ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881005

感想・レビュー・書評

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  • 95点。社会科学と宗教は切っても切れない関係だし、学問としてやってなくとも一般教養としても少しは宗教について知っておいてもいいんじゃないのかと思う人。もしくは、宗教て何よ。みたいに興味を持った人たちにまずオススメしたい良書リストの上位に加えたい一冊。小室直樹の『日本人のための宗教原論』と併せて熟読されたい。

  • 橋爪氏評する、「日本人が神に支配されたくないのは、そのぶん自分の主体性が奪われるから。日本人は主体性が大好きで、努力が大好きで、努力でよりよい結果を実現しようとする。その努力をしない怠け者が大嫌いで、神まかせも大嫌い。と考える人びとなのです。だからカミが大勢いる。カミが大勢いれば、カミひとりの勢力はそのぶん殺がれる。人間の主体性が発揮しやすい。」という、日本人の宗教観念に納得。日本人の宗教観念における確信性を示唆している。
    いままで知ったつもりで曖昧な観点と、浸透性の論点を根本的に打開たらしめた本書。西暦の起源の祖、イエス・キリストからはじまる一大宗教の発展と、それ以後の近代社会への影響と営みまでの疑問符への解答。「キリスト教」という宗教のふしぎに応える最強の入門書

  • キリスト教の現代に至る社会的意義を掛け合いで解りやすく記述。私は無神論者と思っていたが、社会学的、哲学的に突き詰めると何かを無批判で考えのベースにしているということも気づかされる。
    最初に一神教が、それまでの世俗的な宗教からのアンチテーゼとして生まれた。神の前の平等が個人の独立を促す。
    ユダヤ教、キリスト教は宗教法が有るがキリスト教はなく、より自由な制度設計を可能とした。
    聖書のなりたち、教義の曖昧さなどもきちんと突っ込んでそれを意義をつけている。社会学的にも必読入門書だし、キリスト教を理解したいひとにも興味深い参考書。

  • 初心者にも楽しめた。もう少し理解が深まってから読んでも楽しめるような気がする。無意識の領域で宗教が態度を規定している。だからかこそ近代文明の根底にあるキリスト教を理解しようということがわかった。一神教と多神教、偶像崇拝など改めて認識を新たにできた。
    日本人がモノづくりに長けているのはアニミズムが関係がある。イスラムはクルアーンが描く徹底した一神教の世界だから、モノにスピリットを求める余地がない。法学・政治もそれなりに、ビジネス・商業もうまい。
    伝統的な多神教は、異民族の戦争や侵攻の中で社会が壊れる中でそれまでの神を否定し「宗教」が生まれる。自然と調和し自然の背後にいるさまざまな神を拝んでいればすむ信仰今まで続いていた日本は特殊で幸運な場所だったんだ。
    日本人は法律を作るのに抵抗がない、人間の都合が優先する、自分の同意しない法律に従う必要がないと心底思っている。現場はみな自分のルールを作る。法の支配をわかっておらず法の支配を実行でいない。などなるほどと感じた。
    その根底にある「一神教」「GOD」「契約」の捉え方の違い
    どちらが良い・悪いではなくそれぞれの違いを認め多様性を認め、受け入れ歩み寄れるといいのかな。

  • 面白かった。
    曖昧なまま放置していた東方正教とローマカトリック、ユダヤの分類がクリアになった。すっきり。
    宗教のことは信者や宗教家に聞いてもわからない。根本的なとこでループするから。社会学者に聞けばよかったか。
    あー、高校で宗教学ガッツリやって世界史やったらもっと面白かったろうな。

    大学も、キリ教ばかりでなく三大宗教と儒教と神道の基本概念の授業作った方がいいよ。

  • 現在は近代、すなわち西洋を相対化しなければならない時代に入った。
    最も素朴で基本的な質問が重要。

    2012.06.03 途中まで読んで放ったらかしにしていたのを読了。
    今の世界が否応なしに準拠している西洋資本主義、合理主義。
    そういうシステムが頭をもたげてきた契機が、キリスト教と無縁ではないという。
    このシステムに限界が見えてきた今こそ読まれるべき本。

  • おもしろかった。
    ユダヤ教怖いな。
    生きてる間に起こることはヤハウェからの試練であり、例えば戦争吹っかけることも、勝つことも、負けることもそれは試練の一つに過ぎなくて、達成すべき何かのための伏線だ、として生きてるみたいです。
    それで殺されたりしたほうは溜まったもんじゃない気が…。
    私も、生きることに意味はないとか、達成すべき目標などない、とか低温気味に思考はするけども。それは私の思考だし、他人にまで強要すべきもんじゃないとは思ってるのだけども。
    うーむ。

    兎も角面白かったんでもう一度読み直してみる。

  • 非常に面白かったです。まず、対談方式なので、読みやすい。
    で、結構、素朴ながら核心を突く質問を通じて、キリスト教
    とは何か、それが現代社会にどのように影響を及ぼして来た
    のか、を解りやすく解説しています。

    おなじ一神教でも、ユダヤ教やイスラム教のような明確な明文化
    された規律がない分、キリスト教には解釈・思考の余地があって、
    結果的にそれが普及の源泉になり、かつ、経済・科学・芸術・
    哲学を発展させる要因となった、という解説には、ナルホドと
    思いました。

    この本を読んで、私が感じたのは、やはり、自ら思考する・暗中模索する中でイノベーションは起きるということ。

    一般教養として、大変参考になりました。
    おなじような趣旨で、仏教とか東洋思想についても読んでみたい
    です。

  • この本は、かなり面白い。要するに、これまでは全くキリスト教を理解していなかったという事。

    話は変わって韓国について。
    Wikiによれば30%がキリスト教徒であるとのこと。自分のUS赴任の実感として、韓国から欧米へのエリートクラスの留学生が多い。すなわち、韓国には、信教・教育の両方が欧米スタイルである人が相当数いることになる。これは日本の状況とはかなり異なる(はず)。ウォン安を背景とした韓国企業の好業績が伝えられるが、欧米と通じ合いやすい特性こそが、その強さの根本にあるのではと思っている。

  • 「近代」を理解するためには「キリスト教」を理解しないとはじまらない、という切り口がとても気に入りました。
    長いこと積読していましたが、読めてよかった!
    その昔、講義でヴェーバーの『プロテンスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読んだときにはナンジャラホイだったことがらが、するするアタマに入ってくる!
    大澤真幸、橋爪大三郎両先生の語り口が柔軟で、なおかつ主題に遠慮会釈なく突っ込んできていたかだらだと思います。

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著者プロフィール

橋爪大三郎(はしづめ・だいさぶろう):1948年生まれ。社会学者。大学院大学至善館教授。東京大学大学院社会学部究科博士課程単位取得退学。1989-2013年、東京工業大学で勤務。著書に『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『教養としての聖書』(光文社新書)、『死の講義』(ダイヤモンド社)、『中国 vs アメリカ』(河出新書)、『人間にとって教養とはなにか』(SB新書)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)など、共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』『おどろきのウクライナ』(以上、講談社現代新書)、『中国共産党帝国とウイグル』(集英社新書)などがある。

「2023年 『核戦争、どうする日本?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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