せんべろ探偵が行く (集英社文庫)

  • 集英社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087467208

作品紹介・あらすじ

"せんべろ"とは、千円でべろべろに酔っぱらえる店のこと。酒をこよなく愛するらも団長を先頭に、酒さえあればご満悦の中年探偵団が居酒屋巡礼の旅に出た。せんべろの聖地・大阪は新世界から始まり、東京、金沢、博多など、安くて気取らず、美味いアテを揃えた店を探して日本全国を駆けめぐる。文庫化に際し、らもさんゆかりの"せんべろ名店"で開催された爆笑座談会を収録。ラストオーダー決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 不出世の天才飲んだくれである中島らもさんの、「せんべろ」という今では一般的な言葉となって久しい正しい酔っぱらいの所業を、毎度たのしい仲間たちとドキュメンタリーというかルポタージュするという一冊。

    やはりらもさんはいいなぁ。特に「かど屋のこと」と題したエッセイが秀逸。名文中の名文で、声に出して読みたい日本語、という感じがする。
    「酒、煙草、メシ、コーヒー、ジャズ、セックス、そして何よりも会話。」

    立ち呑み、角打ち、下町の大衆居酒屋や食堂での昼呑みを愛する向きにはまさにバイブル。

  • 6/372

  • らもさんやっぱりこれでは体壊すなあ。
    でもほんと楽しそう。
    大坪屋で女将に追い返されるのが良かった。
    福山の酒場行ってみたいねー。
    コラムのらもさんの文章が、内容はともかくとても端正なのが、何か泣かせられました。ご冥福をお祈りします。

  • 中島らもと小堀純さんが参るせんべろの旅…遺作?に近いということもありなんだか泣けてくる

  • こよなく酒を愛する中島らも&小堀純の名コンビが、全国津々浦々、安い酒と酒のあてを求めて旅をする。こういう人達とご一緒できると楽しいだろうなと思わせる一冊。

  • 中島らものコラム「説教酒」は”一気飲み”に関するものだが、これは大学の新入生に必ず読ませるというのはどうだろうか。中島らもが高校の修学旅行で初めて酒を飲んだときのエピソードが良い。さすが灘高の先生、ひと味違います。

  • ただ、ただ、中島らも。そして、せんべろが良し。

  • 千円でベロベロに酔える店を求め、中島らも率いる中年探偵団が全国を駆け巡るという、グルメとは対極にあるオヤジな一冊である。

    安酒を飲みながらの中年探偵団のゆる〜い対談と中島らものコラムという構成になっている。

    一人あたり千円が上限(上限を超えてしまう回も多々あり)であるため400円のつまみを頼んだだけで、揶揄されるという、トホホ感が素晴らしい。中島らもの真骨頂だ。

    どの店も安い。例えば大阪・京橋の「岡室酒店直売所」は、おでんの五品盛り合わせが250円、天ぷらの五品盛り合わせも250円、サイコロステーキが350円、豚キムチが400円。値段もびっくりだが、大阪の店のコピー「安さにビックリ! 味見てコックリ!」、週末割引サービスの名が「あ金・土のサービスデー」と笑うに笑えない感じが輪にかけてチープだ。けど、いいなぁ、俺も混じりたい。

    安さはもちろんだが、味も「昔お呼ばれに行った料理自慢のおばさんの味」と美味しい店や「うちは晩酌に毎日通ってもらうような奥様公認の酒場。お客さまに喜ばれるお茶の間のような店でありたい」という良心的な大衆酒場も紹介している。
    紹介されている店の中で一番行ってみたくなったのは、金沢の川魚料理の店「かわべ」。酒は客が持ち込まなければならないが、出てくる料理が凄い。前菜にニジマスの唐揚げと佃煮、アナゴの燻製。で、ヤマメの塩焼きを酒、酢、醤油のタレに漬け込んだもの、蘭の酢の物、ニジマスのヅケなどなど。これら地の利を活かした料理で、4人で五千円。たまらん。読んでるだけで、腹が減ってくる。酒が飲みたくなってくる。

    で、紹介されている店の中に俺が大学時代よく飲んだ福岡・天神の角屋という立ち飲み屋が紹介されていたのが、嬉しかった。

    最近物騒でダークな本ばかり読んでいたが、これはサクサクと楽しく読めた。中島らも、やっぱりいいなぁ。

  • せんべろとは千円でべろべろになれる店のこと。らもさんを筆頭にせんべろあらばどこへでも出掛け、だらだらうだううだ呑んでしゃべくる内容。
    きついルールもなく予算オーバーも多々ありつつ、毎度酔っ払う。亡くなってしまったらもさんのゆっくりしたしゃべりが聞こえてくるようで、にやにやしながら、失ってしまった存在に悲しみを覚える。
    ゆるゆるの企画と内容なのに、何か太い芯が通っているのはらもさんの美学というか、生き様なのだろうか。
    合掌。

  • 久しぶりにらもさんの本を読みました。早いもので、らもさんがこの世を去られて、7年もの歳月が流れ過ぎたんですねぇ。本書はらもさんと小堀純さん、そしてその怪しげな仲間たちが、千円でべろべろに酔っ払える店を訪ねて、全国行脚するレポート&エッセイです。ボクはお酒が飲めないので、ずいぶん人生損してるなぁと常々思っているわけですが、これを読んで益々その感が強まりましたぁ。
    らもさんの書かれたものをもう目にすることは出来ないということはもとより、なんとも物哀しいのは、ここに登場するお店のうち何件かは、すでに閉店してしまっているということです。諸行無常、栄枯盛衰、色即是空ということでしょうか。世知辛い時代になりましたぁ。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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