オーダーメイド殺人クラブ (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453133

感想・レビュー・書評

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  • 中学生女子ならではの息苦しさ、「特別な自分」と「特別な関わり」の中に安心を求める様子に、辛いながらも共感を持った。どんどんアンの状況が悪くなって暗く重い状態が続く中、徳川との絆が深まっていく様子が、見事に描写されていて目が話せなかった。最後はアンも徳川も暗闇から出てこられたような清々しさが描かれて、安心と微笑ましい気持ちで読み終えることができた。徳川目線のストーリーもぜひ読みたい!

  • 一気読みだった。自殺願望、歯車の合わない友人、スクールカースト。まるで中学時代が蘇るような錯覚を覚える。こんなにも人の気持ちの機微が言葉で表現できるなんて。
    最後の清々しいまでの読後感は、途中までては思いつかなかった。
    凄い作家さんだ。

  • 好き嫌いが分かれるかもしれないけど、
    私はすごく好きな作品だった。

    主人公も周りも中二病でとにかくイタイけど、
    クラス内でのヒエラルキー、スクールカースト、女子同士独特の関係性、規律への反抗心で
    真っ直ぐすぎる年齢故にぶつかって傷付いて、
    悲劇の記憶って
    若さは恥の記憶と書いていたがその通りだと思った。

    自分の中学生時代もそうだったっけ?
    大人になってからはもう全然思い出しもしないような、些細なことでも、当時はものすごく辛かったり、傷ついたり泣いたりしてた。当時はそこが自分にとっての世界の全てだったしそこで全て完結してた。
    何でもいいから、依存するもの、支えになるものが欲しかったんだと思う。
    みんなそうやって「中二」の時代を駆け抜けて、大人になっていく。
    これは誰もが一度は経験する話、そして自分自身に当てはまるストーリーだと思った。
    それぐらい描写がすごくリアルだった。


    これは悲劇の記憶である。とあるがその通り。
    こんなイタイ記憶は確かに悲劇かもしれないけど、
    素直になれない淡い初恋ストーリーでもある。
    いろんな意味で深くって、読み終えた後には気持ちがほっこりするような優しい記憶。


    徳川が臨床少女がアンになった姿を描いていたシーンが感動した。

  • 序盤までは、厨二病主人公にイラっとくることがあったが、終盤に向けてとても面白い展開になって行き、手が止まらなかった。モノローグでの、アンと徳川の成長が見えた部分はエモかった。

  • 自分にもこんな時期があったなぁと、恥ずかしくなる内容でした。⁡
    イジメの加害者と被害者がグルグル廻るのも、すべてが敵に見えて息苦しい感覚も、全部が全部懐かしかった。⁡

    何も成していないのに、何者かになりたい。⁡
    自分は他人とは違うと自意識過剰に信じて、劣っていたり負けていたりする部分があると許せなくて。⁡
    死ぬことで"少女A"になり、価値を付ける。⁡
    そんな発想に至るなんてまさに中二というか、なんというか。⁡
    "中二"を抜けた彼/彼女が、闇を抜け前を向いて歩いていくことができてよかったと思う。⁡

    そして、徳川の想いを知った後にもう一度読むと、恋愛小説に見えてくるから不思議。⁡
    メガネがあるのに普段かけないのって、そうすればアンと隣になれるから?河瀬を悪く言ったのは、アンを好きだったから?『臨床少女』は、アンに絵をプレゼントするために徳川が買ったの?とか。⁡

    関係ないけど、まさかここでチヨダ・コーキの名前を見ることになるとは思わなくて、驚いた。⁡あの事件らしきものがさらっと出てきたときは『ん?もしかして?』とドキドキし、実際に名前が出てきて『やっぱりかー!』と感服。
    本当に、辻村深月さんは優しくて読者思い。⁡


    「嫌なことがあったり、自分を不幸だと感じるときほど、世界が美しく見えるのは、何故だろうか。」⁡

    「私は、徳川に殺してもらえる」⁡
    「殺してもらえるから、大丈夫!絶対、大丈夫」⁡


    ⁡#読書記録 #読書メモ #読書記録2022 #辻村深月 #オーダーメイド殺人クラブ #読書好きな人と繋がりたい

  • 自分の中学時代を思い出して、ここまでではなかったにしろ、狭い世界の中でいろんな事情があったよなぁ、、と懐かしくなった。アンがいじめられてるところは読んでて辛くなるくらいだったけど、とにかくラストがめちゃくちゃ良かった。2人にとってお互いが一生忘れない存在であってほしい。

  • 女子の嫌なとこ露呈しまくり。
    友達?!のはずが、ハズしハズされ悪口大会。読んでてムカムカイライラ。
    あくまで小説だし、こんなのばかりじゃないけど、ありそうに感じるのがすごく不快。なら読まなきゃいいのに、読む気がなかなかしないと思いつつ、時間がかかったけど最後まで読んじゃった。

    アンの、自分は特別で人と違うって感情や死を特別視する価値観も共感できなかった。過激というか思い込みが極端すぎる。それに、お母さんが鬱陶しいの分かるけど、めちゃくちゃ愛されてて恵まれてる。
    ただ、他人を下に見るじゃなないけど、他の人との価値観のズレを感じるところや、なんだかんだすごく周りを気にするところとかは、分かる。

    結局自分も周りも成長して、考え方も変わっていくと、楽になる。いや、成長の度合いは人によってそれぞれだから難しいし、別の問題も出てくるけど、問題の乗り越え方は学んでいくのかな。

    徳川が、最初からアンのこと好きなのは、ヒシヒシ感じてたし、河瀬は幼いけどいい子のままでホッとした。できれば、徳川がネルを殺したってのも、死んでるのを見つけてああしただけで、自分が殺したんじゃないって言ってほしかったな。

    そういえば、学生時代は、運動できる出来ないが、大きな価値になってた。だけど、大人になれば、それが職業でもない限りなんてことない。いろんな感情を思い出した。

  • 今自分のいる環境が世界の全てであると感じてしまう中学2年生。

    1番難しい年代を美しく描いていました。

    スクールカーストなどから起こる無視やハブを読んでいる私までもが辛くなるような、読んでいる内容の景色がそのまま映し出されている、文章で読んでいるのに映像で見ている感覚でした。

    胸が痛くなる部分もありましたが素敵な作品でした。

    辻村さんの作品はどのジャンルも私好みで好きです。

  • 描写とか内容とかは結構グロいのも痛々しいのもあるのに読了後はめちゃくちゃ清々しくてあったかい気持ちになる。
    中高生特有の自分が特別で人と違うと思ってる痛さとか、現実から乖離した行動とってしまう危うさとか、自分の行動に責任持てない未熟さとか、誰もが経験して誰もがどこか共感できると思う。
    カースト上位のアンと気味悪系男子の徳川の一見接点無さそうな2人が、死に対する価値観で繋がって共依存的な関係になっていく感じが見てはいけないもの見てる気がして面白かった。

    今となってはそんなことぐらいで〜になる人間関係も、当時は世界の全てだったなぁって思い出した。

    2人に幸あれ!!!!!!!

  • 中学生三年の時に読んだので、中学生特有のイタさにとても共感できた。 自分は他の人とは違うと思ったり、この世界が生きづらいと感じることとか。
    親に対して思ってたこととか主人公とドンピシャだった

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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