのでした♪

    • かなさん
      しじみさん、おはようございます!
      V.T.Rを文庫本の方でも読まれたなんて
      羨ましいですっ(*^^*)
      環さんの解説、どうでした??
      ...
      しじみさん、おはようございます!
      V.T.Rを文庫本の方でも読まれたなんて
      羨ましいですっ(*^^*)
      環さんの解説、どうでした??
      私も読むべきかしら??汗

      この前に読まれた「トロイメライ」も
      私の大好きな作品っ!
      着メロが?すごいつながりですね、びっくりしました!!
      2023/12/23
    • つくねさん
      かなさん、こんにちは♪

      かなさんのレビューのお陰で文庫本のほうは
      環さんの解説があること知って読めて感謝でした。
      これはもう環さん...
      かなさん、こんにちは♪

      かなさんのレビューのお陰で文庫本のほうは
      環さんの解説があること知って読めて感謝でした。
      これはもう環さんの文章が暑くって火傷しそうでした。
      チヨダ・コーキが小説書けなくなったときも128通もの手紙で擁護して
      支えたわけだからもうその熱量半端じゃなかったですww
      しかも10代の頃、神様だって思ってたコーキのデビュー作の解説かけるなんて無茶テンションあがってる感じでこちらまで鳥肌たちました。

      トロイメライ繋がりも嬉しくなりました(*^^*)


      2023/12/23
  • 「スロウハイツの神様」に登場した人気作家、チヨダ・コーキのデビュー作という設定。

    作中のコウちゃんが素敵だったので、すぐに手に取った。ほうほう。こんな感じか。と軽く読んでたらやられた。終盤ホロリとしてしまった。アールの愛が尊い。ティーの最後の行動は自己満に思うが、「ひとりぼっちにならないで」とティーに言い続けたアールにとってはあのように歴史に名前が残ることは嬉しいことなのではないだろうか。あと、ペロッチが可愛い。赤羽環が幼き頃に熱中して読んだチヨダ・コーキの世界観にスロウハイツの余韻が残るうちに読めてよかった。

    赤羽環の解説より
    「十代の、〝子ども〟の頃と、それ以降の〝大人〟とで、大人の感性の方が正解であるなんて、誰が決めたのだろう。十代の頃の神様が理解できなくなったというのなら、それは、まごうことなき老化だ。」

    「鈍化した大人が薦める読み物や、何ら魅力を感じない文化の対岸にある、エッジの立った本を探して読み、アニメや漫画に触れて、歌を聴き、「ここが時代の最先端」と思えることは、あなたたちの特権だ。どうぞ、権威の向こう側に行った愚鈍な大人を思う存分バカにして、彼らに向けて言葉の引き金を引いて欲しい。」

  • 昔読んだけどブクログに登録するのを忘れていた。かなり前に読んだから内容は少し忘れてしまったけどこの本は「スロウハイツの神様」に登場する。チヨダ・コーキという作家のデビュー作という設定だった(はず)チヨダ・コーキが本当にいたらきっと私もファンになっていると思います。

  • スロウハイツの世界の余韻に浸っている間にどうしても読みたかった作品でした。「V.T.R.」、『神様』のデビュー作とされる作品。小説の中の小説が現実世界に飛び出してきた作品。

    なんだかハードボイルドな出だしに、『神様』ってこんな作風なんだ、これが高校生が書いた作品なんだ、とちょっと興奮気味な読み始め。確かにいつもの辻村さんとは違う...ような。でも、そんな中にもやっぱり辻村さんを発見。『孤児院のイジメとかも、そりゃすごかったらしい。洗濯機に突っ込まれたり、乾燥機で回されたり、』、『乾燥機』...「子どもたちは夜と遊ぶ」の世界感が蘇ってきました。

