- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087451481
感想・レビュー・書評
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頭にモヤがかかったような主人公の話に、最後まで読んでも、スッキリと私の頭も晴れなかったというのが正直な感想。
ロンダリングという話だけに、何か不思議なことがあったりワクワクするようなことが起きたりした方が面白かったなと思う。
ロンダリングに期待して読んでも何も出てこなかったですね。
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面白かった。久々に一気に読み終わった。
「ロンダリング」という仕事を発想できるのがすごい。この人は色々な街の描写が本当にうまい。 -
人付き合いを煩わしく思っていた主人公が人との出会いで心を少しずつ開いていく。
心温まる人生再生の物語。 -
ほどよく入り込める面白さでした(^^)
あっという間に読めちゃいます。
小説を読むときは、この登場人物は実写化したらどの俳優さんかな〜と想像しながら読んでしまうのですが、いつの間にか仲里依紗さんを想像しながら読んでました。
どこか得体の知れない、でも芯のある器量良しの女性。
魅力的な主人公でした! -
なんとなく続編とのからみから、話の内容はそうだろうなと想像できたが、あまり納得できるような内容ではなかった。というのも、こんな感じで終わりなのか他の疑問が多くて、もつと主人公のりさ子に焦点を、おいてはなしを広げていって欲しかったなあと感じてしまった。続編に期待かな。
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冒頭から引き込まれる。深夜、自室のドアを激しく叩く音から始まる。そして 読み進めると、主人公りさ子の実に奇妙な仕事に驚かされる。こんな仕事があるのか!と。
指定された事故物件に住めば、家賃は無料で日当が5000円もつく。働かなくてもいいのである。そしてそれはロンダリングというれっきとした仕事である。
りさ子の雇い主は「東京は人がやたら死ぬ。 変死した人間がいる部屋がどんどん使えなくなったら 誰も住めなくなっちまう。 あんたたちがやってることは人助けなんだよ。 いや 東京助けなんだな」と説く。
なるほど‥。妙に納得する。
主人公りさ子の生活は、人間関係の煩わしさを一切 排除した無機質で孤独で超が付くほどのミニマルな生活。私はそこに惹かれ、羨ましいとすら思ってしまう。転々と事故物件に住み続ける主人公に共感できるのは、りさ子も私も“過去のある身”だからだろう。
まっさらに明るい 道を生きてきた人にはこの物語は 合わないかもしれない。希望や未来を描く話ではないのに、けして暗くならないのは、りさ子を取り巻く登場人物が、表現力豊かな情感を持ち、適度にスパイシーで、適度に甘やかな言葉をつぶやくからだろう。
素敵な言葉がある。「いつもにこやかで愛想よく、でも深入りはせず、 礼儀正しく 清潔で、目立たないように、 そうしていれば絶対に嫌われない」そう!対人関係はそれで充分だ。
結末がいい。ありきたりな男女のハッピーエンドではない。そんな所に爽快さを感じる。 -
この不思議な仕事のことは聞いたことがある。
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事故物件に1ヶ月だけ住むお仕事の話
諸事情により夫と離婚し、行くあてのない32歳女性の内田りさ子
格安の物件を探していたところ、事故物件に一定期間住んでまた転居仕事を不動産屋の相場から相談される
存在感がなく、何事にもやる気を見いだせないりさ子が、仕事を続ける中での出会いや変化
初っ端から、元住人の恋人(?)が深夜に訪れてくるという状況から始まる
池田エライザ主演の映画「ルームロンダリング」でも同じような仕事が描かれているけれども、あちらは幽霊が見えるという設定に対し
こちらはそんな描写はない
むしろ、冒頭の描写のように、怖いのは人という描かれ方をしている
事故物件とは、事件や事故が原因の死、自殺、孤独死などにより入居者が部屋で死亡した物件
不動産業者は事故物件を次の店子に貸す際に告知義務がある
進んでそんな部屋を借りる人は少ないため、通常は家賃を下げる等するしかない
しかし、一度誰かが住めば伝える義務はなくなるため、大家は一時的にお金を払ってでもロンダリングの仕事を依頼するメリットがある
作中での相場の言葉
「あんたたちが入ってロンダリングしてくれれば、俺も助かる、大家も助かる、次に入る人間も助かる。俺たちは法を犯してはいない。東京は狭くて不動産は限られている。しかも、人がやたら死ぬ。変死した人間がいる部屋がどんどん使えなくなったら、だれも住めなくなっちまう。
あんたたちがやってることは人助けなんだよ。いや、東京助けなんだな」
この理屈は詐欺師のような論法ではあるけど、確かに一理あるとも思える
(次に入る人間としては助かるかは疑問)
何らかの現象が起こるという噂の部屋も人気はない
外国だと、幽霊が出るという噂の物件はむしろ値段が高くなるという話を聞いたことがあるけど、どこまで本当なんでしょうね?
