昨夜は殺れたかも (講談社タイガ)

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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065170403

作品紹介・あらすじ

今日も二人は"殺し愛"

夫と妻の視点に分かれ気鋭の著者二人が競作する、予測不能なラブサスペンス!

平凡なサラリーマン・藤堂光弘。夫を愛する専業主婦・藤堂咲奈。二人は誰もが羨む幸せな夫婦……のはずだった。あの日までは。
光弘は気付いてしまった。妻の不貞に。咲奈は気付いてしまった。夫の裏の顔に。彼らは表面上は仲のいい夫婦の仮面を被ったまま、互いの殺害計画を練りはじめる。
気鋭の著者二人が夫と妻の視点を競作する、愛と笑いとトリックに満ちた"殺し愛"の幕が開く!

感想・レビュー・書評

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  • サラリーマンの光弘と専業主婦の咲奈は、だれもが羨む幸せな夫婦。だがある日、気づいてしまった。光弘は咲奈の不貞に、咲奈は光弘の裏切りに。
    その日から、彼らは良い夫婦の仮面をかぶったまま、互いの殺害を計画し始める。

    『今からあなたを脅迫します』シリーズなどが代表作の藤石波矢さんと、『いなくなった私へ』などの辻堂ゆめさんの共著で、夫パートが藤石さん、妻パートを辻堂さんが書いています。
    共著の小説というと、著者が変わる際に違和感を覚えて没入感が覚めてしまうことがよくあるのですが、この本はそういったこともなく、自然な文章で楽しめました。

    あとがきを読むに、自分の書くパートで相手を殺すトリックを仕掛けてパス。バトンを渡された方がそのトリックを回避し、別のトリックを仕掛け返して返す……という方法で書かれたようです。相手のトリックをひっくり返し、相手パートに書かれた文章なども逆手にとって返す、という共著ならではの面白さがあり良かったです。

    正に紹介文にもある通り"殺し愛"。こんな殺し合いに発展はしますし、エキセントリックで似た者同士ですが良い夫婦の二人です。
    ミステリっぽいタイトルですが、ミステリというよりはドタバタしたコメディ・エンタメ小説。最後まで読むとむしろラブコメかもしれません。

    ***

    共著の小説ならこれも好きです。
    『注文の多い注文書』(ちくま文庫)/小川洋子、クラフト・エヴィング商會

  • 仲の良い夫婦であるふたり。しかし、ある時お互いの裏の顔に気づき、お互いに殺害計画を企てる…。
    何とも微笑ましい殺害計画の数々!偶然も味方するほど絶妙な回避の連続。そして、修羅場を乗り越えた夫婦の殺し愛は最高潮を迎える…!
    ふたりの著者が夫婦それぞれの役に分かれて投げ合う競作のスタイルも味が出てて面白い。

  • 二人の作家が交互に執筆。夫、妻のパートに別れてお互いに殺しを仕掛ける→回避してまた仕掛けて相手にリレー、という形で進行して書かれた作品。一章ごとに盛り上がりあるので、ハラハラしながら読み進めました。仲良し夫婦がいきなり殺しあいに転じるには、お互いに隠し事があったという設定。しばらく殺しあい続いたあと、結末に向かって話の向きが変わり、それも面白かったです。
    ホラーというよりコメディタッチなので、怖いの苦手な人も大丈夫です。中学生くらいから。

  • エンタメ小説としては、かなり面白い。
    両作家の他の小説も読んだことがあり、楽しみにしていたが、また違う感じで楽しめた。 
    小説内に出てくるが、あの映画を彷彿とさせる。

    いずれにしても、混ぜるな危険、である。

  • 光弘と咲奈は仲睦まじい夫婦。ただお互いに抱える秘密から、お互いに殺し合う関係に…。
    お互いの殺害計画がうまく回避されて、最後には…っていう流れ、コメディー見てる感じで面白かった!

