繕い裁つ人(6)<完> (KCデラックス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 265
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063771152

作品紹介・あらすじ

祖母が開いた南洋裁店の2代目店主・南市江は、ずっと顔の見える方への仕立てとお直しに生きてきた。彼女を見守ってきた藤井のパリ勤務前にコートを仕立てた市江。お互いを大切に思う気持ちが静かに溢れるラスト。1月31日には実写映画が全国ロードショー公開の5年以上続いた大人気連載、ついに完結!

祖母が開いた南洋裁店の2代目店主・南市江は、ずっと顔の見える方への仕立てとお直しに生きてきた。彼女を見守ってきた藤井のパリ勤務前にコートを仕立てた市江。お互いを大切に思う気持ちが静かに溢れるラスト。1月31日には実写映画が全国ロードショー公開の5年以上続いた大人気連載、ついに完結!

感想・レビュー・書評

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  • 良いお話でした。良い終わりだった。派手なところはなく。何も進んでないように、変わってないように見えて、確かに変わっていった話。少しずつ、少しずつ、確実に。
    藤井さんはきっと渡さないし、市江も行かないんだと思いました。何が幸せか、自分で決める。「人のことばかりではダメよ、自分も幸せにならないと」ってありふれた言葉をお客さんに言われたとき。何も言葉は返さなかったけど、そのお客さんの幸せそうな姿を見て市江が幸せを感じていることは読んでいて伝わりました。何がその人にとっての幸せなのかは、他人には解らない。それを市江も藤井さんも、2人とも解ってるんだなと思いました。だから、自分の願いを押し付けない。選んだ道は別だけど、今後もずっと交わっていくことが確かな、未来のある素敵な終わりでした。
    最後まで人の幸せばかり。でもそれが市江の幸せなんですよね。きっと原点だった最後の子供の頃の話。幸せそうな顔。だから、コートを着て嬉しそうな藤井さんを見て、幸せそうに笑ったんだと思いました。

  • 完結しました。
    正直、物語の途中でプツンと終わってしまった感じで、
    え?これで終わり?ここで終り?というのが感想。
    藤井さんとはっきりわかる形で終わるのかと思えば、
    もう全然、本当に物語の途中でね・・・。
    藤井さんはフランスで市江を思いながら仕事をし、
    市江は変わらず自分の家で仕立て屋業に精をだし、
    でもこの強引さがないけど、頑なで、慌てず騒がず、いろいろなことを自己完結しながら、結局は想い続けている感じでね・・・そこは市江らしいとこです。
    本当にはっきりしなかった藤井さんとの関係は私たちの知らないところでいつかは・・・。と期待させたまま終わらせてくれたことは感謝したい。
    お互い大人ですからね、それぞれ信念を持って仕事をすることはいいことだと思います。
    きっと、市江にしてみたらそこは変わらず、変わらないなかで恋を実らせ結婚できたらおまけ的意味でラッキーな事なのかも。
    たいした波風もたたないまま、いつでも凪いでいるような静かな物語は良い意味で池辺先生らしい作品でした。
    大人の世界ですよね。
    ポカポカ陽気の休日のお昼に、ロッキングチェアに揺さぶられながら読みたい作品です。

  • 淡々とした静かな世界が続いていく終わり方でした。
    南を離れることはできない市江とパリで新しい知識をつけてもらいたいと思う藤井さん。無理じいするのではなくて、お互いが互いを必要としている関係は変わらなくて、二人ならではの距離感はそのままでも、でもいつかは...そうであってほしいと思います。

  • 市江さんも藤井さんも、やりたい事への気持ちが真っ直ぐに晴れ晴れとしている。思い描く理想の形とは異なれども、終始思いやりと幸せに包まれていた素敵な最終巻でした。何だかいつも以上に光の表現も暖かく穏やかだった気がする。藤井さんからの荷物を取りに階段を降りる市江さんのスカートの広がりも、藤井さんからのラブレターも、映画の様にとても素敵で。本当に"素敵"と言う言葉が似合う作品でした。

  • とうとう終わってしまいました。
    とても静かに。
    いつも通りの日常の延長であるかのように。
    きっと私たちが本を閉じたあとも
    物語は静かに続いているのでしょう。
    ふたりは静かに答えにたどり着くのでしょう。きっと。

    そう願わずにはいられなくて。

    早く映画も観たいな!!

  • 完結しちゃいましたね。でも、市江と藤井さんがどうなるのか、分からない。その余韻がこの画の感じととても、マッチしていると思う。市江が幸せになるためには洋服とお客さまと藤井さんが必要なんだと思う。そのことに市江が気が付くまでにもう少し時間がかかるのかもしれない。

  • 私は7がさいしゅうかんだと思って読んでしまった。これが最後だったのか。
    藤井さんに対する素直な気持ちも出ていてよかった。
    もう1回読むらなら、最後の部分をよみたい。

  • サウダーデを遥か昔に読み、連載が長引きそうだったので読まなかった本書。

    6冊一気読みして感じた事は、正論は相手を傷つけるとか、人が変わるのには時間が掛かるとか、ともかく市江さんの頑なさ、素直じゃない性格にヤキモキした。

    ボンヤリした空気と、二人の行方が明確に描かれていなかった事も残念だった。

  • 全6巻。
    町の洋裁店で働く市江。
    彼女の元に町の人から様々な服にまつわる依頼が届く。
    市江の服を愛する百貨店の藤井との恋愛も交えつつ、1話完結で描く。

