悩む力 (集英社新書 444C)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087204445

感想・レビュー・書評

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  • 知り合いの方から頂いた3冊のうちの1冊。

    「まじめ」の捉え方や働くのは何故か、という問いに「他人からのアテンション」、社会の中にいる自分を再認識するため、宗教が拠り所になる訳など…非常に興味深い1冊だった。

    「若い人には大いに悩んでほしいと思います。そして、悩みつづけて、悩みの果てに突きぬけたら、横着になってほしい。」

    最後、身にしみた文章だった。

  • 夏目漱石、ウェーバーの時代と現代に通じるところ。悩み続けることや、信じること、愛については共感できる部分も多かった。夏目漱石を読みたくなった。
    ただどうしても、今の時代に生まれた若者という立場から、著者自身の価値観には反発したくなる部分が後味としてすごく残ってしまった。歳を重ねていけば共感できる部分も増えるのかもしれないけれど。今の私には、響かなかった。
    違う時代に生きた人と通じる価値観。同じ時代に生きながら相容れない価値観。悩みぬきたい。

  • 生まじめで不器用であった夏目漱石とマックス・ウェーバーをヒントに、「悩み」を糧として強く生きることを語った本。

    生きる上で「悩み」と無関係になることは不可能です。人間だからこそ、悩むといっていいと思います。そして、その悩みを生きる力に変えることができるのも、また人間なのです。

    本書は夏目漱石とマックス・ウェーバー、2人の先人の生涯をヒントにして、悩みを糧として力強く生きる考え方を学ぶことができます。

  • 自分のなかで重要だと感じた部分をまとめました。

    ・「個」の時代と言われる現代。人は「自由」であるからこそ悩む。生きることの意味、人生の意味、死ぬことの意味、得る情報など、自分の頭で考え、悩み、選択していかなければならない。
    その意味からいうと、規制や規範がある方が楽なのかもしれない

    ・人間的な悩みを、人間的に悩むことが生きていることの証

    ・人は皆死ぬ。結局は心の満足度=人生の満足度

    ・他者との相互承認なしには自我は生まれない。働く意味も同様

    ・「1人1宗教」。自ら信じるものを見つけ、自我を形成していく

  • 現在さまざまなメディアで取り上げられ、ベストセラーになっている新書。
    姜尚中という先生のことは初めて知った。


    「自分が生きている意味を考えたり、人間とは何かを考えたり、人とつながる方法を本気で考えたり、自分と世界の関係を考えてみたりする。」

    「いま、…あらゆる仕事がサービス業化しつつあります…(サービス業は)どこかで線を引かないと、限りなく人の人生を背負うことになってしまいます。」

    人間というのは、「自分が自分として生きるために働く」のです。「自分が社会の中で生きていていい」という実感を持つためには、やはり働くしかないのです。

    「人は一人では生きられない」とよく言います…自我を保持していくためには、やはり他者とのつながりが必要なのです。

    「私は(生きていく)意味を確信している人はうつにならないと思っています。だから悩むこと大いにけっこうで、確信できるまで大いに悩んだらいいのです。」


    この先生、特に新しいことは言っていないと思う。
    しかし、「自分が生きている意味についてしっかり考えてみよう」「悩みつづけて、突き抜けてみよう」という温かいメッセージは、今の若者の心にストレートに響くのだろうと思う。

    人はみんな1人では きっと笑えはしない心の底から

  • 「余計なことを考える暇があれば勉強するというような学生時代を過ごせば一流企業に就職できて高給を取れるエリートになれるかもしれない。しかし、その代わりに、青春時代だからこそ心の内側から湧き出てくるひたむきなものを置き忘れていくことになるのではないでしょうか」

  • 十代の頃ひたすら悩み、生きづらさを感じていたことを思い出した。当時は言語化できずにやきもきしていたが、今考えると社会に呑み込まれ「自我を見失う恐怖」を抱いていたのだとこの本を読んで明確になった。
    『意味を確信できないと人は絶望的になる。私が私として生きていく意味を確信したら、心が開いてきた。確信できるまで大いに悩んだらいい。悩むことを経て、怖いものがなくなる。』
    悩み続けた時間が無駄でなかったのだと感じられた。

  • 2010.03.10開始〜2010.03.12読了

    マックス・ウェーバーと夏目漱石にバリバリに影響を受けまくった筆者の持論を余すところなく展開した本。
    とにかく両者の作品の引用だらけで、筆者の書いた本というよりマックス・ウェーバーと夏目漱石の作品解説本のようだ。

    逆転の発送が云々とか帯コピーに与えられたりしていたが、正直言って何が逆転なのか良くわからない。私には書いてある内容が普通過ぎて引っかかる所が少なかったように思う。

    ただ、もし自分が何の為に生きているのか分からなくなり死を選ぶかもしれないほど追い込まれているなら価値があるかもしれない。私にとって当たり前でも、精神的に追い込まれた人には「当たり前の後押し」が一番必要だろうから。

    以下引用

    >「自分の城」を築こうとする者は必ず破滅する
    >人とのつながりの中でしか、「私」というものはありえない

    万有引力の法則の別解釈本とかに出てきそうな内容だが、これだけ情報が潤沢に用意された世の中であっても、自我を自分の力だけで確立できると思ったら大間違いだということだ。これは他人からの評価ではなく、自分が他人との関係の中で何を提供出きるのかというgiveのほうにこそ、自らの存在価値があることを意味する。

    >「物知り」「情報通」であることと、「知性」とは別物
    >パソコンの操作が得意な息子が不得意な父親に代わって旅行のパンフレットを作ってもそれで息子が父親より知性があるとは言わない

    分かるわ〜。そしてグサッとくる。ググれば全てが分かる現代は情報収集能力が高い人が知性のある人ととらわれがちだが、そうではない。知性とは

    >学歴、学識、教養といった要素に加えて、協調性や道徳観といった要素を併せ持った総合的なものを指すのでしょう

    とはまさに的を射たり。知性とは学ぶものでも知るものでもなく体得するもので、そう言うものは自分から出さなくても溢れ出る。だから知性のある人は雰囲気が違うのだ。

  • 荒川満枝先生  おすすめ
    15【教養】159-K

  • 悩む力、タイトル通りの内容かと期待したが、時代考証に近い内容で、個人のことは解決しなかった。

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著者プロフィール

1950年熊本県生まれ。東京大学名誉教授。専攻は政治学、政治思想史。主な著書に『マックス・ウェーバーと近代』『オリエンタリズムの彼方へ―近代文化批判』(以上岩波現代文庫)『ナショナリズム』(岩波書店)『東北アジア共同の家をめざして』(平凡社)『増補版 日朝関係の克服』『姜尚中の政治学入門』『漱石のことば』(以上集英社新書)『在日』(集英社文庫)『愛国の作法』(朝日新書)など。

「2017年 『Doing History』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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