神々の山嶺 下 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087472233

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。一気読みした。著者の夢枕獏が自ら言うように”ど真ん中”なストーリー。道具を使う登山はやらないのでそのリアリティは想像するにも限界があるが、丁寧に、あるいはねちっこく、登場人物の内面およびその目を通して見る世界が描写されてるので、のめり込んでぐいぐい読める。

  • 山岳小説を読むのはほとんど初めて。

    タイトルからしてただ山に登るだけのストーリーかと思っていたが、人間ドラマが濃密に描かれた、人の生きざまを描いた作品。

    ネパールのカトマンドゥ、怪しげな古道具屋で主人公があるカメラを手にとったことで物語は動き出す。

    そのカメラは、かつてエヴェレスト登頂に挑戦して帰ってこなかったイギリスの登山家、ジョージ・マロニーのカメラと同じ型のものだった。

    そのカメラを通して、羽生という山に生きる男と出会い、主人公は羽生に惹かれていく。

    本作品の発刊後、ジョージ・マロニーは遺体で発見されたのだが、カメラは実際見つかっていない。
    マロニーはエベレストの初登頂を果たしたのかどうか。
    そのカメラのフィルムには、真実が写っていると言われている。

    上記のような史実をミステリー要素として組み込み、上下巻のボリュームでもさらさらと読めていく。
    発刊されたのは20年以上前だが、気になることは特にない。

    羽生というキャラクターは実在した日本人の登山家をモデルにしたと言われている。

    カトマンドゥの町の熱気、高山病、標高5000mより上の登山環境、ベースキャンプの様子など、緻密に描かれており、特に高山病の描写(幻覚、幻聴など)は読んでいるこちらまで苦しくなる。

    「エヴェレスト南西壁冬季無酸素単独登攀」、人類が成し遂げたことのないことへ挑戦する羽生と、それをカメラで追う主人公。

    最後に羽生が残した手記が心に刺さる。

    「ありったけのこころでおもえ。想え。」

  • 柴田錬三郎賞、解説:北上次郎
    グルカ◆シェルパの里◆母の首飾り◆山の狼◆氷河へ◆アイスフォール◆灰色のツルム◆真相◆頂へ◆神々の座◆山狼伝◆未踏峰

    著者:夢枕獏(1951-、小田原市、小説家)

  • 山岳小説で外せない一冊に挙げられる事が多いので読了。

  • 神々の(上)レビューご参照

  • 複数感を平行に読破で残していた1冊。たかが半年ぶりだし、内容も濃いので余裕。

    伝説の登山家、羽生を追ってネパール入りしたカメラマン深町と元羽生のアンザイレンだった兄を登山で亡くした岸涼子。マロリーのものと思われるカメラは取り戻したが、本当の目的はカメラではなかったはずだ…。

    ということで、登ります。しかも単独登攀なので、本の真ん中辺りからはひたすら自問自答が続く。また、極限状態で思考がままならなくなるあたりも、経験がなくともわかるように描かれている。

    上巻に比べると、資料をたくさん織り交ぜると言うよりは、とにかく力技でグイグイ押すタイプの話になっているが、内容の濃さと登場人物を絞り込んだことで、長編と感じさせないスピード感があるであろう。

    Wikipediaによると、モデルとなった森田勝という人のエピソードとは相当変わっているようではあるが、これがまた別の山の話に移っていたら、こうはならなかったであろう。

    作者も「全て書ききった」と書いているが、本作の圧倒的なパワーは一読する価値があるであろう。「作家には15個の椅子があるが、今ひとつ空いている。少し前まで『新田次郎』という作家が座っていた椅子です」には笑った。

  • ヒリヒリする…
    山の中で独りという体験は何物にも代え難くクセになる。その気持ちは痛いほどわかる。

    全てが自分自身にかかってくる…そのなんとも言えない陶酔感。
    でもダメなのだ…と思う。
    帰ってこなければダメなのだと思う。

    とにかくヒリヒリしました。

  • 2018.4.1(日)¥305(-2割引き)+税。
    2018.9.4(火)。

  • 面白かった

    山岳小説+ミステリー
    二人の漢の熱い物語

    いよいよ下巻です。
    下巻では羽生が人生をかけて目指していたものが明らかになります。
    「エベレスト南西壁冬季無酸素単独登頂」
    その羽生に対して、深町が同伴できるところまで上って写真をとろうとします。
    そして、いよいよ出発。
    二人の運命は?
    といった展開。

    下巻では冬山の厳しさが伝えられてきます。
    二人の登山の描写がメインの展開です。
    登山を知らないので登山道具の名称や使用技術が理解できませんが、その過酷さがひしひしと臨場感もって伝わってきます。
    さらに、その描写に圧倒されます。
    彼らの人生そのものが、山に登ること、自問自答していくことにより明らかになっていきます。
    そして、クライマックス。
    熱いものがこみ上げてきます。

    これは、すごい
    とってもお勧め

  • 圧倒された。
    独白って読むのしんどいんだけど、この作品はすごく効果的だったし、山で一人で登っている感がすごく伝わってよかった。

    こう言う作品って最後が難しいと思うんだけどすごく相応しい最後だった。

    2018.1.10

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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