亡くなった人の部屋に何らかのマイナスイメージを持つのは、日本人の「穢れ」という概念なんだろうか?
クリーニングをしているし、物理的に先住者の痕跡は残っていないけど、「何となく嫌」という感情
そう言えば、海堂尊の小説でも似たような事を白鳥が論破してたな
ご遺体をスキャンしたCTを使うのは倫理的に問題はないのか?という疑問
病院なんてベッドで亡くなる人がいっぱいいるのに、次の患者は同じベッドを使うという理屈
その違いは何なんでしょうね?
病院は人が亡くなっていてもおかしくないけど、普通の部屋は人が亡くなることが想定されていないという認識の問題か?
だとしたら、相場さんが言うようにこれからは部屋で亡くなる人は普通にいるという常識が根付くような意識改革が必要なのでしょうね
「狭くて土地と建物が限られた東京を助けるため」
という相場の詭弁も、ちゃんと仕事として成り立つのであれば認められてもいいのかもしれない
相場から聞かされる心構え
「いつもにこやかに愛想よく、でも深入りはせず、礼儀正しく、清潔で、目立たないように。そうしていれば、絶対に嫌われない」
これは、ロンダリングの仕事だけでなく、現代の近所付き合いに必要な要素でしょうね
外からは汚れて見えず、最低限の挨拶と付き合いだけというのが最適解かもしれない
乙女アパートの大家で、おせっかいをやいてくる真鍋夫人
今どき、こんな大家さんはいるんだろうか?
富士屋のような定食屋はあるでしょうけど
そこまで人の生活にズケズケとした物言いをする人、いるかな?
でもまぁ、こんな人たちと関わることで、りさ子さんも自らの気持ちをロンダリングしているように思える
菅さんの失踪した理由は何ともねぇと思う
一応伏線めいた説明がされているし、そんな事がされていているのもありそうという事件が実際にありますしね
この作品が書かれたのは、事故物件が今のように取り沙汰される前
今は「大島てる」というサイトで色々と事故物件について借り主が調べることができるし
2021年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が制定されたので、作中のような1ヶ月でのロンダリングはできないようになっている
ガイドランでは、告知義務はおおむね3年
老衰、病死、不慮の事故死などは告知義務なし
特殊清掃をした場合には告知義務あり
あと、事故物件は家賃が低い傾向ですけど、それも年数が経てば通常の価格に戻っているようですし
敢えて事故物件とわかていて住みたがる人もいるようなので、ロンダリングの仕事は現実的ではなくなっている -
面白くてイッキ読み。人と関わりを避けていたりさ子が、少しずつ変わっていく。人を癒すのはやっぱり人なんだね。豚肉のこしょう焼き、食べてみたい。ランチ酒にも通じるけど、料理の描き方、最高。タワマンに移ってからの展開はワクワクしたなぁ。読後感もスッキリ
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事故物件のロンダリングを仕事にしているりさ子の心の傷がふさがり、前を向いて生きていけるようになって、よかった。人を傷つけるのも、癒すのも人。