いちばん大事なこと ―養老教授の環境論 (集英社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087202199

感想・レビュー・書評

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  • 【グローバル化した経済=花見酒の経済】だそうだ。
    AさんとBさんが樽酒(実:資源)の酒を飲み交わす(虚:経済)。
    コレをつづけると樽酒がなくなる。
    同量の資源を分けても、オオモトの資源は減っていく。
    分かり易い例だなぁと思った!!
    私の至らない要約を想像力で補えない場合は、立ち読みですね~♪

    ===

    環境問題は「自然環境」vs「人間社会」のような構造が一般的なようで。
    しかし養老流だと「意識、脳」vs「自然、身体」になる。 
    「自然、身体」を「意識、脳」を超えたものとして認め、出来るだけルールを知る。
    そして、「コントロール」ではなく「手入れ」によってvsが外されるとのこと。


    そういえば…異常ばかり目立って、正常がわからない。
    自然について全く知らない気がする。
    根本的にソコがいけないと感じた。。

  • 環境問題のむずかしさは、なにが問題なのか、きちんと説明するのがむずかしいことにある。環境問題こそ最大の政治問題なのだ。都市化が進み、自然と人工が対立するようになった過程から、今後どうなるかまで、虫好きの養老教授が語る環境論。

    「どうしたらいいかわからないことは、人生には山のようにある。それを認めたうえで、「辛抱強く、努力を続ける根性」が必要なのである。自然を相手にしていれば、ひとりでにそうした性格が育つ。それがないのが、都会人なのである。即座に答えが出ることを求めるからである。」

    環境問題は、小学生の頃から耳にしていたけれど、いまいちリアリティを持てず、興味が持てなかった。だが、養老教授の毒もありつつもユーモアに溢れた熱いその語り口で語られたら、非常に興味が持てた。

    「自然を単純に理解したと思うと、自然をコントロールしようという発想が出てくる。人体も含めた自然がシステムであり、カオス的変化を含めて、予測が完全にはつかないとわかれば、「手入れ」という発想でつきあうしかない。」

  • 養老孟司。
    バカの壁、超バカの壁にはまっていた時に買ったもの。

    難しいことを言っているのにあきない。

  • 環境問題を、思想的な立場からとらえた一冊。

    脳化社会(「ああすればこうなる」型で矛盾を認めない都会のこと)に住む人々は、意識の産物である人工物に取り囲まれてしまっているせいで、意識外の存在である自然環境が遠い存在になってしまっている。しかし、自然に属している自分ということだけを考えても、環境問題とは実は「あっちの話」ではなく「こっちの話」であり、そもそも人間対環境の定義がそもそもの間違いであるのだ。環境論議をすると「非現実的」「経済とどっちが大切か」などという議論になるのだが、実は環境問題は「こっちの話」であるからこそ、経済・そして政治に深くかかわってくるわけである。


    環境問題の難しさは何が問題なのか、きちんと説明することが難しいこと、というのに納得。なんか、着手するべきことが多いのと、色々企業の利益とか絡んできたり、はたまた二酸化炭素の地球温暖化は嘘だ、という人の意見とか、環境問題って、本当「これだ!」とか「これを直せ!」というのが明確にわかりにくいよね。
    昨日のTEDだと、世界にはびこっている問題の中でも、環境問題は、ハイコスト・ローリターンの代表格だと言っていたから、リスクとリターンがprofitableなものから、優先順位をつけることでとりあえず今始めることが大切だと述べていたわけだけどね。まあ、優先順位の問題では下にあっても、まあ手をつけない訳にはいかないわけで。

    環境問題をシステムの問題としてとらえ、細分化してすべてをわかろうとしちゃだめだ、というのにも納得。
    ただ、専門的なのがだめだから、全体を見るようにっていうのは、医療の現場とか色々なところでも言われてるのを考えると、このシステム(全体)を見よう、というのは昨今のブームなのかな、と思ったり。
    まあ、いきすぎはだめで、全体を見渡せるような人が必要だっていうことだよね。

    環境問題が、駆け引きの道具として使われることは避けねばならないっていうのもすごく大事だと思う。
    というか捕鯨運動についてはびっくり。やっぱアメリカ。さすが情報戦略が国家の一手を担っている国だな。
    経済的にも政治的にも環境問題は、環境って守ることが重要で、批判をあまり受け付けない傾向にあるからこそ、政治家とかも訴えやすいよね。それは軍事がある種タブー視されるものも一緒なわけだけど。
    環境問題に着手することは絶対的な善なわけで。
    でも、自然の難しさは良い意図がよい結果を生み、悪い意図が悪い結果を生むってわけではないことだからね、そこが難しいところだし、やはり批判を受け付けない今の因習はよろしくないかな。

    コントロールせずに、手入れという思想で、環境問題に取り組むこと。
    環境問題は教壇だけでは教えられないこと。

  • 環境問題は政治問題、経済問題。教育は重要だが学校で教えられるものではない。

  • 自分自身の環境論を持つことが大切。

  • 養老センセイの環境論です。虫取りが大好きなオジイサマなせいか、文章の「好き放題」の度合いがいつもより高い気がします。それも、養老センセイのご愛嬌ということで。

    内容は、他の著作と概ねどこかしらかぶっているような印象。他の著作から、環境論をひっぱってつぎはぎしたような内容だと思いますので、特別にオリジナリティを感じるということは(数冊読んでいる人なら)感じないと思います。

    ですが、やはり、分かっていても改めて気づかされる点がいくつもあります。
    「子どもは自然であるということ」「環境はシステムであるということ」「自然との共生には“手入れ”が必要なこと」等々、いつもの養老節が光っています。

    特に、やっぱり僕は「子どもは自然である」という箇所に興味を持ちます。都市は自然を認めない。だから子どもが生きにくいんだと。「ああすればこうなる」という都市型の思考回路の中に、子どもは入ってこない。「ああしてもこうならない」から。それは、都市にとってはあってはならないこと。自然であるということ。つまり、子どもの問題と環境問題は同じであるということ。この主張は、養老センセイの数多の主張の中でも特に共感します。

    「二十世紀の科学は、システムという視点を抜きにしてさまざまな問題を扱ってきた。システムの構成要素を一つ一つ取り上げ、それを追求してきた。そして、要素に分ける手法はコントロールのための科学を進展させるのに役立ち、一定の成果を上げてきた。しかし環境問題というシステム全体の問題に取り組むには、この手法はあまり役に立たない。個々の要素をいくら追求しても、システムは理解できないし、システムがどのように動いていくのかもわからないからである。これからの科学は、システムを扱えるものにならなければならない」(pp119-120)

  • 「環境論」というタイトルを利用して大好きな昆虫や解剖の世界の話しを熱弁。
    最後は、日本の都会に住む現代人を「ってかパソコンばっかりやってないで、田舎に住め!」と怒っています。
    「養老孟司の言いたい放題」というタイトルがふさわしいと思います。
    あ〜傑作

  • いわゆる環境本。
    生物学者の語る環境論で生物多様性の持つ意味を考えさせられる。

    絶対に読むべき。

  • 私も含めて、脳化社会である都会に住む人々は、意識の産物である人工物に取り囲まれてしまっているせいで、意識外の存在である自然環境が遠い存在になってしまっている。そのため、環境論議をすると「非現実的」「経済とどっちが大切か」などという議論になるのだが、実は環境問題こそ、明らかに起こっている観察も測定も可能な「現実」の話であり、経済のほうが脳化社会の産物、いわば幻想の世界なのである。
    http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20071220#p1

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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