    小説の中に小説を描く、そんな作品の生みの親である辻村さんが思い描く『神様』像。辻村さんがこうだとおっしゃる限りそうなんだと思いますが、どことなく、今一つ思っていた感じと違うような感想も持ちました。青春のある一部分にだけ響く、『いつか抜ける』という彼の作品群。でもチヨダブランドを築きあげた圧倒的な説得力で『中高生からの絶大な人気を誇る小説家』の作品、これに若き日の赤羽環も心惹かれた作品、と言われると今一つピンと来ないような、そんな読後感でした。ただ、本編に続く解説にある『十代の頃の神様が理解できなくなったというのなら、それは、まごうことなき老化だ。』という一文が胸を突きます。この作品にピンと来なくなった自分、それは老化なのかもしれません。ショックな解説です。でも、これを書いたのは赤羽環さんだという、辻村さんから読者への贈り物。こんな方に言われるなら仕方ないかなぁと。

    いずれにしても本編には今一つ乗り切れなかった思いがありますが、何を置いても、赤羽環さんによる解説が絶品でした。短い時間でしたが、スロウハイツの世界に引き戻された思いがします。やっぱり、スロウハイツの世界感はいいなぁと。

    チヨダ・コーキの作品としての装丁含めた細かい作り含めて楽しませていただきました。

  • チヨダ・コーキのデビュー作
    赤羽環の解説
    マーダー(殺し屋)ライセンス
    今を切り取る作家
    十代に出会う神様
    赤と青
    一人ぼっちにならないで。
    アタシはあなたを愛してる。


    「スロウハイツの神様」のスピンオフ
    コウちゃんの作品が読めた幸せ
    これだから辻村さん好き
    追い続けます

  • やられたー!!!笑
    スロウハイツの神様を読んで、コウちゃんの作る世界を知りたくて、すぐ読み始めた。
    シビアな世界で、やっぱり仕掛けがあるのだろうな〜と注意深く読んでいたものの、やっぱりやられた〜!となった。
    コウちゃんの優しさが物語に出ている。解説が赤羽環なのもとても胸熱。ぐさぐさ刺さった。








    ★人は誰も、10代の頃に自分にとっての「神様」と呼べる存在と、一生ものの出会いをする。

    ★ 10代の、“子ども”の頃と、それ以降の“大人”とで、大人の感性の方が正解であるなんて、誰が決めたのだろう。
    ★ 10代の頃の神様が理解できなくなったというのなら、それは、まごうことなきき老化だ。
    ★そこで知る文化は、物の道理をわかった大人がたくさんの中から暇と金に飽かせて選ぶ“one of them”ではなく、ただ一つ巡り会った、自分だけの何かだ。

  • 辻村深月がハードボイルド調のもの
    を描くとこんな感じというのが分か
    った。
    チヨダという辻村深月作品から生ま
    れた登場人物が書いた小説というこ
    とで、別人が書いてる作風になって
    いるのも新鮮だった。

    ただ、辻村深月はやはり心温まる作
    品がいいよなと改めて感じた。

  • 『スロウハイツの神様』の住人・チヨダ・コーキのデビュー作。

    『マーダーライセンス』のある国。
    1000人だけが持てるライセンス。買えば億はくだらない。
    闇の世界の仕事人・マーダー。
    いつの時代なのかは不明。

    かつての恋人・マーダー・アールを探すティー。
    アールは、同じくマーダーである、トランス・ハイと自称そのグループのメンバーに復讐をしかけていることが明らかに…

    トランス・ハイの正体は…

    スロウハイツの住人・コウちゃんのイメージと違う作品でびっくり。
    殺し屋つながりかと思うが、伊坂幸太郎ぽさを感じる。伊坂幸太郎ほどのひねりはないが…
    『中高生から絶大な人気』というのもわかるような軽い文章。
    アニメ化しやすそうと感じる。
    実際、読みながら、鳥山明チックな映像が浮かんでいた。

