あなたは、誰かの大切な人 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936606

感想・レビュー・書評

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  • 人生の最終章とはこういうものだと。思い知らされる短編集です。

  • 立場は違えど、自立した女性を主人公にした6篇が収録された、“丁度いい”短編集。
    同著者の「星がひとつほしいとの祈り」と似ていますが、本書の方がハートウォームな感じです。
    どの話も良い感じにまとまっていて、サラっと読めるけど、程よい余韻が残ります。
    お得意のアートネタや旅ネタもあり、原田さんの短編でちょいちょい顔を出す、“ハグとナガラ”も登場します。
    個人的に好きだったのは第二話「月夜のアボカド」かな。この話に出てきたアマンダが、第六話「皿の上の孤独」にも登場するのも心憎くて良いですね。
    皆、それぞれ何かを抱えて生きていますが、読めば少し前向きな気持ちになれそうな、そんな一冊かと思います。

    ↓一部抜粋して音読しています♪
    https://www.youtube.com/watch?v=5-PKBz2Mr0o

  • あまり、心に引っかからなかった。
    綺麗な表現だなーって感じるところはあったけど、何か強く刺さる感じではなかった。まったりとした本。

    同世代の働く女性だから、もっと共感できるかと思ったけど、結構みんな大変なのに淡々としてて強い女性だった。

    表紙になってるマークロスコの絵が原田マハさんの「いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画」で紹介されてたので気になった。
    「無用の人」の話はその絵が出てくるけど、窓の風景とは思い浮かばなかったな。

    最後の「皿の上の孤独」は深掘りして、恋愛要素プラスしたの読んでみたいけど、そうすると、原田マハさんらしくなくなるのだろうな。

  • しんみり温かい気持ちになれて、大切な人を思い浮かべる短編集。メキシコ料理が食べたくなりトルコに興味を持ち、温かい気持ちと共に好奇心も刺激された。あと、社会人になってから友達できた試しがないから、友情を育んだ彼女らが羨ましくなる。

  • どのお話も暖かさと寂しさが混ざり合っててよかった◎
    歳取るの嫌やなとばっかり思うけど人生重ねる楽しさと面白さも見つけていきたい

  • 第一に温かい話だった。付け加えるとしたら、少し辛いけれど、まだ余裕の残した境遇にいる人々の、温かな話だった。

  • 『母はずっとスーパーのレジ係や清掃の仕事のパートで働き続けて(略)お父さんは気が弱い、だから出世しない、あんな人と一緒にいてもつまらない、無能な人なんだと、いつも愚痴っていた。』
    『父は「無能の人」などではない。けれど、母にとってはーそして社会にとっても、「無用の人」なのかもしれないと』
    私は女性で、この短編集の主人公たちのように、一応自立して生活している立場だけど、この『無用の人』と言うお話の中では、父親の人生を思い、胸がきゅっとなった。社会にとって本当に「有用な人」って、実際のところ、どの位いるんだろう。「無用な人」って、実は沢山いるんじゃないかな。
    きっと、世代的にもこのお話の母親は、もっと専業主婦が当たり前の世代で、パートとは言えずっと働き続けていることや、そんな自分のパート代とさして変わらない収入の夫との生活は、辛いものがあったのだろう。けれど、男性も男性で、どんな性分の人でも、どんなことに興味がある人でも、男であるからには、バリバリと働き、出世して、家族を十分な収入で支えなければいけないと言う生き方は、苦しいものだなあと。それが出来なければ、社会どころか、妻や子供にまで「無用な人」だと判断されてしまうのは、何とも言えない寂しさだ。
    しかし、もしかすると、父親はこの娘が学芸員になったことを、密かにとても喜んでいたのかもしれない。そう思うと、それは小さな救いのようだ。

  • 瀧井さんの最後の解説文がこの本の良さを全て表しているように感じました。
    生き方を自由に選べ、孤独と苦労を伴いながら人は生き、人生観が多様化する中で身近な人と分かり合えなくなったりもするけれど、だからこそ誰かと心と心が繋がる瞬間は奇跡的なものなのだということ。この先の人生への不安もあるが、そうしたネガティブな感情も、引き受けているような、おおらかさを持ち合わせた主人公たち。希薄な人間関係の中で日々を過ごす中、次第に価値観が人と乖離して、ますます他者とすれ違ったり衝突したりして、分かり合えない人たち。様々な人が描かれる中、それでも、意外なところで人は人と繋がり、人は誰もが誰かに大切にされ、自分で自分を大切にすることが必要なのだと感じる本です。

  • どこにでもいて、誰にでもあるような話なんだけど、一話一話、ジワジワと心に残る話。
    身近な人を亡くした人の話が多く、父を亡くしたばかりの私にとっては、心に響く話が多かった。
    「波打ち際のふたり」のハグのお母さんの話は、涙なしでは読めなかった。子を思う母、母を思う子、お互いに思うあまり苦しくなってしまう。
    ちょうどいい距離って難しいなと思った。

  • 主人公たちの様々な価値観を見て、考えさせられる本だった。私は1人じゃないそう思わせてくれるような本だった。

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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