家日和 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465525

感想・レビュー・書評

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  • 奧田英朗月間と言っていいほどの作品連読。

    1ヶ月ほど前から、禁酒生活1周年を迎えた暁には奧田英朗を読むと、積読通読計画を立てていたのだ。

    本作品は、日常の家庭が舞台の、ほのぼのとした6編からなる短編集。

    どの作品も、現代の家庭の事情が描かれているようで共感する話も多数あった。

    特に、夫の会社が倒産して主夫になる「ここが青山」が良かった。嫁の逞しさ、夫のポジティブさにホッコリ。

    さて皆さん。以下は漢詩なのだが、なんと読むかお分かりだろうか。

    【人間至る処青山在り】

    ちなみに私は、この小説で初めて知り、ことごとく読み方を間違えた内の1人だ。

    初耳の方は是非とも、その意味合いも含めてGoogle先生にでもお尋ねいただきたい。


    余談だが、私は中学3年生まで【小豆島】を【こまめとう】と読んでいたことを、この場を借りて告白しておく。

  • 夫婦や家族をテーマに書いた短編集。

    《サニーデイ》
    二人の子供を持つ、42才の専業主婦・紀子は、ある日、不要になったピクニック用の、折りたたみテーブルを、ネットオークションに出品した。
    初めて、落札されたことに快感を覚え、それが、生きがいとなり、エスカレートしそうになる。

    《ここが青山》
    36才の湯村裕輔は、会社が倒産して、失業者となった。妻の厚子が、職場復帰し、裕輔は、主夫となり、
    徐々に、家事に目覚める。

    《家においでよ》
    田辺正春、仁美夫婦が、別居することになり、仁美は、家具も持ち出し、家を出て行った。
    家具が無い、がらんとした家で、正春は、自分の好みの家具を揃えはじめる。

    《グレープフルーツ・モンスター》
    宛名入力の内職をしている、39才の佐藤弘子は、新しく担当になった、若者のずうずしさに戸惑いながらも、おかしな夢を見てしまう。

    《夫とカーテン》
    イラストレーターの大山春代の夫・栄一は、転職癖がある。
    ある日、会社を辞めて、カーテン屋を始めると言い出した。

    《妻と玄米御飯》
    42才の小説家の大塚康夫が、名のある文学賞を獲った。
    同時に、妻の里美が、ロハスに嵌り、食卓に、玄米御飯が出てくるようになった。

    《おまけ》
    益田ミリ氏の漫画『鑑賞』

    ほのぼのとした小説が読みたかったので、これを選んで正解だった。

  • 『我が家の問題』を先に読んでしまったので、後からこちらを。

    六つの家族の姿を描く短編集。


    「ここが青山」が、一番好き。
    突然会社が倒産し、主夫になったサラリーマンの話。裕輔が楽しそうに主夫をやっているのもいいが、即働きに出ることにした厚子もすばらしい、ナイス夫婦。それぞれが自分に合った方法で、家族を盛り立て、笑っていられる自然さがいい。
    でも、まだこんな男性は少数派だろうなぁ…

    「家においでよ」は、妻が家を出て行ったのを機に、一人暮らしを満喫し始めた正春と、そんな暮らしを羨んで入り浸る夫たちの話。
    オチはちょっとファンタジーすぎるかも。別居した途端こんなことになってたら、むしろ離婚の決意を固める。

    「妻と玄米御飯」は、ロハスを提唱するセレブ夫婦の影響を受けてあれこれ凝り始めた妻と、N木賞作家の夫の話。双子の息子たちのやんちゃっぷりがイイ!
    これが『我が家の問題』の「妻とマラソン」の前日譚ですね。

    ほとんどがなぁんだ、良かったね〜という感じで、さらっと楽しめる。
    うーん、経済的な悩みがないと悩み事も呑気だね…とちょっと思ってしまったが、それをわきに置いて、力が抜けるのを楽しむこと。

    シリーズ三作目もあるようなので、また「読みたい」に登録。

  • タイトルのとおり、"家"の中の出来事に焦点を当てた6つの短編が入っています。

    どの短編も、軽いタッチで描かれているので気楽に読むことができますし、それぞれの登場人物に対する皮肉やツッコミが面白くて、フフッと笑わされる場面もあります。

    自宅で過ごす時間が長ければ長いほど、毎日の生活に大きな変化がなくなってくるというか、ちょっとした刺激を求めてしまう気持ちもでてくるかもしれません。

    けれど、私はやっぱりお家で過ごす時間が好きだし、(笑)
    変わらない毎日の中でも、何気ない幸せを見つけながら暮らしていけるのが一番だなと、本作を読みながら感じました。

  • 奥田英朗さんのユーモアたっぷりの小説。面白かった。あとがきの益田ミリさんの漫画がとても心に残って、ミリさんと奥田さんの関係が素敵だなと思った。

  • どこにでもあるかのような夫婦あるいは家族の姿を、水彩画の様に点描した6短編。
    『サニーデイ』ネットオークションにのめりこんだ主婦の顛末をユーモラスに。
    『ここが青山』主夫業に生き甲斐を見出した失業男。
    『家においでよ』やはり、男の憧れ!
    『グレープフルーツ・モンスター』不倫小説に行ってしまうかと思いきや・・・
    『夫とカーテン』夫の事業と妻の才能発揮が、シーソーのような夫婦。
    『妻と玄米御飯』家族の健康を考える妻の深謀遠慮。
    いずれも、心がホッとし、読後に暖かな余韻に浸れる。

  • 家庭での日常生活に焦点を当てた6篇(=6世帯)の短編小説。2004〜2006年に小説すばるに掲載された作品とのことで、若干古い感じがしたが、すらすら読み進められる面白さだった。どの話も前向きな終わり方なのが良かった。料理の楽しさを見出したり、日常にささやかな幸せはあるということが感じられる「ここが青山」と「夫とカーテン」が特に面白かった。

  • ユーモアたっぷり、平成ど真ん中の世相を絡めて描かれる、色々なカタチの夫婦愛に心が和んだ。

  • 各家庭の日常的でユーモアもありクスッと笑える短編集。最後の話は奥田英朗さん自身のは体験を 投影してるのかなぁ。

  • 人様の生活を覗き見する様な面白さ。

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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