小説の神様 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940344

感想・レビュー・書評

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  • ほかにない熱量を感じる小説。売れない高校生作家の叫びに胸がつまる。慕ってくれる後輩に売れる本を書けという言葉をぶつける主人公が痛々しくてつらいです。自虐的な主人公が苦悩と絶望の先に何を見出すかは読んだ人だけがわかる。伝えることの物語でもある。

  • 2018年28冊目。小説家の生み出す苦しみがふんだんに綴られていて、主人公と一緒に現実にうちひしがれる。それでも、小説に込めた思いが、願いが届くことはきっとある。小説に心を動かされることもまた。小説読みにはたまらない作品。

  •  誰の中にも物語はある。
     たとえ空っぽでも、僕は書かなくてはならない。この胸から沸き立つ涙でペン先を浸し、物語を綴ろう。それがどんなに醜くても、この身から溢れるものがある限り、書き続けることはできるのだから。
    (P.168)

  • 言葉では足りない。(中略)だから物語を書くの。


    文章の美しさの「う」の字もないようなケータイ小説がバカ売れすること。
    どんなに素晴らしい作品でも絶対に貶すレビューは出現すること。
    その人の作品を読んだこともない野次馬が「謝罪しろ!」と騒いでくること。(この件については「小学生か」と毎回思う)
    凹んで凹んで、自分は世界一不幸で傷ついて、周りに当たり散らしてしまうこと。

    分かる。分かるよー。

    私にこの本を勧めてくれた人は「主人公がうじうじしすぎて、途中で読むのが辛くなる」と言っていた。
    私は辛いとは思わなかった。なぜなら、私も主人公と同じようにうじうじ悩んでいた時期があったから。
    「どんな仕事でも辛いことはある」とあったが、「どんな人生にも辛いことはある」と言いたい。

    面白かったー。
    けど、もう少しラノベ要素を減らしたらもっと幅広い層に読者が増えるんじゃないかなー、とも感じた。主人公の時折見せる「いかにもラノベ」くらいリアクションとかが気になる(›´ω`‹ )

  • 若い小説家の二人がプレッシャーを乗り越えながら、励ましながら頑張る話

  • 中学生で小説家デビューしたものの、以降鳴かず飛ばずの主人公。
    そこへ、美少女高校生作家・小余綾とやむを得ずタッグを組む事になりますが――。

    主人公の苦しみは生々しく、真剣に小説と向き合ったが故に
    憎しみの域に至ってしまっています。
    一方、”小説の神様”に愛されていると思われた小余綾ですが、
    彼女も闇を抱えている人物でした。

    周囲の面々の思惑を受けながら、二人の高校生作家たちの想いはどのように昇華されていくのか。

    お仕事小説のような、青春小説のような、
    明日から自分も頑張ろうと前向きな気持ちにさせてくれるお話でした。

    図書館スタッフ(学園前):あんりみ0

    ----------
    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/861534

  • 中学生にして作家デビューを果たした千谷は、高校二年生の今、小説を書くことができずにいる。そんな千谷の前に現れたのは、人気作家の小余綾詩凪(こゆるぎしいな)。
    彼女との合作を持ち掛けられた千谷は、それが「売れる本」になるのではないかと薄暗い期待をいだき承諾するのだが……

    小説を書く人、書きたい人に是非とも読んでもらいたい作品。
    きっと胸に刺さる言葉が見つかるはず。
    つらいこと、苦しいことがたくさんあるかもしれないけど、それでも小説を書くという行為はとても尊いことなのだと、確かに信じられた。物語には力がある。

  • 07/16/2017 読了。

    図書館から。

    静かに静かに語られる。
    小説に対する、作家の苦しみと喜びと願い。

  • 【あらすじ】
    僕は小説の主人公になり得ない人間だ。学生で作家デビューしたものの、発表した作品は酷評され売り上げも振るわない……。物語を紡ぐ意味を見失った僕の前に現れた、同い年の人気作家・小余綾詩凪。二人で小説を合作するうち、僕は彼女の秘密に気がつく。彼女の言う"小説の神様"とは? そして合作の行方は? 書くことでしか進めない、不器用な僕たちの先の見えない青春!

    【感想】

  • "「小説は…。きっと願いなんだと思う」"

    前評判でもいい!というお話を聞きつつ、でもダークな深くて暗いところも多いと聞いていたので本当にその通りだなと!

    小説が好きな人ってきっとたくさんいて、私だってそのうちのたった一人の存在にしか過ぎない訳なんだけど、小説好きな人の心にすごく響く作品であるなと思いました。

    明るいラストに持っていくためなんだろうけど、暗い悲しいシーンもちょっと多め。就活で出版社を主に志望してたけど、出版業界のことを読むにつれて、進路を考え直すきっかけにもなりました。(あまりいい方向ではないかもだけど)でもこうした事情を知った上で、それでも出版がいいと思う人だけが生き残って、そんな人たちだけに許されるのが活字に願いを乗せて人々に届けることなんだろうなと思いました。

    "わたしたちは、言葉を伝えたいわけじゃない。言葉では遅すぎる。言葉では不自由すぎるのよ。だから、言葉だけでは伝わらないことを、表現しきれないことを、一つの物語に編んで届けることしかできない。"

    千谷くんも小余綾さんも、小説を愛するからこその行動と言動であり、それを愛するがゆえに曲がった感情を露わにしてしまうシーンもあって、小説はそれだけ奥が深いことを思い知らされました。物語を読むこと。この単純な娯楽活動が
    私の中でもっと大きな意味を持つきっかけになりました。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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