  • 互いを殺しあっているぶん視点が変わるごとに回避の仕方で盛り上がりがあり、次どのように回避するのか、どのような仕掛けが待ち受けているのかドキドキ感が味わえた。

  • 仲睦まじい夫婦の光弘と咲奈は、ある日お互いの裏切りを知ってしまう。さらに双方ともが自らの秘密を知られたと思ったことから、愛情は殺意に変わった。表面上は仲の良い夫婦のふりをしながら、お互いの殺害を企てる二人。いったいどうなってしまうのか。コミカルだけれど、ハラハラドキドキが止まらないサスペンスミステリです。
    とんでもない話なんですよねえ。殺害計画があまりに緻密で狡猾で、なのに読み口がとってもコミカル。いやいや、そんな軽い気持ちでそんな大それたことを? そしてそんなにとんでもない罠を仕掛けられたにもかかわらず、知恵を絞って回避してしまうのもまた凄いのです。しかもなかなか正面からぶちまけることなく、あくまでも仲良し夫婦を装いながら……この二人、メンタルが強すぎます。結局のところとっても似たもの夫婦で仲がいいんじゃないのか?
    さて、最終的に勝つのはどちらなのか。物語の結末自体は予想していたものの、しかしそんな罠が仕組まれていただなんて。最後まで気の抜けない展開です。

  • 本当にMr&Mrsスミスみたい!となんだか楽しかった。
    妻の隠し事が判明してからも、夫側の謎が少し残ったままだったので、どちらかというと妻視点で読んでしまった。
    疑惑だけで殺そうとするとか、いろいろ非現実的ではあるんだけど、それも含めて楽しく読める作品。

  • 平凡なサラリーマン・藤堂光弘。夫を愛する専業主婦・藤堂咲奈。二人は誰もが羨む幸せな夫婦…のはずだった。あの日までは。光弘は気づいてしまった。妻の不貞に。咲奈は気づいてしまった。夫の裏の顔に。彼らは表面上は仲のいい夫婦の仮面を被ったまま、互いの殺害計画を練りはじめる。気鋭の著者二人が夫と妻の視点を競作する、愛と笑いとトリックに満ちた“殺し愛”の幕が開く!



    お互いのことが好きで愛している結婚3年目の夫婦。料理上手で家のことを完璧にこなす妻の咲奈、そんな咲奈を料理が大好きで職場の机に妻の写真を飾っている本当に「バカ夫婦」な2人。もうこんなラブラブな夫婦が3年目ってすごいなと。専業主婦の咲奈の主婦能力がすごかった。ワックスなんてかけたことないぞ。


    そんな夫婦に危機が襲う。夫は妻の不貞を知り、妻は夫の裏切りを知る。そして、お互いにお互いを殺し合う。そのトリックもよく思いつくなぁと思うもんばかり。特に、専業主婦で家がホームの咲奈のいろんなトリックがすごい。お互いがお互いのトリックを回避するのもすごい。最初は偶然的なところがあったが、だんだん気がついてきて、そして緊迫した食卓と寝室。



    でも、だんだんお互いのトリックをどうやって回避するのかが気になってしまい夢中で読んでしまった。主婦能力がすごい咲奈が仕掛けたトリックと夫が仕掛けたトリックを華麗に回避する姿。ある意味、主婦能力が高くないと気が付かなかっただろう回避の仕方もあって、私には無理だなと思ったりもした。



    この殺し愛がどう決着がつくのか気になってしまう。回避の仕方も気になったけど、これどうやって決着つけるの?ってなった。そこは丸くおさまって良かった。まさか結末だった。信じていたのは、私だけじゃなかった気がする。



    あとがきにあった「熟年離婚寸前の夫婦」「お笑いコンビ」の殺し愛も読んでみたいなと思った。想像すると面白そう。


    2023.6.17 読了

  • 男女の作家がそれぞれ男性パート、女性パートをリレー方式で書いた合作とのこと。互いに相手作家に相手キャラを殺害するトリックを仕掛けて渡し、それをクリアして返す、という作業を繰り返して完成させたそうです。ミステリというよりはコメディタッチな作品でした。
    誤解が解けたとはいえ、本気で殺そうとした相手を「知らなかった一面を見られて良かった」などと言ってハッピーエンドにするのは無理があるような気が。まあ面白くて星5なんですが。
    「出発もさせない気か」は名言。

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著者プロフィール

1988年栃木県生まれ。『初恋は坂道の先へ』で第1回ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞を受賞し、デビュー。代表作となった「今からあなたを脅迫します」シリーズは、連続ドラマ化され、奈院ゆりえにより、漫画化(KCデラックス なかよし)もされている。他の著作に、『昨日の君は、僕だけの君だった』(幻冬舎文庫)、『救ってみろと放課後は言う』(KADOKAWA)、『撮影現場は止まらせない! 制作部女子・万理の謎解き』(角川文庫)、『時は止まったふりをして』『流星の下で、君は二度死ぬ』(新潮文庫nex)などがある。

「2022年 『ネメシス7』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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