天皇の料理番 上 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087452938

作品紹介・あらすじ

明治の半ば、一枚のカツレツに出会った福井県の少年。上京し、裸一貫で西洋料理の世界に飛び込んでいく――。日露戦争以降の東京で、激動の時代と共に、力強く成長していく篤蔵の物語。TVドラマ化。

感想・レビュー・書評

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  • こんな時代もあったよね...と。これが第一印象。
    ほんと「時代」ですよ。中島さん。

    淡々とした文章に違和感を覚え、実話に基づいていることを知る。昭和生まれだから、確かにこんなことが許されていたのも理解はできる。でももう遥か彼方の出来事のよう。なんか久々のカルチャーショックというか...。高度経済成長期、私の親世代にピタッと合いそう。

    主人公の熱意に負けて、下巻も読みます。

  • 上巻はさしずめ立志編といったところ。
    若くして目指すものに必要な事柄を理解して、行動出来る事が一番の才能だったのかも。
    当時の時事や風俗もふんだんに描かれていて興味深く読みました。
    下巻も楽しみです。

  • 佐藤健が主演だった気がする。

  • カタツムリをエスカルゴとダマされて、食べさせられたのは災難だったな。でも、案外おいしかったんじゃないのかな?ジャガ芋を7角形に切るとか、どんだけ難しいんだよ。

  • 初めてドラマから小説を読みたくなった作品。
    ドラマで描かれるよりも篤蔵は賢く、物事を俯瞰していると感じた。あと、僕が好きだった宇佐美さんとの掛け合いは上巻では少なく、「まごころ」の言葉も篤蔵がチラと言っただけで特段取り上げられていない。やっぱりドラマと原作は違うのだなと感じた。

    内容は、篤蔵視点で進む料理人への成功譚で、三歩進んで二歩下がる、みたいな話であるが、義理や人情の通し方から、明治の金銭感覚や日本の西洋料理史の雑学も知れる本である。
    リアルだったのが、バンザイ軒(篤蔵が東京に出て働く二軒目の店)に来た客の日露戦争の講和条約に対する議論とそれに割って入る篤蔵の話。国民的には民一丸となって掴んだ勝利だが、割譲できたのは南樺太のみで、それに対して小村寿太郎をディスる発言と、いやいや小村寿太郎も諸外国とのパワーバランスを推し量ったんだという発言。
    それに対して篤蔵は兵士の兵糧の話や、ギリギリ掴んだ勝利と講和条約、ミクロとマクロの視点から話し、小村寿太郎を悪く言うことも出兵を悪く言うこともなかった。
    料理人風情が何を言うかと、発言したことを咎められたが、料理人も一国民じゃいないのか?と逆に圧制し、謝らせた。

    日露戦争も大きな戦争で、国民も心配と不安と、困窮の渦中にいたけど、勝利した安堵と、勝った故の傲りも抱いてしまう。
    なかなか知れない戦後のリアルだったと思った。

  • テレビドラマをきっかけに興味を抱き読んでみました。

    初代主厨長の秋山徳三さんをモデルにしたフィクションで、
    篤蔵の人間臭さや時代背景なども相まって
    魅力の多い読み応えのある作品です。

    秋山さん御本人とはやはり多少印象は変わりますが
    仕事に対する考え方や潔さなどが面白く、
    天才という人間の紙一重さなどをまざまざと感じます。

    食に対しても今一度襟を正せる内容かと思います。

  • 料理に魅せられた明治生まれの若者が、持前の強情・きかん気を発揮して努力を重ね、ついには宮内庁主厨長(総料理長)までに登り詰める、究極のお仕事小説です。
    実在の人物、秋山徳蔵氏がモデルで、人気ドラマの原作にもなりました。

    淡々とした文章は、エンターテイメント小説とは違って、盛り上げようという気が微塵も感じられません。
    なのに、このワクワク感は何なのでしょう。
    やはり、主人公が持っている人間力が、惹きつけてやまないんですね。

    何事も恐れずに突き進んでいく行動力。
    好きなことには努力を惜しまず、苦労を苦労とも思わない。
    そして、周りの人に認められ、どんどん引き上げられていきます。
    ただ、自分の夢を一途に追うあまりに、周りの迷惑を顧みないところもあり、そこは人間臭さも感じられます。

    明治・大正の世相や家族制度なども背景にあり、今の世とは違う感覚も楽しめますが、今現在も天皇家のお料理番は受け継がれているはず。
    今はどんな方が務めておられるのかなぁと、興味がわきました。

    図書館スタッフ(学園前):山姉さん

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    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/813086

  •  大の贔屓の佐藤健くんが主演でドラマ化されるとか(評判のよいマチャアキ版は残念ながら未見)。放映を待ちきれなくて原作を読み始めたら、これがかなり面白い。やんちゃくれで一途な主人公のキャラは健くんにぴったりだ~! しかし、蒲柳の質の兄役にムキムキ男の鈴木亮平はミスキャストでは?と思って予告動画を見てびっくり、ちゃんと病弱に見える! 頬のこけ方からしてかなり減量したと思われるが、体格まで別人のように見えるのは彼の演技力によるものだろう。
     下巻を読むまで内容に対する評価は保留。

  • 昭和の時代の小説、とういことで、さぞやお硬い文章なんだろうなと思って読んだけど、お坊さんのスタイリッシュさに憧れて出家を目指した主人公が、カミソリが嫌で坊主をやめるといういきなりの冒頭で覆された。
    文章も丁寧で、その時代や料理に詳しくなくてもわかりやすく解説されていてありがたかった。
    主人公、料理に情熱注いではいるけど、ほかはかなり危なっかしい。まだ十代後半だから仕方ないといえば仕方ないけど。
    殴って会社を辞めるとか、今なら絶対許されないな(笑)

  • 内容も面白く、少し前の時代の文学的な表現がとても勉強にもなります。この評価は杉森さん作品を読むことができたうれしさもあります。

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