- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087451481
感想・レビュー・書評
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東京をロンダリングして行きている彼女が、静かにロンダリングされていく過程が丁寧に描かれていて良かった。
お節介な夫人の叱責に涙が出るほど、私は疲れているのかしら。
いつか気力が自然と湧いてくるまで、食べることも話すことも忘れて眠り続けたい。
緩やかな自殺の果てに、生きる意志が生まれる気がした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ずっと読みたいなと思ってた本。
登場人物がみんないい味だしてる
じんわり暖かい
豚のこしょう焼き
豚汁
秋刀魚の塩焼き
ちょっと時間がかかっても、朝の十時に谷中なら通えるでしょう
私はここで生きていくんです。 -
初めての作家さんだったのですが、すごくおもしろいかったです。本の中に引きこまれるのがわかりました。
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わけあり物件に住む…というお仕事をしている女性のお話。
思ったよりも軽い感じで、サクッとサラッと読めました。 -
面白かった!
ぱーっと使いました、というのが本当よかった。他のも読んでみよう! -
【あらすじ】
内田りさ子、32歳。訳あって夫と離婚し、戻る家をなくした彼女は、都内の事故物件を一か月ごとに転々とするという、一風変わった仕事を始める。
人付き合いを煩わしく思い、孤独で無気力な日々を過ごすりさ子だったが、身一つで移り住んだ先々で出会う人人とのやりとりが、次第に彼女の心を溶かしてゆく―。
東京の賃貸物件をロンダリング“浄化”する女性の、心温まる人生再生の物語。 -
なかなか良かったです。都内の「事故物件に住む」職業に就いた女性の話。
でも、その物件ロンダリング自体はそんなに重要じゃなさそう。
人との関わりを避けてきた主人公が、人と関わることで、そして人の為に動くことで、生きる力を取り戻していったように思えた。 -
最初の方は面白かったのですが、終わりが弱かった気がします。
家のロンダリング、という結構衝撃的な職業の割に終わりが普通、というか、とはいえここにしか落ち着かなかったであろうとか。
少々物足りなさを感じてしまったのが残念でした。
とはいえ、最後の「使っちゃいました、全部」のセリフはなんか気持ち良かったです。 -
離婚して行き場をなくした32歳のりさ子は、都内の訳あり物件に1ヶ月住んで浄化し再度貸し出せるようにするロンダリングの仕事を始める。訳ありだろうが何だろうがいろんな意味で感度の衰えてきた自分が終日本読んでられる面白そうなバイトだ。そこで出会う人々とやりとりする中で、りさ子は徐々に心の鎧を脱いで自分の居場所を見つけていく。
りさ子が出会う人々。定食屋の亮には心開きそうだが亮の想いには応えられない。相場社長やまあちゃんにも本当の意味では心は開かない。義父には心の底で繋がったのかな。先輩の菅先生は同志という位置づけか。大家の真鍋夫人には「何も持ってない、どこにも行けない人を比べることはできないと思います。努力したって報われない人はいるんだし、その人の努力が足りないなんて誰にわかるんですか」と感情を爆発させる。
この話のテーマは「自分の居場所」である。が何が彼女を吹っ切れさせたのか。その前に、そもそも彼女は不幸だったのか、悶々としてたのか、気持が塞いでたのか、そういう自覚があったのかがよくわからない。ラストで菅先生を救うためにいきなり大見得を切る。社会悪を倒すような大きな話ではない。引きこもっていた殻を破って外に飛び出すような何となくスッキリしたラスト。自分が何を求めてるのかもよくわからず、ただもやもやっと生きていて、個人的なことだけどその眼の前のもやもやした雲を少し吹き飛ばす。その解放感を味わう。まさに自分をロンダリングする。社会のため、他人のためではなく、ただ自分と自分のごく近くの人のためだけにひと肌脱ぐ。そこが現代的だ。というか、昔の世代から見た解決策だ。若い作家なら違う書き方しそうな気もする。
そしておそらく彼女には最初から居場所があるのだ。自分から目を逸らしていただけなのだ。殻を破るチャンスが次々訪れるりさ子と、あがき続ける菅先生や他の登場人物たちとを比べてしまう。りさ子もまた「何かを持っている報われた人」なんだろう。ただ、伏し目がちな目を開けてしっかり前を向いて生きようという小さな元気をくれる物語でした。
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転居する際、誰もが事故物件ではないのかネットで検索すると思う。狭い東京で賃貸物件のロンダリングをしなければ安心して住める家が減っていく。ロンダリングを生業にする者によって曰く付き物件がリセットされる。
離婚歴のある主人公の人生を一からやり直すことはもちろんできなくとも、新たな伴侶に出会うことである意味ロンダリングされる。
起きてしまった事実は変えられなくとも、その後については自分次第だなと考えさせられた。