甲骨文字の読み方 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879057

感想・レビュー・書評

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  • 著者は日本における殷代史研究の若手のホープで立命館大学の落合先生です。立命館大学といえば白川静御大以来の漢字学研究の蓄積があります。しかし彼の本の内容は「学閥」にありがちな、自分のところの大先生の意見を無批判に受け入れるということはなく、白川文字学を参考にしながらも決して盲信しているわけではありません。また、今まで甲骨文字を解説した本は白川先生をはじめとして「漢字の字源」としてか「殷代史研究」の前提として語られたものに限られ、「甲骨文字の読み方」について初学者にもわかりやすく解説した本はありませんでした(この本が出るまでは白川静『甲骨文字の世界』(平凡社東洋文庫)が一番それに近かったが、あくまで字義の解説が中心であった)。私自身、甲骨文字について勉強していたのは今から8年ほど前でしたのでそれ以後の研究史はあまり分かりませんが、日本における殷代史研究は(おそらく中国もであろうが)他に時代に比べて研究が立ち後れているのは否めません。今後殷代史研究を志す若い人にはまず読むべき本となるのは間違いないでしょう。ただ、個人的にもっと踏み込んだ解説が欲しかったのが「時期による文字の変化」です。甲骨文字自身殷代の後期にあたるものしか見つかっていませんが、その甲骨文字が一体殷代後期のどの時代にあたるのか、字形による研究が進んでいます。甲骨文字を読む上で前提となる知識、それを全て詳しく説明することは紙数の関係上難しいことですが、このような問題があるという点も書いていただければもっとよかったと思います。あとは参考文献、とくに藤堂明保先生や白川静先生の字源辞典、もっとも甲骨文字の拓本や現物を掲載している『甲骨文合集』など、甲骨文字を読む上でのツールの紹介もして欲しかったと思います。

  • 821-O
    閲覧新書

  • 甲骨文字の日本語による解説書は本当に少ないらしい。漢字の元祖なので、わかるととても楽しい。現在はカメの甲羅や牛の肩胛骨にわざわざ文字を書く人はいないようだが、死んだカメの甲羅を煮て洗って標本にしようと思ったものがあるので、一度試してみようかと思っている。そして拓本も挑戦してみたい。

  • 三月書房に重なってあったので買いました。

  • いや、別に甲骨文字を読みたい訳じゃないんです。漢文も苦手、漢字も歴史も覚えられないし。
    でも巻末に「解読のための甲骨文字辞典」があって便利。(やっぱり読みたいのか?)

  • [ 内容 ]
    甲骨文字を読める人が少ないのは、甲骨文字に対する印象以外にも原因がある。
    それは、日本語で書かれた入門書が存在しないことである。
    甲骨文字を文字の単位で解説した書籍はそれなりにあるものの、文法にまで筆をのばして実際に文章を読めるように解説したものは見当たらない。
    そのためだろうか、中国史や中国文学を専攻する大学生が甲骨文字の研究を始めても、早々に挫折するケースが目立つ。
    著者は甲骨文字の研究に携わる者として、こうした現状を前々から不満に思っていた。
    それが動機となって執筆したのが本書である。
    そういうわけで、本書は、一般読者にむけた甲骨文字の解説書であると同時に、本邦初の甲骨文字研究の入門書としても機能するような構成になっている。

    [ 目次 ]
    第1章 甲骨文字とはなにか
    第2章 入門編 文字を読む
    第3章 中級編 難しい文字を読む
    第4章 文法編 甲骨文字の文章のしくみ
    第5章 応用編 文章の解読
    解読のための甲骨文字辞典

    [ POP ]


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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • P108まで読んだ。

  • 何でもこういう形で入門一冊というのはあんまりなかったんだそうだ。

    専門にしない、というかほとんど考えたことも無いだけに、こういう「新書」系の文字論の本は楽しく読める。

    まだまだ始めの方だけど、これはなかなかにおもしろい。これ、おもしろいだろ!?って書いてない部分におもしろネタというか、知ってよかったな、というのがあるという本。

  • 甲骨文字という難解な分野を身近に感じさせてくれる。
    帯に「クイズ感覚で〜」とあるが正にその通り。
    難しいことは書いてないし、説明も分かりやすく文章は平易。
    だから読んでて愉しい事この上ない。
    新書なので手軽で簡単に手に入るしまったくもって素晴らしい。

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著者プロフィール

落合 淳思(おちあい・あつし):1974年愛知県生まれ。立命館大学大学院文学研究科史学専攻修了。博士(文学)。現在、立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所客員研究員。主な著書に『殷代史研究』『甲骨文字辞典』(以上、朋友書店)、『漢字字形史字典【教育漢字対応版】』『漢字の音――中国から日本、古代から現代へ』(以上、東方書店)、『殷――中国史最古の王朝』『漢字の字形――甲骨文字から篆書、楷書へ』(以上、中公新書)、『漢字の構造――古代中国の社会と文化』(中公選書)、『甲骨文字の読み方』『古代中国の虚像と実像』(以上、講談社現代新書)、『甲骨文字に歴史をよむ』(ちくま新書)、『甲骨文字小字典』『漢字の成り立ち――『説文解字』から最先端の研究まで』(以上、筑摩選書)などがある。ほか論文多数。


「2023年 『古代中国 説話と真相』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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