- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062883993
感想・レビュー・書評
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昔よりアーティストの寿命が長くなった
CDは売れなくともライブで稼ぐ時代詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現代の音楽を取り巻く状況が良くわかった。「CDが売れない。配信もパッとしない。」=「音楽業界はだめ」ではないということ。ライブやフェスなどは活況で、現在はそちらがアーティストの収益のメインになりつつあること。モンスターヘッドとロングテール、ミドルボディの話。時代は変わったけれど「音楽業界」が衰退するのではないとわかり安心した。時代とともに音楽との付き合い方、アーティストのあり方もまた変化してゆくだけだ。
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いつから僕たちはCDが売れることをヒットと勘違いしていたんだろう。テレビの音楽番組がフェスになってるっていう著者の指摘は慧眼だ。ライブに行かない人には音楽のヒットが見えづらい世の中ではある。
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ヒット曲がでなくなって久しい。そんな音楽業界の現状をヒットチャート(オリコン)、テレビの衰退、フェスの人気、ライブの重要性、J-POPの現在などを含めて様々な音楽関係者(小室哲哉、いきものがかりに水野氏、その他)を絡めて書いた本である。
第1章 ヒットなき時代の音楽の行方では、現状までの分析で小室哲哉が宇多田ヒカルの登場でどのように感じたか、カラオケやAKBの手法まで触れている。
第2章 ヒットチャートに何が起こったかでは、オリコンがいかにして影響力をもったか、ビルボードとの比較などでも載せている。
第3章 変わるテレビと音楽の関係では、マスメディアの王様のテレビが力を失い、しかしながらフェスでは存在感があるという現在のこと。
第4章 ライブ市場は拡大を続けるでは、ライブ市場がまだ続いていることを触れている。
第5章 J-POPの可能性~輸入から輸出へでは、洋楽の影響を受けていない新しい世代の人たちにも焦点を当てながら、独自の進化をしている稀有な日本の音楽に焦点を当てている。
第6章 音楽の未来、ヒットの未来では、グローバル化する音楽業界について述べている。 -
AKBがオリコンヒットチャートをすべて席巻。大ヒットなのにみんなの知ってる歌がへっている。そんなヒットの崩壊といいう状況を分析。 といってもヒットがないというのをインタネットのせいにしてるわけではなく、旧来のヒットといまのヒットの違いを指摘。あたらしい時代のヒットというべき現象を数多く紹介。
旧来、ヒットといえばオリコンチャート。オリコンはあくまでもCDの売上げをカウントしておりいわば所有のヒットチャート。しかしいまやCDを売らないアーティスト、ニコニコ、ユーチューブ、からおけ、フェスなどいろんな形で音楽は人々に接している。所有のヒットから経験としてのヒット曲におおきくかわってきてる。
そしてかつてはインターネットによってロングテールが力をもつといわれていたが、実際にはモンスターヘッドともいうべきブロックバスター現象がエンタメを席巻。
インターネット時代のヒットとはなにか?ポスト所有時代のヒットはなにか?をかんがえるためのカタログ的な本。 -
様々な証言が面白い
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中盤まで何かのレポートを読んでいるみたいで、いまいち引き込まれず、読了できませんでした。レビューだとその先がおもしろいらしいのだけれど。
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淡々と読了
今時の音楽って、そうなってるんだと勉強になりました。 -
脱稿があと2か月遅ければ,「ピコ太郎のPPAPや恋ダンスがヒットした背景も書き加えられたのに~」という著者の嘆きが聞こえてきそうではあるが,全体的に2010年代における日本の音楽市場が,その10年前と比較して変容しているプロセスは理解できた。
前半の第1章~第3章は,ある程度予想できた内容の展開だった。とはいえ,改めて1990年代という時代を振り返ってみると,日本経済全体においてはバブル崩壊から構造不況期に突入し,「失われた20年」の前半期に位置するが,こと国内の音楽産業に関しては,むしろバブル絶頂期を迎えていたため,現代日本経済史の世界においては,往時の「内需」にもたらすサービス業の意義に対して,再考を促しても良いかもしれない。
これに対して,第4章~第6章は,音楽ジャーナリストである著者ならではの見解。とくに,小室哲哉,いきものがかり・水野良樹をはじめ,アーティストや制作現場に携わる人々の声を取材で採り入れた点は,興味深く感じられた。その反面,結論部分は,音楽業界に対する彼ら自身の展望に委ねてしまい,著者としての主張は,残念ながら,伝わりにくい。
編集や校正に対する見解を述べておくと,著者は「結果,」という言葉を冒頭で述べる癖を有する。話し言葉ではよく用いられるものの,書き言葉の接続詞としては,やはり違和感を覚えざるをえない。また,近年の音楽シーンを表す用語として,「バズる」や「ボーカロイド(ボカロ)」をキーワードとして表しているが,まさに近年の音楽に縁のない読者にとっては,言葉のソースが理解できないかもしれない。読者のターゲットとして「歌謡曲全盛世代」をも意識しているのであれば,もう少し丁寧な語句説明があっても然るべきだったのではないだろうか? -
現在の「音楽シーンの盛り上がり」と、「音楽不況」という食い違いを「ヒットの変遷」から読み解き、日本の音楽の変容と、これからの可能性を詳述した一冊。
多様なヒットのデータと、インタビューや様々な記事の情報を丁寧に積み重ねた考察は、なるほどと思わされる。
やや物足りなかったのは、「日本のポピュラー音楽」についてはとても深く書かれまとまっているが、他のカルチャーへの展開や普遍的なトレンドの発生、ひいては社会全体まで見通せるまでには至らなかったことだろうか。
(もっとも、そんなのは読む側として求めすぎかもしれないが)