    2015年に中谷美紀主演で映画化。

    優しい絵とストーリーで淡々とした雰囲気が良い。

  • 全巻読了。
    自分と仕事の向き合え方を考えさせてくれる。正解と言い切れるほどの答えの提示はないけど、常に自分の選択を肯定し受け入れようと、なんとなく思う。

    はじめは絵は苦手だったけど、今はすっかり魅了され早く別の作品を読んでみたい。

  • これで終わり?という終わり方でちょっとびっくり。
    物語全体に漂っていた穏やかで淡々とした雰囲気が、読み終わっても続いていくような余韻の残る終わり方。
    独特な魅力のある物語でした。

  • どーでもいいんですが『繕い』ではなく、『縫い』だとずっとおもってました(*´σー`)エヘヘ

    今更、最終巻を読みました。時間がゆっくり流れる作品なので、駆け足で読んではだめかと思って。
    普通に藤井さんが好きでゆるゆるきゅんってなることは置いておいて(o˘◡˘o)、近年、貪欲とか、なんでもとか、そういう、とにかく進め、とは違うものこそよい!と思っています。そういう今の私が読むのに適したコミックだったなと。
    自分が勢いで押して雰囲気を作る型の人間であることを理解していながら、本当にふわっと、いや、そんなに軽くないかな?じっとりと?空気を作ることにとても憧れています。一応、目指すことも忘れてません。
    じっとりと笑積み重ねて、でも、やっぱり、迷って、迷って本物になって、そういう空気を作り出すこだわりを持つ市江はある意味、私の手本です。
    他人に押し付けるでなく、自分だけで、真っ直ぐ見ているもの。孤高で、美しい。
    なんだろー、これが男性だと、寂しさが滲み出ちゃう気がするだけど、女性だと優美な気さえするかも。
    細かいことを分析しはじめるとあげあしとりしそうなんで、ふわっとした感想にとどめます(^0^ゞ

  • 寂しいけれど最後の展開には納得。人も生地もそのときに手にしなければいなくなっちゃうよ。藤井よ。

  • 九月は個人的につらくて、活字よりマンガが必要だった。
    ゆったりとした間と余白が好みで、大体一週間に一冊購入してよんでいた。

    最終巻。
    真っ黒なフォーマルワンピース、定番のカットソー、女子高生のオーダー、チェスターのシングル、毎年おくる服、解体したいくらいの技術のつまった服。
    はじめての仕立て、「映画によせて」、最高の洋服作りましょう。

    あー……、うん、まあまあ、けっこう、よかったな。
    もやもやすることもあるけれど、みんな、地に足をつけて、前に進んでいる。
    仕立ての話なのだけれど、いつも話の底に、そういう感覚があると思う。
    一巻から二、三年が経過していて、出会った人たちも、そのぶん前に進んでいる。
    頑固じじいのようだった市江も、変わった。
    「糸は強くてかたいのに
     着続けると不思議としなやかにしなるんだ」
    それは市江にもいえること。
    藤井さんの手紙にじーん、とした。
    プラトニックっていいな。
    藤井さんがパリから帰ってきてからの、南洋裁店も楽しみだね。

  • 地味なまま終わってしまった・・・。
    ひきこもりがちで、周りに流されて仕事しているような、はっきりしない主人公にイライラするところもありましたが、最後は地元の高校生たちに慕われたりしつつ、自分の生きる道を見つける・・・みたいな。
    地味ながらもいい終わり方だったように思います。

  • そっかー。
    行かないと思ったけど。そういう本じゃないもんな。だからといってそれが悪いわけではなく。
    仕事への愛。みたいな。
    でも2人はいつかきっと一緒になれる(^^)

  • 20150329
    雰囲気良かったー
    最後まで変わらなくて、ふたりの微妙な感じにもほっこりした。

  • 完結。市江さんと藤井さんの物理的距離感が遠くなって、けれど選択を間違えなかったから、こころは近くでいられる。じっくりと読んだ。

  • 穏やかな良い読後感。市江と藤井のこの先もあたたかく連想させる。

  • まぁ,イモリは家ん中にも入ってきますが,ヤモリは入ってきません。ちなみに女性の場合はブラバーです。再度読み直すと,藤井さんとはまぁそれなりなんだね。王道の,向こうから帰ってきてパーッとくっつくなんてことにしなくて良かった。それでもいまひとつ消化不良な鵺みたいな漫画でありました。

  • 幸せになるようにと願いを込めて、一着一着仕立てる市江。欲しいなら早く手に入れないと、と生地をすすめられつつ、きっと市江のことのようだと思っていそうな藤井。物語の終わりは、おそらくふたりともそのままのペースなんだろうなと思わせつつ。まわりになんと言われようと、お互いの納得した距離感、離れていても信頼、穏やかに関係を深めて行くんだろうなあ、と。お互いの洋服が大好きという思いを軸にして。

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著者プロフィール

2009年漫画家デビュー。2014年、『どぶがわ』(秋田書店)で第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞。2018年、『ねぇ、ママ』(秋田書店)で第22回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞。代表作に『繕い裁つ人』(講談社)、『プリンセスメゾン』(小学館)など。

「2022年 『よそんちの子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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