    アールの行動の理由がわからなかったり、JやSとのティーと関係性に⁇なのは、このページ数からすると、いたしかたないような。

    『スロウハイツの神様』のスピンオフ作品ですし。

    表紙をあけたところから、ほんとの文庫本のように、カバー裏などなど、あとがき・赤羽環、発行者・黒木智史、となかなか細かい。
    『スロウハイツの神様』を読んでなければ、楽しみは半減。

    『辻村深月すごろく』ようやくゴール。
    長かった。
    でもすごろく通り、読んでなければ、わからないことだらけだったなと。

  • アールは、ティーが家族がいなくて殺しや人を痛めつけることに何も感じなくなっていることを知り、一人ぼっちにならないで、と何度も言っていた。そばにいた。例え彼が、自分の友達の家族を残虐殺し、失明させ、引きこもりにさせていたとしても。トランス=ハイだとしても。

    そして、殺しがどうでも良くなったティーを喜んでいた。ずっとそれでいいんだと言っていた。トランス=ハイだから、ティーなんだ。

    アールは、ティーに、アールと同じように、ペロッチを直したいと思う心を持ってほしかった。それが持てていたら、もう十分だと思っていた。

    両思いだった。お互いを大切に思うあまり、これ以上一緒にいられなくなった。悲しくて忘れられない痛みが残るし、甘酸っぱくて切ない気持ちになる。

    もっと生きていてほしかったな。2人がずっと一緒にいたらよかったのに。

    それと、他の人の感想読んで思ったけど、確かに全然子ども向け作品じゃないし、チヨダ・コーキの作風こんなだったんだってちょっとびっくりした。面白いけどね。なんかティーのしゃべり方移った。

    ダブルカバーなところとか、解説が赤羽環なところとか、スロウハイツの神様の余韻で読んでいるから、もう、すごくよかった。

  • 辻村さんの著作『スロウハイツの神様』の登場人物である人気作家、チヨダ・コーキのデビュー作という設定のお話。
    『スロウハイツ』を読んでいなくても楽しめるとは思いますが、帯にもある通り、読んでおいた方が何倍も楽しめると思います。
    初期の辻村作品に登場するキャラを彷彿とさせるような設定がたくさん出て来るので、それらも読んでいると更に感動が倍増すると思います。

    アールの目的や意図がはっきりと言葉で書かれていないので、そこで評価を下げる方がノベルス版刊行時は多く見受けられましたが。
    ノベルス版のレビューにも書きましたが、コウちゃん(辻村さん)が敢えてこういう風に書いたんだと思っています。
    愛だのなんだのを、言葉で細かく説明されたら何だか安っぽく感じてしまいそうな気がします。
    これは読んで理解するお話ではなく、何というか、読んで感じ取るお話なのかなと、個人的には考えています。
    だからこのくらいの描写がちょうど良いと思う。
    アールの言動や残した痕跡などから彼女の真意を読み取ることは可能だと思うし、そうやって想像する(というか妄想する)と、苦しいくらい切ない気持ちになります。
    哀しさの中にほんの少しだけ希望が見えるような終わり方なのが、堪らなく好きです。

    ノベルス版はダブルカバーになっていて、カバー折り返しにちゃんとコウちゃんの著者コメントもあるなど(しかも辻村さんのデビュー作とコメントのとある一文が同じ)、こだわった作りになっていました。
    文庫版も、表紙や奥付がちゃんと二重になっているのが嬉しい。
    本文だけでなく装丁まで物語の一部になっているところが凄いです。
    加えて今回は、赤羽環による解説付き。
    『スロウハイツ』を読んでいればすぐにピンとくる、とあるエピソードについて語られていたのには感激してしまいました。

    辻村深月さんという作家と、彼女の生み出す物語の世界が大好きだなぁと、改めて認識出来た一冊でした。
    私が十代の頃に辻村さんの本と出会っていたら(年齢的に不可能なんですが)、間違いなく私の神様は彼女だったろうと思います。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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