百年の記憶 哀しみを刻む石 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062931618

感想・レビュー・書評

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  • 徹と大地がお互いに思う気持ちも伝と良治の関係もあんまり純粋でくもりが全くないので、琥珀の中に眠る物語のように少し存在が遠い。
    でもとても綺麗な物語です。

  • 文庫化してただけだったうっかりしてた。とうに読んでた。

    いつもの作品よりも静謐さがなく、中高生にとっつきやすい作品になっているような気がする。
    あの静かで冷たい風の音のする作品が好きなものには多少の場違いさを感じてしまうことだろう。

    ただ、ラスト。

    ここで切るのが三木笙子作品の醍醐味なのだ、彼女の作品の冷たさとぬくもりなのだ。

  • 読み始めた時は、心が躍るのをとめられなかった。

    石に宿る 遠い過去を生きた人の記憶。
    このモチーフだけでも展開に強く思いを馳せてしまう。

    さらに冒頭の地学部の部室がある旧校舎の描写や
    登場人物がとても魅力的で 期待が高まった。

    しかし後半は急ぎすぎたのだろうか。
    しっくりこないままで終わってしまった。

    伝と良治の繋がりはとても強い。
    第三者の立場で見ていても 良治のしたことを
    伝が恨んでいるとは思えなかった。
    仮に恨んでいたとしても そのことを
    後悔しているはずの良治の記憶が 
    そこから逃れたいと思っているとは 
    やはり考えられなかった。
    むしろ あえて伝の前に進み出て
    ひれ伏して詫びるのではないだろうか。

    伝の記憶を継いだ大地と良治の記憶を継いだ徹。
    やがてそのことを互いに知ることになる二人の
    不思議な巡りあわせの必然性や
    時代を超えて再会の喜びを心から分かち合う
    大地の中の伝 と 徹の中の良治 を描いて
    くれるものだと思っていた。

    良治の恩人である医師の姓 久守と
    徹の義父 航の姓 久守との関連性も
    語られていなかったように思う。

    どこか腑に落ちず 前半の筆者の筆力からすると
    もっと心震えさせてくれたはずだと思っている。
    少し残念だ。。

  • しみじみとしたファンタジー小説。仕掛けとしてはオカルトに近い雰囲気もあり、なかなかぱっとカテゴライズする場所が見つからない。
    主人公の2人が男子高校生にしてはややナイーブな印象を受けるものの、丁寧な作風は好みだった。
    そういえば東京創元社のシリーズはいつの間にか読まなくなってしまったのだが、この機会に続きを買ってみようか。

  • 神隠し伝説が残る田舎の高校に転校してきた徹は、孤高の少年・大地に誘われ廃部寸前の地学部に入る。他人と交わらず天狗と言われて敬遠される大地に徹は惹かれるが、大地には秘密があった。それは不思議な石から人の記憶を読み取る力だ。大地は初めて秘密を徹に打ち明ける。(『決壊石奇譚 百年の記憶』を改題)

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著者プロフィール

1975年生まれ。秋田県出身。2008年、第2回ミステリーズ!新人賞最終候補作となった短編を改稿、連作化した短編集『人魚は空に還る』(東京創元社)でデビュー。他の著書に『クラーク巴里探偵録』(幻冬舎)、『百年の記憶 哀しみを刻む石』(講談社)などがある。

「2019年 『赤レンガの御庭番』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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