〈麻薬〉のすべて (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880978

作品紹介・あらすじ

コカイン、モルヒネ、大麻、覚せい剤、MDMA…禁断の博物学へご招待。

感想・レビュー・書評

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  • h10-忠生図書館2018.8.21 期限9/4 未読 返却8/31再度9/14 返却10/10

  • 2011-5-14

  • 借りたもの。
    〈麻薬〉の言葉の定義から効能(依存症について含む)について、発見の歴史や現在の法律での規制なども交えて解説。
    理系でなくても、読み物としてわかりやすい(化学式などが言及されていないため)内容。
    読み進めてゆくと興味深くてぐいぐい引き込まれる。

    一口で〈麻薬〉と言っても、その定義はあいまいで、時代、地域によっても異なるという。
    〈麻薬〉とは絶対悪とは一概にも言えず、毒にも薬にもなるものだった。
    結局は、使う人間次第である。
    その多くは主に麻酔薬、それ以外に鎮痛剤や下痢止めとして医療に使われていた。
    それが近代科学の時代になって成分が解析され、単離・生成されるようになると、社会生活を破綻させてしまう依存症が判明したりと人類の歴史とも密接にかかわっている事例を紹介。
    特に、麻薬と戦争の関わりについての言及は興味深い。

    植物の人体への効能について言及している、西村佑子『魔女の薬草箱』( https://booklog.jp/item/1/4635810089 )にあった‘どうしてこんなに人間の身体に効く成分ばかりが含まれているのだろうと驚くほかない。まるで人間のために作られてきたかのように思われる。私たち人間はこんなにも自然の恩恵に浴しているのかと不思議でならない。(p.167)’という言葉を思い出さずにはいられない。使い方次第で、脅威であり福音でもある。

    本書には下記3つの植物と微生物、そこから派生した薬物について紹介。

    ケシと阿片とモルヒネ・ヘロイン
    コカとコカイン
    麦角と覚せい剤
    アサと大麻

    また、それら植物や微生物由来以外の麻酔効果がなく幻覚剤(ある意味嗜好品状態)でしかない覚せい剤についても。

    どれも身体的依存、精神的依存が強く、耐性(摂取量が増えたり)や逆耐性(過剰反応で死に至るケースも!)があるようだ。
    デイミアン・トンプソン『依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実』( https://booklog.jp/item/1/4478022925 )ではベトナム戦争での米兵のヘロイン中毒を物理的、心理的、経済的、社会的な「入手しやすさ」を要因としていたが、脳科学的な作用からの要因の方が大きいではないだろうか?
    この本に克服の過程については言及されていない。

    これを読む人は良識のある人だと思う。
    良い麻薬なんて存在しない。麻薬はダメ!絶対!!

  •  著者は薬学博士で現在は日本薬科大学教授。その肩書きからてっきり麻薬について薬学・医学的な見地から解説した本かと思いました。しかし実際はそんな狭い話ではなく、様々な麻薬の発見や発明の歴史、社会に与えた影響、法律上の扱いなど総合的に広い視野から「人間と麻薬」について解説しています。

     もちろん麻薬を使ってみるつもりはありませんし、幸い自分の周囲に麻薬中毒になった人もいませんが、油断していると心のすきにつけこんでこられるかもしれません。こういう本を通読して基本的な知識を付けておくことは無駄ではないでしょう。

     とは言え知人の知人(ヤク中らしい)が語ったという「酒はハードドラッグだ」という言葉も、十分心に刻む必要はありますが。

  • 新書文庫

  • 否定ありきにに終始した本。もう少し客観的な目線があれば

  • 漠然と「麻薬」=「危険」という等式が成り立っていたが、どのような種類があるのか、そして、どのような扱うと薬になり、毒にもなりうるのかよくわかったのが本書でした。

    内容は、序論、ケシと阿片とモルヒネ・ヘロイン、コカとコカイン、麦角とLSD、麻黄と覚せい剤、麻と大麻、メスカリン他の麻薬、合成麻薬・向精神物質・シンナーなど、麻薬と人間の各章でした。

    同じ著者の「毒の科学」「毒と薬の科学」を読むと、前者は毒の中の麻薬の立場、後者であれば薬と毒が紙一重であることが、化学式を含めてわかりやすいと思います。

  • いろんな麻薬について科学的に説明されていてとってもおもしろかった。本当に人類と古くからの付き合いがあるのだなということと、薬と毒は紙一重だなと…。
    一口に麻薬といっても、様々で、どういう麻薬同士が似ているかというのも恥ずかしながら知らないことが多かった。ケシとアヘン、モルヒネ・ヘロインの化合物が近くて、MDMAは覚せい剤類似化合物であることなど…そのほか、当初のコカコーラにはコカインが含まれていたこと、ヒトラーの言動は覚せい剤の影響を受けていたという説があること、麻と大麻との関係・マリファナパーティー・容認論、シンナーの濫用は覚せい剤使用に結びつく傾向があること(2009年の法務総合研究所の調査では、覚せい剤取締法により有罪となって収監された人のうちシンナー濫用経験者は男子76%、女子81.3%)、お酒は依存性や有害性も考慮に入れて許されるギリギリの向精神作用を有する薬物という位置づけになることなど。

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著者プロフィール

日本薬科大学教授,薬学博士,薬剤師。
1951年生まれ。東北大学薬学部卒業,東北大学大学院薬学研究科博士課程修了。天然物化学専攻。米国イリノイ大学薬学部博士研究員,北里研究所室長補佐,東北大学薬学部専任講師,青森大学工学部教授などを経て現職。日本薬史学会常任理事。著書は,『アルカロイド』(共立出版),『アミノ酸』(東京電機大学出版局),『毒と薬の科学』(朝倉書店),『毒と薬の世界史』(中央公論新社),『〈麻薬〉のすべて』(講談社),『カラー図解 毒の科学』(ナツメ社),『民間薬の科学』(SBサイエンス・アイ新書),『毒! 生と死を惑乱』(さくら舎)など多数。

「2017年 『毒と薬の文化史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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