世界の終わりのためのミステリ (星海社FICTIONS)

著者 :
  • 星海社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065319314

作品紹介・あらすじ

「Q.人はなぜ謎に惹かれるのか?」
「A.知ることは、生きることとイコールだから」

人間の意識を半永久的に持続可能な人工身体にコピーしたヒューマノイド=〈カティス〉が生まれた近未来。
〈カティス〉の女性・ミチが目覚めると、世界から人類は消失していた。
搭載された〈安全機構〉により自殺はできず、誰もいない世界で孤独な時間を生き続けることに絶望していた彼女は、少年の姿をした〈カティス〉のアミと出会う。
〈人類消失の謎〉の解決を目指すと語る彼に誘われ、ミチは失われた人間の頃の記憶と永遠に続く時間を生き続ける意味を探す旅を始めるーーーー。

人類が消失した終末世界を、人類の残骸=ヒューマノイドのふたりが旅する、最果ての〈日常の謎〉。
日本推理作家協会賞受賞作家が、人間が〈生き続ける意味〉を問う終末旅行ミステリ!

感想・レビュー・書評

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  • 本作『世界の終わりのためのミステリ』のあらすじと感想になります。

    自身の意識をカティスと呼ばれたカタリナ社製のボディにコピーし、半永久的に活動できる体を手に入れたミチ。そして、人類だけが忽然と消えた『崩壊』した未来でミチは目覚め、男の子のボディに意識をコピーした阿見と出逢う。

    自分達以外のカティスはいるのか?
    人類は何故消えてしまったのか?

    2人は道中に数人のカティスと出逢い、彼らが持つ謎を解きながら日本各地を旅する。

    逸木裕さん作品初読みでしたが、SFらしい設定は悪くない一方でミステリ感が物足りないかなと言うのが個人的な感想です。逸木裕さんファンの方に不快感を与えてしまったら、すみません(^_^;)

    ただ二人がカタリナ・ワンという電気自動車で旅する姿を想像すると、次回作を期待したい気持ちもありますね。のほほんとした気持ちが最後に残る作品でした。

  • 人間の知能をコピーして作ったヒューマノイドの物語。
    人間が消滅してしまい、存在するヒューマノイドもわずかな世界。
    自殺も許されず、孤独の中で生きる意味を見出さないといけない。
    感情があるが故の苦しみ。これってまさに生き地獄だなと思った。
    なぜこのような状況になったのかが謎のままだけど、続編があるのだろうか。

  • 人工身体に人間の意識をコピーしたカティスがいる近未来。
    カティスは2原則がある。
    1.他人を傷つけてはならない。
    2.自らを破壊してはならない。

    カティスとして眠っていたミチは目覚めたが、人類が消失したと知ってしまう。
    それに失望したミチは自殺しようと心に秘め、途中からアミと共に旅をする。
    旅では他のカティス達と出会い…。

    特にAIハンスとカティスの関わりが切なかった。

    続編あるのかな?あとがきに期待。

  • 人類滅亡後の機械生命体物語

     表紙が恥ずかしい(最近の本はどれもアニメっぽくて閉口する)。SFとしてロボット三原則とか人類滅亡の理由は…と期待して読み進めたけれど、そう気負うと肩透かしかな。

     生命体はミステリーの小道具の一つととらえるほうがなじむかな。立ち居振る舞いはまったく人類そのものなんだからね。

     これがプロローグとして、小さなミステリーの積み重ねでもよいから、滅亡の謎に挑んでいってほしいなぁ。期待したいなぁ。

     週末午前のリフレッシュと思って一気読みした。すると上記の感想が少し、違ってくる。

     

  • 人間の意識を人工の身体にコピーし半永久的に生きられる「カティス」であるミチが目覚めたとき、その世界から人間は消えていた。廃墟と化した世界を彷徨い、生き残ったカティスたちと出会うものの、誰一人世界が滅んでしまった原因を知らない。記憶を失くしたミチと、世界が滅んだ原因を知りたい阿見が、さまざまな謎に出会う連作ミステリです。
    自ら死ぬことができず、半永久的に生きられるカティス。ある意味「不老不死」を実現したともいえるのですが、しかし滅んでしまった世界に残され生きる目的が見出せなければ、それはただの苦痛でしかないんですよね。人間にとってよりも過酷な状況だと言えるかもしれません。その中で生きるために謎を求め、謎を解く阿見の姿は頼もしく、そのおかげで悲愴感が薄れました。読み心地は楽しいミステリになっています。
    お気に入りは「かくれんぼメテオライト」。終盤になって「まさか!」と真相に気づけたので、なるほどこういうのがクイズとしては一番楽しい難易度だったのかな。

  • なぜ人間がいなくなったのかはわからないまま。

  • 人類文明滅亡後の世界を舞台にした日常の謎集、といったところだろうか。物語が全て静寂に満ちており、見方によっては緩やかな地獄、といった感じがしなくもない。日常の謎なので大掛かりな展開などはないが、よくまとまった作品だと感じた。

  • ハンスえらい、人に近くなった機械にとても感情移入してしまう私。

  • 不思議な空気感の近未来小説「娘は色々なものが好きだったのではない。本当に好きなものに、出会っていなかっただけだった」「自我とは、一貫性がなく、矛盾に満ちたバラバラな感情をなんとか統合して僕たちは生きている」「寂しがり屋で、他人がいないと生きていけないのに、無人の空間に放り込まれると安らぎを覚える。人間が好きなのに人間を恐れていて、近づきたい反面遠ざかりたい。そんな矛盾したアンビバレントな感情」ミステリーだったんだ…どうして、こんな世界になっているのか謎のまま。またしても続編か…

  • 『娯楽』★★★★☆ 8
    【詩情】★★★★☆ 12
    【整合】★★★☆☆ 9
    『意外』★★★☆☆ 6
    「人物」★★★☆☆ 3
    「可読」★★★☆☆ 3
    「作家」★★★☆☆ 3
    【尖鋭】★★★★☆ 12
    『奥行』★★★★☆ 8
    『印象』★★★☆☆ 6

    《総合》70 B-

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著者プロフィール

小説家。1980年、東京都生まれ。第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、2016年に『虹を待つ彼女』(KADOKAWA)でデビュー。2022年には、のちに『五つの季節に探偵は』(KADOKAWA)に収録された「スケーターズ・ワルツ」で第75回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した。このほか著作に、『少女は夜を綴らない』(KADOKAWA)、『電気じかけのクジラは歌う』(講談社)などがある。

「2023年 『世界の終わりのためのミステリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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